複音ハーモニカの奏法92 分散和音-3 (音と身体8)

分散和音奏法が複音ハーモニカの「最高難度」の技法であると言われる所以は、その身体性にあります。
 
ある曲にはそれぞれ多様なアレンジが可能です。
でも、ここはベース奏法で刻もうとか、ここは分散和音で演奏しようとかいう事柄には、ある必然性があります。
私は生徒さんの発表会の演奏譜は、ほとんど元の楽譜通りということはありません。
その人の進度によって、様々に変えていきます。時間がたっぷりある時には、練習の途中からある部分の奏法を変更したりします。前奏や間奏等も、必要とあればその人の進度に合わせて作ります。
最近とても面白いことがあったのは、「ここは単音でシンプルに演奏した方がいい」というアレンジをしたところ、別のプロのアレンジが、その部分については一致していたことがあるのです。
 
ですから、「ここは分散和音奏法でいこう」と言っても、上から下りてくるのがいいのか、それとも下から駆け上がった方がいいのか…、同じ下から順に上がっていくにしても、ソフトに進行するのか、はじけるように駆け上るのか…、それこそ千差万別の演奏が可能です。
ということは、分散和音奏法で演奏する時に、例えば低音の伴奏を「ド・ソ・ミ・ソ」と勘定していたのでは、どうにもならないのです。
ここは、是非ともメロディラインに集中して、低音の伴奏は身体感覚の中で行われる必要があるのです。
ほんのちょっとした指の寒感覚で、ことは決まります。あるいは、ほんのちょっとした唇の感覚で、ことは決するのです。更に言えば、ほんのちょっとした息遣いで、全く事態は変わると言っていいでしょう。

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複音ハーモニカの奏法91 分散和音-2

話が飛んでしまいました。もう一度、分散和音に戻りましょう。
 
今、仮に「ド」が4泊続くメロディラインを例にして、低音部の和音を分解して演奏する場合をいくつか示してみましょう。
イメージ 1
低音部を単音にした場合だけでも、可能な音の進行は、いくつも挙げることができます。
低音部の一つを和音にすることも可能ですから、その組み合わせは多彩です。
 
ここで大事なのは、メロディラインの音が揺れないことです。下の分散和音の進行に気を取られて、どうしても音が途切れたり、一部が強くなったりしてしまいがちです。
もう一つは、低音部の分解した和音の音がくっきりと粒がそろって聞こえることです。
それこそ、自由自在に演奏できるように、三座マナケースを取り上げながら、繰り返し繰り返し練習することが大切です。
 
これまでのレッスンで特徴的なのは、オクターブを習得した人が、この例示でいえば五度和音がなかなか難しいということです。
こういう時は、三度→五度、あるいは五度→三度の練習に一度立ち返って、その身体動作をもう一度確かめることです。ハーモニカの角度と音の関係を身体化すること無しに、自由に分散和音を演奏することはできません。
 
つまり、単音を美しく響かせることができる→隣り合った音の和音を美しく響かせることができる→隣り合っていない音の和音を美しく響かせることができる→隣り合っている和音と隣り合っていない和音の間を移動して、どちらの音も美しく響かせることができる→オクターブを美しく響かせることができる→これらの音の響きを様々な二移動しながら、美しく響かせることができる…という事柄は、一つひとつが密接に結びついているのです。
 

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複音ハーモニカの奏法90 私のハーモニカ歴-3

中国から帰国後、2年間半ほどたった頃から、私はある決心をするようになりました。それは、還暦を迎える、2005年の1月に、ストリートライブを開始するということでした。
私のギターやピアノについては、沢山の友人達が知っていました。
でも、家族以外の誰一人として、私がハーモニカを演奏するということは知りませんでした。先に書いたように、ハーモニカは私にとって、楽器というより、私だけの、“たった一人の世界”だったからです。
「ストリートライブを始める」と宣言した時に、友人達はびっくりしました。
 
ストリートライブは若者達の“専売特許”のように思われていましたから、「高齢者がストリート」という驚きと、「西川がハーモニカ」という驚きがあったのでしょう。
 
宣言通り私は、還暦を迎えた誕生月の1月にストリートライブを開始しました。
友人の音屋さんが器材をみつくろってそろえてもくれました。
ライブの場所についてもずいぶん検討して、福岡市の中心街にある天神中央公園と決めました。
第1回目のライブには、娘とその母親が、花束を持って来てくれたのです。
 
こうして、私は「たった一人」で、演奏活動を開始しました。
 
演奏活動を始めたその年に、私は第1回のリサイタルを開催し、友人達は「西川が本当にハーモニカを演奏する」ということを知ったのです。
以来ストリートライブは8年半を迎えています。
 
 

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