弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

談合

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談合に関する株主代表訴訟の報告、実際の起っている談合事件への意見、感想
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≪談合決別宣言で報道されなった裏合意≫

2005年(平成17年)12月末のスパーゼネコン4社の「談合決別宣言」があった。

ゼネコン大手、談合と決別か(談合7)
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/22043656.html

4社とは、鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組である。

この裏事情が今ごろになって、やっとわかってきた。

2005年(平成17年)10月ごろからこれらの4社では、今後の談合をどのようにするか検討会議を開き始めた。談合をやめるのも「談合」によってしか解決ができないほど、お互いに腐れ縁が続いていた。

平成5年の仙台市の汚職事件で鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組のトップクラスが逮捕された。この事件をきっかけに鹿島建設、清水建設は、談合組織から「脱退」しようとし、各地の談合組織に、その旨連絡した。しかし、その結果、清水、鹿島らは、JVが組めなくなるなど受注ができなくなった。

結局、各地の談合組織などに「泣き」をいれ、まもなくこの2社も談合組織に復帰した。
そして、大手ゼネコンは、全国、各地で談合を繰り返した。

このようなことがあったので、大手4社は「談合」によってしか、談合と決別できなかった。
本社が扱う「中央物件」は鹿島と大成の役員が指揮っていた。

各地の談合組織はイロイロな企業の関係者が指揮っていた。

2005年6月、橋梁談合が摘発された。各地の談合も地検、公取委によって摘発された。
2006年1月から改正独禁法が施行されることになっていた。

そこで、2005年10月から大手4社の間で、今後、談合問題に対処するか協議が続いたようだ。

平成17年度 (平成18年3月末) までは談合を続け、平成18年4月からやめるとかの協議が続いた。
公取委との非公式の折衝などがあった。

最終的には2005年12月末にやっと「談合決別宣言」がなされ、それが朝日新聞などにリークされた。

そこでの合意とは、概ね

 (神18年1月からは一切の談合行為は行わない。

◆|鵡腓硫江欧砲覆辰討い訝賃里らは直ちに脱退する

 「業務担当者」は配置転換する

ぁ(神17年中に本命が決定している物件については、粛々と進める。(それを反故にせよとは命じない)

ァ‖腟模工事のダム工事などの100億円以上の長期営業物件などの「ビッグプロジョクト」は別扱いとする

などの合意があった.

上記´↓の事実は報道されたが、大手ゼネコンに都合の悪いきイ痢の合意があったこと等は、リークされなかった。

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≪談合企業の独禁法コンプライアンス研修は外向けのパフォーマンス≫

談合の株主代表訴訟をしていると役員達は、社内で、まさか業界担当者が談合をしているとは知らなかった。談合担当者は、業界の担当者などと秘密にこっそり隠れてするので、役員は知りようがない。

しかも社内で、コンプライアンスプログラムを作り、職員には独禁法研修会を行い、談合は違法であると何回も研修を行っていた。

よって役員には責任がないと反論している。

従業員が会社のカネを使いこむような個人的犯罪の場合と違い、会社の為に談合しているのだから、全く秘密にすることなどはあり得ない。

独禁法に関する研修会も「談合が違法です」と教える形だけのもので、本当に談合と決別するようなものではないと原告達は反論している。

しかし、裁判官は、会社に勤務したことがないから、この役員達の言い分を信用しがちである。

ある談合事件を調べているとこのような役員の弁明が全くのにせものであるという面白い従業員の話にぶつかった。

この人は、ある大手の企業に勤務し、10年以上、業界担当をしていた。談合事件の発覚で、検察庁に逮捕された人の話である。

「談合に関与していたことはすべて事業部内では誰もが知っていた。会社の自分の机から各社の業界担当者に電話をかけ、受注調整会議の日時を打ち合わせたり、入札価格を連絡したりしていた。社内では、個室が与えられていたわけではないので、周りの職員も私の会話を聞くことができる状態であった」

「取締役部長の○○さん、××さんも、知っていた。経営計画を立てる段階から談合を前提にして、年間●件を受注し年間売り上げ目標を●●億円に設定しよう。利益率はaa%からbb%でとれるようにしようと談合を前提にして指示がくる」

私が関心を持ったのは、その企業が談合罪で公正取引委員会から摘発されたあと会社の対応である。

「会社はこのような不祥事が起こるたびに独占禁止法の研修会などが開催されるが、現場の職員からみれば
     『一体誰に対する教育なのか』
     『一体どこに対してアッピールしているのか』
本当に談合と決別するなら、取締役である部長自ら、私に対して今後受注調整会議に出席しないように指示すれば良いのに、このような研修は対外的なパフォーマンス以外の何物でもない」

コンプライアンス本部と当該事業部の合同の独禁法監査などが行われるが

「私が業界担当であることは百も承知しているにも関わらず、私の手帳を確認したり、私に対するヒヤリングを実施したりしない。全くやる気のない形だけのパフォーマンス」

「結局のところ公正取引委員会から摘発されるたびに、何か新しい手立てを外向けにパフォーマンスするものの、本気で談合と決別などしようという取り組みはなかった」

しかも、談合が発覚すると

公正取引委員会の調査の段階では、会社の意向を受けた●●弁護士から談合自体を否認するように言われた。

談合を認めたあとも、××弁護士からも
「基本ルールと組織の点については調書にしないようにして下さい」という指示があり、会社として独禁法の責任を免れようとしていたと」生々しい話が続く。

世間では、この従業員の話は常識だが、裁判所に入ると、この常識がなかなか通用しない。このような証人が法廷で証言してくれると、裁判官の見方も多いに変わるだろう。

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横浜市が、水道メーターの入札で談合があったとして、メーカー4社に2億2,796万円の損害賠償の訴訟をしている。
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2004/040804.html

(現在は、リコーエレメックスと和解し、愛知時計、金門製作所など3社と係争中)

横浜市の弁護士から頼まれ、この裁判に証人として、『談合を巡る経験則』について、証言することになった。水道メーターの入札談合を見るのは初めてあるが、入札に参加する企業行動は建設、土木でも同じなので、証人になることをOKした。

今まで、私の体験した橋梁談合、長崎県談合、し尿汚泥談合事件や、地方自治体における入札改革の結果、落札率が低下した経験的事実をのべ、そこにおける『談合を巡る経験則』を考察し、その『談合を巡る経験則』からみると横浜市の水道メーターの入札において談合があるかどうかの言わば「専門家的証人」であった。

今まで、多数の証人に尋問することはあったが、自らが証人として同じ弁護士から尋問を受けるのは初めて。

先週に尋問があった。
横浜市側の原告弁護士から主尋問が30分、被告企業の弁護士から約1時間、反対尋問を受けた。

主尋問は、予め裁判所に私の「陳述書」で出しているので、簡単に終わった。

反対尋問は、『自分なら、どのような反対尋問をするかを考え、想定反対尋問事項』を作り準備した。

ところが、ある被告企業側の弁護士は「私は談合に詳しくないので・・・」から始まり、最初から、腰が引けた反対尋問であった。

殆ど予定した想定反対尋問事項の核心に入る反対尋問はなかった。

私のような年配の弁護士に、若い被告側の弁護士達は反対尋問を相当やりにくかったのであろうと同情した。

証言した「談合を巡る経験則=定理」の要旨は以下の通り。社会では常識的定理だが、裁判所ではなかなか通用しない定理である。
―――――――――――――――――――――――――――
入札を巡る3つの経験則=定理。

  效鵡腓あると、必ず落札率は上がる】という定理である。
談合はチャンピオンというか落札予定業者が、1人で価格を決定できるからである。同じ落札する以上、1円でも高くという経済法則が働き、予定価格か、予定価格に限りなく近い金額で落札する。これは入札における一つの「定理」である。

◆。欧通椶猟衢は【競争があると落札率が下がる】という「定理」である。

競争性があると、落札しようと思えば、競争相手があるので、相手より、1円でも安くという経済法則が働き、結局のところ、最低制限価格に限りなく近くなるか、最低制限価格と同じになる。競争性があれば落札率が低下するというもの「定理」。

談合があると高い落札率になるということは定理だが、高い落札率イコール談合の認定と必ずしもなるとは限らない場合もありえる。というより談合があったかどうかが判らない。この考えが、1件や2件の落札を見た場合の話であって、1年とか2年間の間、長期的に、大量、集団的に入札結果を観察すると、高い落札率の場合は、談合があると言う認定になる。

何故なら、長期間、大量的な入札において、もし談合がないとすれば、もう一つの「定理」が働き、落札率が低下するからである。もう一つの定理が、長期間、働かないとなれば、談合があったと推定される。

最近、高落率は談合の認定資料にならないという判例も一部でている。
この判例の考え方は、その当該入札の1件か2件だけを見ているだけで、それまで、長期的に高落札率で維持されてきた入札結果=競争があれば落札率が低下するもう一つの定理がなぜ長期間、働かないのかのという反対の事実から考察しようとしない。

以上の定理は、落札業者から見た定理だが、落札しなかった業者の入札行動から談合を推定する、別の定理がある。

  3つ目の定理は【入札に参加するが落札しない業者の入札価格はデタラメである】という定理である。

談合において、チャンピオンの場合は、自社が落札するから、応札する場合はキチント社内で積算しその上で、上司の決裁も仰ぎ入札に参加する。
普通は予定価格を読み、予定価格の以内で、それに近い金額で応札する。

ところがチャンピオンでない場合=サクラの場合は、落札する意思がないから、社内で積算もしない。積算しても形だけ。何故なら、入札価格は自社が決めないからである。
積算しても意味がないからである。

サクラの場合の入札価格の決定は、チャンピオンの指示によるか、談合組織の一定のルールによって決めるからである。

その結果、応札率がデタラメ即ち予定価格をオーバーした価格で入札する結果に、特徴的に現れる。最初から落札する意思がないことの証明。落札する意思がないのはサクラ=談合の特徴。

このような、証言に対して、被告企業から、横浜市の予定価格は「原価」を割るいわば「赤字受注」となるから、必ずしも積極的に受注したくない企業では、そのような定理は通用しないのではないかという反対尋問などを受けた。

【一般的に言えばそのようなことはありうるが、被告企業の当時の有価証券報告書からみれば、その前年などは水道メーターの売上が激減していることからみれば、受注意欲があると考えるのが自然。このような時に仕事が欲しくないという、企業、営業担当者はいない。普通はどのようにして、売上をどう増やすかが大きな関心事だから】などと回答。

楽しい、面白い、且つ私にとって珍しい体験の日であった。

≪余談≫

「朝ズバッ」のテレビタレント兼司会者の「みのもんた」が卑屈なほど、東京都石原知事に「ペコペコしヨイショ」している。テレビを見ていて、どうして石原知事に「弱い」のか以前疑問に思ったことがあった。

今回の証人になる際、調査していたら、東京都の水道メーター談合事件などで、課徴金を命じられている企業(東京都港区六本木六丁目17番1号 株式会社ニッコク)の社長(御法川 法男)が「みのもんた」であることを知った。
http://snk.jftc.go.jp/cgi-bin/showdoc.cgi?dockey=H170207H17J03000024_

しかも、東京都から談合企業として摘発された、大手水道メーターの愛知時計電機の大株主であることも。

同社の有価証券報告書を見ると

御法川法男 神奈川県逗子市 2,892、000株 6.18%
とあり、全体の株主の中では日本生命につぐ2番目の大株主。個人株主では筆頭株主。

愛知時計は1株当たり3円50銭の配当をしている。
寝ていても愛知時計から「みのもんた」は年間1000万円余の配当を受ける。
https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1223779199182

「みのもんた」は、弱い政治家などには厳しく叩き世論の喝采を受けているが、強い石原知事などの政治家には「ペコペコ」していると思っていたが、以上の談合事件などを見ていると、それだけではなさそうだ。

以上は水道メーター談合事件から「みのもんた」の少しだけの裏が見えた余談。
芸能人の話であり、あまりたいした話ではない(笑)

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ゴミ焼却場に関する東京高裁の判決が9月26日に判決されていた。

http://snk.jftc.go.jp/pdfdocs/H200926H18G09000011_.pdf
http://snk.jftc.go.jp/cgi-bin/showdoc.cgi?dockey=H200926H18G09000011_

三菱重工、日立造船、川崎重工 タクマ、JFEエンジニアリング(昔の日本鋼管)5社が、1994年4月1日から1998年9月17日まで地方自治体などが発注した87件(1兆1031万円)のうち5社が落札した66件(合計約9600億円)を受注。

これに対して、公取委は1999年、談合があったとして5社に排除勧告を行ったが、5社が応諾しなかったため、2006年6月違反行為を認定する審判審決を出した。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.june/060628.html

この審判審決に不服であるとして、三菱重工5社の取消訴訟が今回の東京高裁の判決である。

東京高裁判決はことごとく、三菱重工ら5社の主張を排斥した。

談合5社は引き伸ばしの為に最高裁へ上告する可能性がある。
しかし引き伸ばしても最後には、課徴金が命じられることになろう。

約9600億円×0.06=約576億円前後の戦後最高の課徴金となる。
(橋梁談合事件では課徴金が約129億円余だった)

判決は、昭和54年12月公取委から談合があったとしてこの5社は、警告の措置を受けておりながら、同様の行為を防止するための体制に不備があったことは明らかであると認定している。

これらの会社のコンプライアンス体制に欠陥があったと断定された。

現在、橋梁談合事件の株主代表訴訟が三菱重工の役員らに対して継続している。

東京地裁の裁判官が、異例にも、三菱重工の役員に対して、今までの談合事件に対して、どのような措置を社内でとったかの釈明を求めた。

ごみ焼却施設について、被告三菱重工の役員は、営業担当者などヒヤリングなどの社内調査を実施したが、当該談合の事実は確認できず、社員への懲戒処分もしていないという回答であった。

ところが、高裁判決によると、このごみ焼却施設談合は三菱重工のH社員は当初、公取委への調査で、談合の事実を認めている。しかし、このH社員の供述が、後日変更され、談合がなかったとなったことになったようだ。

東京高裁判決は、「H社員が、事の重大性を認識し雇用主である会社(三菱重工)に多大な損害を与えるかも知れないことをは慮って」審判廷において供述を変更された可能性を否定できにないものであり、「初期供述と比べて、あいまいかつ不合理な説明しかしておらず」とH社員の供述の変更をみとめず初期供述を採用した。

おそらく、H社員の公取員への初期供述を、会社ぐるみで変更させた可能性が高い。

この一事を見ても、三菱重工は隠蔽体質の強い会社であることが推定される。

高裁判決は「一旦違反行為が行われ、入札談合による恩恵を受けたものはその恩恵に預かる機会を断ち切ることは難しい」と断定しているように、三菱重工の役員達の、過去のごみ焼却場の談合、橋梁談合に対する姿勢を見ると、知らぬ、存ぜぬの繰り返ばかりで、全て部下が行ったという姿勢では、いつ何時「過去の恩恵」を繰り返すか判らない。

過去の談合に対して反省してこそ、今後談合を繰りかえさない保障になる。

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≪全業者が同額を提示、不正の疑い 大阪府柏原市が公取委に報告≫(朝日新聞、2008年9月4日)

大阪府柏原市が、平成20年1月11日水道排水管布設工事 予定価格 20,052,000円として入札を実施。これに8社が「20,052,000円」の予定価格一杯で入札に参加した。抽選で、A社が落札したケースである。他数件がある。

予定価格は公表されていても、普通はあり得ない入札であろう。

予定価格が市場価格より安い場合もあるが、その場合でも、応札する以上、どこか1社か2社は予定価格より「2000円」安く「20,050,000円」で入札することは可能だ。わずか2000円位なら赤字と言える金額ではないからだ。

ところが8社全社が同じ金額などはあまりにも「人為的」

この時期以前は、最低制限価格で全業者が応札し、抽選で落札業者を決めていたという。

同じ抽選なら、予定価格一杯で応札し、抽選で落札業者を決めるなら「談合」ではないだろうという考え方もある。

落札予定業者を、予め決めるから談合となる。

予定価格一杯で入札しても「落札予定業者」を決めていないから「談合」ではないという論理である。抽選で決める以上、偶然に落札業者が決まるからだ。

しかし「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」第 2条4項で「入札談合」とは・・・【共同して落札すべき価格を決めること】も談合に該当するとしている。
 
≪この法律において「入札談合等」とは、国、地方公共団体・・・が入札・・・請負その他の契約の締結に関し、当該入札に参加しようとする事業者が他の事業者と共同して落札すべき者若しくは落札すべき価格を決定し・・・等により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、第三条・・・の規定に違反する行為をいう≫

実質的に競争を阻害していることは明白だ。

このような談合は普通は落札した業者は、落札できななかった業者に「下請け」「裏ジョイント」にいれ、仕事を配分している可能性が大である。

大阪地検が捜査に入ったという情報がある。
当然であろう。お粗末な「入札」と言える。

大阪府柏原市が公取委に報告しただけで、何ら自主的に「談合の疑いあり」とみて調査しないことは「怠慢」を超えて、異常である。官製談合ではないかと疑われる所以だ。

大阪府柏原市がただちに、外部委員を入れて今回の入札について調査する必要があろう。
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全業者が同額を提示、不正の疑い 大阪府柏原市が公取委に報告

 大阪府柏原(かしわら)市が昨年度発注した水道関連など10件の工事の指名競争入札で、すべての参加業者が事前に公表された予定価格と同額で入札し、市は「不正の疑いがある」と公正取引委員会に報告した。予定価格は落札可能価格の上限にあたり、市はこうした方法で落札価格を高値で維持し、業界の利益を図った新手の談合の疑いがあるとみている。大阪地検特捜部もこれらの事実を把握しており、近く、業者数人から事情を聴く方針。

 公共工事の入札をめぐる不正は、参加業者が事前の申し合わせで落札者を決め、ほかの業者が落札者の提示額を上回る価格を示す談合が一般的。10件は異例の入札となったが、市は提示額が落札可能な価格の範囲内だったことを理由にくじで落札者を決定。公取委に報告したものの、聞き取り調査などはしていない。自治体の入札改革に取り組む市民団体は「対応が甘い」と批判している。

 市によると、10件の落札総額は約1億円。昨年10月〜今年2月に入札があり、市内の計23業者が参加した。うち7件は水道の配水管の敷設工事で、それぞれ4〜8社が413万6千円〜2005万2千円を一斉に提示。道路の改良工事など3件も同様だった。
 市契約検査課はこうした状況を不自然と判断。独占禁止法違反と疑うに足る事実の通知を義務づけた「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の規定に基づき、別の工事1件を含む11件について2月に公取委に報告した。どの工事も談合情報は寄せられていないという。

 ある受注業者は予定価格で入札した理由を「資材価格が高騰して必要経費が予定価格を上回り、本当はもっと高い価格で入れたい。一方、入札を辞退すれば目をつけられる。それでああいう形になった」と説明。事前の申し合わせは「ない」と否定した。
市は02年以降、漏洩(ろうえい)が起きないよう、予定価格を事前に公表してきた。10件の工事の予定価格は市のホームページでも閲覧できた。今回の事態を受けて、今年度からは事前に公表しない方法にした。岡本泰明市長は「談合の疑いがあると考えている。しかし、価格は範囲内だったので、聞き取り調査まではしていない。その後、制度を改革しており、何もしなかったわけではない」と話している。

 NPO法人「入札改革支援センター」(大阪市)の共同代表、阪口徳雄弁護士は「すべての入札参加業者が予定価格と同額を示したケースは初めて聞いた。もし、事前の申し合わせがあったとすれば独禁法などに抵触する疑いもあり、新たな談合の手口といえるだろう。業者への聞き取り調査をしていないのは市の怠慢だ」と指摘している。

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