弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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ライブドアは有価証券虚偽記載報道で2006年1月株価が暴落した。当時の株主であった日本生命等の機関投資家6社が合計、約108億円あまりの損害賠償の請求した。

本日(6/14)東京地裁は95億円4457万円並びに平成18年1月26日(原告によって売った日時が違うので2月1日もある)から完済に至るまで年5分の割合による遅延損害金もあわせて、ライブドアに命じる判決をした。

判決の理由の骨子は

 .薀ぅ屮疋△諒款決算は有価証券報告書の「重要な事項」に該当し、金融商品取引法21条の2第1項の虚偽記載に当たり、株主に損害賠償義務がある

◆仝表の主体は検察官であってもよく、公表の形はリークでもよい

 損害の推定規定(金融商品取引法21条の2第2項)によると、公表日である平成18年1月18日前1か月の平均株価と1月18日後1か月の平均株価の差は1株当たり585円である。公表当時所有していた株数を掛けた金額が損害と推定される

ぁ.薀ぅ屮疋△粒価の下落は、検察官から「偽計、風説の流布の事実の伝達、その報道」が株価の急落の要因の一つであることは否定できない。ホリエモンが偽計、風説の容疑で逮捕されたこと、フジテレビの提携解消・・・があり、有価証券報告書の虚偽記載以外の事情が株価の急落の要因でもある。金融商品取引法21条の2第5項により、その割合を3割とみて、その金額を減じた。(7割が虚偽記載による急落の原因と認定した)

この判断の根拠は説明がなく、裁判官の裁量。

ァゞ睛讃ι兵莪法19条1項によれば、株式取得価格から、処分価格を引いた差額を超えることができない。

たとえば公表日の当日1000株持っていた株主だと

 585円×1000株×0.7=409,500円の損害賠償及び遅延利息、年5分
が今回の判決の内容。

この判決は、個人株主およそ3300人が200億円余りの賠償を求めている裁判、その他の株主の訴訟に影響を与えることは確実。

より重要な影響は、今後、企業の粉飾決算で株主が蒙った損害賠償訴訟に重要な影響を与える。

粉飾決算で多くの株主が泣かされてきた。株価の下落要因は多様。その上、その損害額の立証が極めて困難だったからだ。

しかし、金融商品取引法の損害の推定規定(金融商品取引法21条の2第2項)を新設したことにより、株主の損害賠償が極めて容易になった。しかも、株価の下落要因を特定できなくても、虚偽記載もあったという事実が認められる限り、金融商品取引法21条の2第5項により、裁判所の裁量で損害額を認定できることになった点は株主救済の道を開いた。(但しこの損害賠償ができる時効は公表日後2年なので、要注意)

しかも会社が倒産しても、金融商品取引法22条により、役員や監査法人には請求できる。

今後は粉飾決算で、株価が下落した場合の株主からの損害賠償が確実に増えるだろう。

粉飾決算に対する大いなる警鐘判決であると評価できる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2008/ 06/ 14朝日新聞 朝刊
株主へ95億円賠償 ライブドアに命令 東京地裁判決

 ライブドアの粉飾決算事件による株価急落で損害を被ったとして、株主
だった日本生命保険(大阪市)と信託銀行5社が、ライブドアホールディン
グス(HD)に約108億円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁(阿
部潤裁判長)は13日、約95億円を支払うよう同社に命じた。ライブドア
側は控訴する方針。

 判決は、04年に改正された証券取引法(現・金融商品取引法)に基づ
き、虚偽記載の公表があった日の前後の終値の平均額から計算して、株主の
損害を認めた初めての事例。損害の算定基準を単純化し、より早く被害を認
めることで、投資家の救済を後押しする判断といえそうだ。

 ライブドア事件では、関連会社の株価をつり上げる目的で虚偽の事実を流
したなどとして、06年1月16日に東京地検が本社を家宅捜索。株価は翌
日以降急落し、同月末までに9割近く下がった。

 訴状によると、6社は計約2870万株を保有していた。株価急落後の同
月17〜31日に保有株全部を売却し、取得額と売却額の差額を賠償するよ
う求めた。判決は、刑事裁判の証拠などからライブドアが04年9月期の有
価証券報告書で虚偽記載をしたと認定。当時の報道の状況などから、06年
1月18日を虚偽記載の「公表日」と結論づけた。

 さらに、改正法に基づき、公表日前1カ月間と後1カ月間における平均額
(終値)の差額約585円が株主の1株当たりの損害に当たるとした。一方
で、堀江貴文元社長が逮捕されたことを挙げ、「虚偽記載以外の事情により
生じた株価の値下がりの要素もあり、3割を損害額から減額するのが相当
だ」と判断。算出した損害額と請求額を比べ、少ない方を株主の損害と認め
た。(河原田慎一)

 ◆ウソ情報に「しっぺ返し」

 市場や株主に虚偽の情報を出した企業の責任を認めて株主の救済を図る。
判決が示した判断は、04年の旧証券取引法改正の趣旨にそったものといえ
そうだ。これまでの株主訴訟では、株価が市場原理によって変動することか
ら、株価下落と虚偽記載との間の因果関係を証明することが難しく、株主側
が多くの時間や労力をかけて損害額を推定する必要があった。今後は、こう
した訴訟も短縮できる可能性が出てきた。

 また、虚偽記載を企業として公表していないライブドア側に対し、判決
は、捜査権限のある検察官も「公表」の主体になることができると位置づけ
た。被害弁護団の米川長平団長は「市場の実態をとらえて柔軟に対応した判
決で、我々にとっても明確な後押しになる」と評価する。

 逆に、企業の経営者側にとっては、訴訟にさらされるリスクが高まる厳し
い判決といえる。株主オンブズマン元事務局長の阪口徳雄弁護士は「今回の
判決は、虚偽記載が発覚すれば、経営者側にしっぺ返しが待っているという
警告になる」と指摘する。

 ライブドア株をめぐる同様の訴訟は、この日の判決を含め9件。請求額は
約716億円に上る。それでもライブドア広報は「訴訟の結果がすぐに会社
を揺るがす事態にはならない」という。05年に資本・業務提携したフジテ
レビ側から巨額の資金を得ており、約1540億円の現金や預金などが手元
にあるからだ。

 一方、インターネット事業に軸足を置いて再建を進めているが、他社との
競争は激化し、経営環境は楽観できない。ライブドアHDは今後、堀江貴文
元社長ら元役員に損害賠償を求める民事訴訟を起こす方針だという。広報担
当者は「今回の訴訟の推移などを考慮しながら、提訴のタイミングを検討し
ている」と話す。(澄川卓也、益満雄一郎)

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始めまして、こんばんは、ライブドア判決興味深く読ませて頂きました、私もライブドア粉飾決算事件で多大な損害を蒙ってしまった一人です。そして、株は自己責任と言う事で集団公訴の存在さえ知りませんでした。先日、機関投資家勝訴の記事にショックを受け、さらに
、調べているうちにここにたどりつきました。さらに、時効が2年
と言う事でWショック状態です。もう、どうにもならないのでしょうかね・・時効が延長されたとの記事ももみたのですが・・
ライブドアは『その程度の損害賠償はたいしたこと無い 1540億円あるから』だそうですね。。

2008/6/29(日) 午前 1:12 [ - ] 返信する

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[ hi_ganba」さん
当時ライブドア被害者弁護団が集団訴訟を提訴するという報道が相当なされていましたよ。http://www.livedoor-higaibengodan.jp/

[募集又は売出しに応じて」購入した株主の時効は3年です。これはライブドアから直接購入した株主の時効です。(金融商品取引法20条)他方市場で買った株主は2年です(金融商品取引法21条の3)

2008/6/29(日) 午前 9:04 [ abc*de*6 ] 返信する

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■[主張]ライブドア判決の意味するもの・・堀江は楠正成か?−時代の転換はもう始まっている!

http://yutakarlson.blogspot.com/2008/07/blog-post_26.html

こんにちは。この件に関してまず産経新聞のニュースを掲載しましたが、見方があまりに皮相的すぎます。私自身は、この判決の意味するものは、時代の転換点がすでに始まっていることだと思います。我々は確実に今までとは異質な時代に、少し前からすでに入っています。そうした意味で堀江は過去のモニュメント的な存在になると思います。さらに、一見あまり関係ないような、通り魔事件や、ストーカー判事のような事例は、大きな時代の転換点にありがちな混乱や不安の現れであり、時代の徒花に過ぎないと考えます。私達はもっと大きな本質的な時代の転換点にいることを認識すべきと思います。こには、長くコメントできません。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

2008/7/27(日) 午前 11:16 [ yut*k*rlson ] 返信する

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