弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪オリンパスは高裁判決を尊重し何故このような事件が起こったか、第3者委員会を設置し再発防止策を検討せよ≫
 
「オリンパス」の社員である浜田正晴さんが、会社の内部通報制度を利用したことに対する報復として他の部署に配転させられた事件。濱田さんが、その配転を無効とすることを求めた裁判で、一審の東京地裁は濱田さんの請求を全部棄却したが、東京高裁第23民事部(鈴木健太裁判長)は8月31日、浜田さんの請求をほぼ大筋で認める逆転判決を言い渡した。
 
高裁判決は濱田さんの通報を「立場上やむを得ずなされた正当なもの」と指摘し、「これを問題視し、いわば制裁的に配転命令をしたものと推認できる」と会社側の配転を無効とした。
 
公益通報者保護法が2004年に制定されてから企業の内部通報制度を利用して通報した事件でその内部通報制度に自ら定めたルールに会社側が違反したことを理由に人事異動を無効にした初めての裁判例。
 
裁判所は従業員の解雇事件では解雇無効にするケースが比較的多いが,配置転換を無効にするのは極めて慎重である。
 
配転理由は、後でもっともらしい屁理屈をいくらでも主張できること、裁判官は内部告発などと無縁の社会で生きているなど世間知らずの上に、自分達も3年か4年に一度配転させられる人事制度になっていることなどから、企業の配転という人事権の行使に甘い。
 
キャリヤーの裁判官らには内部告発を裁く能力はないーオリンパス判決評論(公益通報37)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/61075795.html
とブログに書き、内部告発裁判に裁判員の導入を言うのはこの為である。
 
それにしても、この事件は通報対象事実が法例違反などでなく、企業の倫理違反であること、コンプライアンス室が濱田さんの氏名を上司に伝えたこと=守秘義務違反など、企業内部の通報制度に違反する会社のあり方を批判して、配転を無効にした事例であり、今後の企業の通報者へのあり方に大きな影響を与えるだろう。
 
判決全文は公益通報支援センターのHPにあるので読んで頂きたい。
 
この判決を読むとオリンパスという会社は何と非常識な会社かと思う。
 
濱田さんの主張によると、自社と共同で開発する最重要顧客である会社の社員をその『情報』を持ったまま、ひっこ抜き、そのあげく、もう一人の社員まで引き抜きにかかった。この時に、濱田さんが、このような最重要顧客の社員の引き抜きはオリンパスの信用を無くすので、やめて欲しいと会社のコンプライアンス室に通報しただけである。マスコミやネットに公表したわけでもない。
 
本当に会社の将来を思い通報した濱田さんを、会社のコンプライアンス室は濱田さんの上司に通報者は濱田さんと伝えるなどのお粗末もあり、担当役員も、濱田さんと上司に≪仲良くやれ≫などとお茶を濁しただけであった。
 
ところが、上司はそれを恨みに思い、濱田さんを他の部署に配転した。
その上、次々と配転し、合計3回も配転する有様であり、しかも配転先で、JR西並みの≪日勤教育≫同様の無内容な業務を命じるなどの≪いじめ≫が行われた。
 
不可解なのは、オリンパスの人事部がたやすくこのような配転を認め、しかも濱田さんからの訴えがあった時に裁判をして濱田さんが≪得意先の人物が入社するのを嫌悪したから内部通報した≫などと適当な屁理屈をつけ裁判で長々と争うことを決断した役員達の姿勢である。
 
内部告発者を不利益取扱をする役員に株主代表訴訟を!(公益通報34)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/59363034.html
 このブログで次のように指摘した。
 
≪労働者は解雇されれば生活の為に裁判をするが、配転され一応給料が払われていると、あえて裁判までして争うのは難しい。配転という会社の人事権を主張して、裁判を長引かせることもこの裁判の提訴を難しくする一要因。仮に裁判で負けても、原状に戻せば足り、せいぜいこの間の慰謝料を100万か200万払えばよいとして「公然」と不利益取扱を行う。

これでは、会社の役員達は何ら腹が痛まない。内部告発をした労働者を配転などで不利益取扱いのしたい放題が容認される。

そこで、このような、公益通報者保護法違反を承知して不利益処分を行う企業の役員に対する株主代表訴訟が可能かどうか、公益通報者支援センターで検討してきた。
すなわち、公益通報者保護法に違反して配転などを行い、その為に裁判で敗訴した場合に、その裁判の為に
「支出した弁護士費用や裁判対策費用」
「コンプライアンスが機能していない企業としての批判されることによる信用損害」
などを役員個人に補てんを求める株主代表訴訟だ。

公益通報を理由に不利益取扱をしたかどうかは、社内に真面目に調査すれば直ちに判明する。

公益通報者保護法、又は自ら定めたコンプライアンス規定(内部統制システム)に従い、早期に是正すべき注意義務が役員にはあることは明白。

それをしないで、長々と裁判で争い、その為の何千万円の訴訟費用などを支払い、その上、裁判で敗訴でもすれば、会社の信用損害も甚大。
そもそもこのような会社の経営者は自ら定めた内部統制システムを守れないのであるから、およそ社会、消費者、取引先などから信頼されるはずがない。≫

長い目でみれば、このような会社のトップには損害を補てんさせ、その上辞めてもらうのが株主の長期的な利益にも合致する。 
 
オリンパスが最重要顧客である得意先の従業員を引き抜くなどの企業倫理に違反する実態がますます係争すればするほど広がっていく。
 
オリンパスの会社にとって、この事件は最高裁に上告せず、この事件を外部の第3者委員などをいれ、再発防止策を講じることが今の会社のトップに求められる。この事件を苦い教訓とすべきである。それが今後も消費者や社会の信用を獲得する有名企業としての期待される役割であろう。
 
もし最高裁に上告し、オリンパスが敗訴した場合は、自ら定めたコンプライアンス規定(内部統制システム)に従い、早期に是正すべき注意義務が役員にはどの程度あるか、公開の法廷で議論する絶好の良い事件。
 

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始めまして、

診断書を無視して働かせても、罰する法律が無い国ですからね。
労働契約を、奴隷契約と勘違いしているような企業団体が多すぎると感じます。賃金と言う人質を取られているような感じですからね、労働者は。

2011/9/3(土) 午後 1:56 クリ 返信する

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