水魚の交わり覚え書き

音楽unit ori's 立花のエッセーです。 就寝前にでも立ち寄って下さい。www.airplanemusicstore.jp

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全16ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

イメージ 1

 空は快晴。素晴らしい秋風が、まだ若いススキの間を吹き抜けていくのを見ていた。
次のお休み、おにぎりを持って河原にでも出掛けてみたいなぁ..。そんなことを思いながらな穏やかな心持ちでいられるのを幸せに思った。

ところで、今まで私は自宅に絵画を飾ったことがなかった。色や絵が放つエネルギーは毎日私が生活する場所にはちょっと強過ぎる気がする。それよりも数日で枯れてしまうけれど、野の花や葉っぱを飾る方が好きだ。
でも最近の事、あるメキシコの女性が書いた荒削りで指向性に満ちた強い絵がうちにやって来た。それは部屋のあちこちを移動してはしっくりと納まる場所を探している。額縁がH73×W55というこの大きな絵をもし玄関先に掛けるとすれば、部屋を訪れてくれる友人達を排他的に弾いてしまうと思う。けれど部屋の中に白壁の面積は意外になく、絵を飾る所定の場所はいつまでも定まらない。
 
 ある日絵は、窓から秋風を招き寄せて、立て掛けてあった場所から勢いよく落ち、ガラスを完全に割ってしまった。絵はガラスに密閉されているのが窮屈だったらしく、風を利用して自らのエネルギーを解放したようだった。私はそれまで、この絵が持つ強さを気にとめていなかったけれど、急にこの絵がなんなのか気を惹かれ、まず絵のタイトルを探した。クアウテモック「急降下する鷲」それが描かれている絵のタイトルであり男性の名だった。クアウテモック、それはかつて存在したアステカ帝国最後の君主で、若くしてなくなっていた。
 激動の史実の中に生きた男性の青春を思い、彼を題材として描いた1人の女性の心の内も想像した。
絵の持つエネルギーは作者とこのクアウテモックのモノなのだろう。やはりこの絵は強過ぎるけど、同時になぜか柔らかい。
 変化した部屋の空気に気づいた今、それは案外私にとって居心地が良さそうだ。

                                : 水魚の交わり覚え書き :

ori'sオフィシャルページ
http://www.airplanelabel.com/oris/

ori's応援団(管理者ふぁんとむさん)のページ
http://www.orifan.com/

ori'sの音が聴けるページ
http://www.myspace.com/orisakairo
i tune storeでも

ユニコーンのPV(youtube)
http://jp.youtube.com/user/airplanemusicstore
 

この記事に

開く コメント(36)

開く トラックバック(4)

プロモーションビデオ

イメージ 1

            「ユニコーン」のプロモーションビデオ
          http://jp.youtube.com/user/airplanemusicstore

 アルバム[Recorded]の11曲中、ユニコーンという曲をプロモーション活動の押し曲に決めてビデオを作ろうよ...となり、出来上がったので是非観て下さい。いまyoutubeで流しています。ori's


                           
ori'sオフィシャルページ
http://www.airplanelabel.com/oris/

ori's応援団(管理者ふぁんとむさん)のページ
http://www.orifan.com/

ori'sの音が聴けるページ
http://www.myspace.com/orisakairo

youtubeのurl
http://jp.youtube.com/user/airplanemusicstore                            

この記事に

開く コメント(2)

イメージ 1

 雨が降って来たようだ。外を覗くと車道が少し濡れている。私は風に当りたかったし、10分もかからない最寄り駅まで傘を持って、畑の仕事から帰って来る健太郎を迎えに行く事にした。
 小雨と風とがしっとり肌にあたって気持ちよく...だから傘はたたんだまま歩いた。

 予想と大差のない時間、改札出口に健太郎の姿が見えた。今朝は持っていなかった紙袋を下げて、ニンマリしながら「ただいま」と言った。
雨あしが少し強くなっていた。私達は傘をひらいて、蒸し暑かった今日一日を話題に歩き出したけれど、健太郎は急に何か思いついたように、焼酎が必要なので酒屋に寄りたいと言う。だから私達は商店街を通って帰る事にした。
 この商店街に大型店はなく、家族経営の小さな専門店が毎日毎日の暮らしを営んでいる。そんな風情を私達はとても好んでいるから、雨の中を二人でテクテク歩くことで、一日の慌ただしい気分を静める事が出来た。

 ところで、健太郎が焼酎を欲しがることなんてないのに、なぜ急に必要だと言うのか不思議に思った。聞いてみると、その理由は朝には持っていなかった紙袋の中にあった。
 紙袋を覗くと、中には収穫した野菜が入っているのではなく、2リットルの汚れた空のペットボトルが一本入っていた。私は何かの予感がしたから、空ボトルの中に入っているものに焦点を合わせないまま急いで目を離し、中身は何なのかと問うた。すると健太郎は、それはムカデだから見ない方がよいと言う。もう遅かった。何か黒くて長いものがゆっくり横たわっている残像があったから、ムカデだと知ると、急にうざうざとした気分になった。健太郎が焼酎を買っている間にその紙袋を預かったけれど、紙袋は少し体から離して、絶対にそれを見ないようにした。

 家に着いて夕食を済ませ、私達がそれぞれの事をしている間、小さい空気穴のあいたプラスチックの中でひっそり寝そべっているムカデは、段々と弱っていくように思えた。
 人の夜時間は早く更ける。
 健太郎はつまり「ムカデ酒」を作るのだと言っていたけれど、パソコンの前でうとうとと眠くなっていた。でもムカデを何とかしなければならないと思い、私は今夜中に生き物は何とかすべきだと健太郎を促したのだった。

 健太郎は私に、ムカデを瓶に詰めるから見るなと言ったけれど、何かあたふたとやっているので気になる。最初は遠巻きに見ようと思ったけれど、初めて見るムカデは思ったよりもずっと大きく、逞しい力を放っている。だから私はつい惹かれて、ずっと近づいてしまった。
 それは触覚のある頭部と尻尾がホントに真っ赤だった。しっかりした足がたくさん備わっている黒光りした胴体は、見れば恐ろしく見事で、足の機能は完璧に動作しているようだ。そして、弱っていると思っていた生き物は、物凄い勢いで体を仰け反らせ、信じられない力でのたうち回っている。お箸でつかもうと考えていたけれど、とてもすんなりとは叶わない。とうとうムカデは健太郎のお箸から飛び落ちて床にポトッと着地し、直ぐに逃避行動に出た。私は突然とても可笑しくなってしまった。ムカデよりも広い視野と知能を持った人間が、真剣になって格闘しながら、同時に恐ろしいと思っているのだ。
 私達は慌ててペットボトルをジョウゴのように切って、その中にムカデを捕らえ、焼酎の瓶口に逆さまにくっつけた。そして隙間をしっかりとテープで塞いでしまった。
 もしもムカデが部屋の中を逃げ回り、行方がわからなくなってしまったら...と思い、とにかくムカデがジョウゴの中に納まって、私達はホッとした。
 暫くすると、中はアルコールが充満し、ムカデは思うように動けなくなってペットボトルの側面をダランと落ち、やがて焼酎の瓶へ とぼんっと落ちた。すると焼酎の刺激に驚いたムカデは、足場のない液体の世界でぐるぐるバタバタと猛烈に体をくねらせて暴れ回った。
私達が、生きていた生命をわざわざ追い詰めてしまって、あんなにもがいている。けれど、もうどうにも助けることは出来なかった。ムカデは段々と動きを弱めていき、止まったかと思うとまた力を集結させてのたうち、また止まり、のたうつ、を繰り返した。やがて目に見える生命の印はまったく無くなってしまった。

 私達はムカデがただの動物であるとはとても信じられなくなっていた。瓶の中で最後の力を発揮していた、三十センチもない怪異な生物は、明らかにその物理的な大きさ以上の存在感を示していた。私達はムカデの背後にある何かを感知したかのように思えた。私は畏れと切ない命に感電させられて体が熱く興奮していた。この夜の興奮を言葉で説明しようとしても無理なのかもしれない。ただムカデが、はるかに意表を突いて、人の心を大きく動揺させたのは本当のことだった。

 焼酎の瓶の真ん中に直立したムカデは、あの存在感を消していた。でも健太郎と私の気持ちが落ち着くまでにその後とても時間がかかった。

 次の朝、私は早くにベランダに出て昨夜使った物を洗い、掃除を始めた。すると植木鉢の下から小さなムカデがするすると這い出してきて、掃除をしている私の視界を行ったり来たりしている。
即座に、私も計り知れない自然の一部に包容されているんだという事実を感覚した。そして微弱に細まったエネルギーをもっと太く躍動させたいという気が起こった。
 そのタイミングに合わせて急に荒々しく、人の気を刺激するような蝉の声が一斉にはじまった。

                            : 水魚の交わり覚え書き :
ori's応援団(管理者ふぁんとむさん)のページ
http://www.orifan.com/
ori'sオフィシャルページ
http://www.airplanelabel.com/oris/
ori'sの音が聴けるページ
http://www.myspace.com/orisakairo

インターネットにインタビューがupされています。
http://ongakujin.com/oris/index.htm
http://ongakujin.com/

この記事に

開く コメント(4)

イメージ 1

 夕暮れの頃には部屋でくつろいでいた。窓からとても快い風が入って来るので、私は本を持ってベランダに出て、プラスチック製の古椅子に腰掛けた。蒸した午後の気の中を、すぅーっと清々しい風が私を目がけてやって来た。この素晴らしい瞬間を切り取れるなら「幸福」というタイトルを付けて重要なファイルに保存する。
             
 固い古椅子に少々疲れたころ、ふと辺りを思えば、本の文字を読めないほど暗くなっていた。その時ちょうど、パンパンという火薬の破裂する音が響いた。すぐに、何処かで花火をしているのだと察したけれど、西向きに放たれた部屋のベランダからは、どこにも火の粉を認める事は出来なかった。だから私は即座に立ち上がり、本を持ったままマンションの最上階まで駆け上がったのだった。
 花火は、近所の丘高い公園から打ち上げられていたけど、コンビニエンスストアなどで売っている簡単な花火ではないようで、それは込み入った光が空中で長い事パチパチしていた。私はこれが何年かぶりの花火見物だったけど、うっとりする間もなく、ただ、だらんだらんとした間隔で打ち上げられ、あっという間に全てが終わってしまったのだった。

 私は何か...打ち上げ花火と人生観の哲学的な事を感じたけれど、考えるのをやめてしまった。でも、ただもっと振動が体の奥まで轟くような、火の粉の熱を感じるような巨大な花火をいつか見に行きたいと思った。
 
 人間が毎日の出来事に喜びとか憎しみとか消耗を感じている間、ちっぽけな気分でいる間、畑の茄子やキュウリやゴーヤやトマトのように、瑞々しくさっぱりとしたエネルギーをいっぱいに満たしたい。そんな人が世には大勢いるから、きっと私だってそうなれるかもしれない。

考える間もなく刻々と夏の盛りは様子を変えて、この夕暮れや花火も、それから人間関係も。だから、花火は見る人をワクワクさせた後、物悲しくもさせるのかもしれない。


                         : 水魚の交わり覚え書き :

この記事に

開く コメント(2)

イメージ 1

ori's (オリーズ) Infomation


ori'sの応援サイト http://www.orifan.com/
myspace URL http://www.myspace.com/orisakairo

     アルバム :  Recorded
     リリース : 8/25 

進行中のこと→Recorded に収録される曲「ユニコーン」のビデオクリップ制作中。
It will be released soon.

もう一つの予告→ 8/17(sun) FM横浜 生ライブ出演が決まりました。
                        詳しくはまたお知らせします...soon!

     今年の8月はどのくらい暑くなるんでしょう...。どのくらいだろう...。
ori'sを聞くと'08の夏を思い出すっていうほど、聴いてもらえたらなぁ。
       いまは、myspaceで四曲を聴いてもらうことが出来ます。
     それでは see you soon また。 ori's

     

この記事に

開く コメント(3)

全16ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


みんなの更新記事