災害イマジネーション能力を高める〜震災対策セミナー〜
平成21年6月13日(土)に、「震災対策セミナー ―安心安全はまちのうりもの」が開催されました。私も参加してまいりましたのでご報告します。(新宿区商店会連合会主催、東京いのちのポータルサイトも協力)http://www.tokyo-portal.info/info/shinsai_taisaku.html震災対策セミナーでは、滋賀県立大学教授 柴田いづみ氏の「全国商店街の耐震、街づくり事例」の実践報告から始まりました。 「命もまちの継続を考える」柴田氏の講義は、墨田区のまちづくりを考える上でも参考にさせていただきたいと思います。商店街と学生たちが共同作業している様子、地元の工業高校の生徒達も参加のもと、耐震補強が行なわれている映像を拝見しました。250年前の木造の建物が、建築関係者、学生、地域の人々との連携のもと耐震補強され、現在はまちの駅「力石」となり、Cafeや寺子屋ともなって、地域の方がたに親しまれる存在に生まれ変わりました。 まさに柴田氏が主張されている「個の総体がまちをつくる」が実践されています。そして、木造住宅の耐震診断と補強を広げていくためには、行政や建築業者以外の地域の力が大事であると主張されています。木造住宅の耐震診断と補強への取り組みには学ぶべき点が多々ありました。 いつくるかわからない地震に対する耐震補強は容易に進みませんが、明日からの暮らしを利便にし、 美しい空間をつくるリフォームと耐震改修が重なっていれば、誰もが大きなメリットを感じます。 ◎滋賀県立大学街なか研究室ブログより(記事引用) LLP(有限責任事業組合)ひこね街の駅 武櫓倶:滋賀県立大学街なか研究室 http://machinoeki.exblog.jp/i22/ 特別講演:東京大学生産技術研究所教授 目黒公郎氏特別講演の目黒公郎氏のお話から様々なことを学ばせていただきました。以前にも「すみだ耐震補強フォーラム2009」において学びましたが、 今回更に墨田区における耐震補強への重要性を認識しました。 1.災害環境イマジネーション能力の向上☆発災からの時間経過の中で、自分の周辺で起こる災害状況を具体的にイメージできる人をいかに増やすか。 ☆主要科目として位置づけた「防災教育」が必要である。 2.具体的な目標設定と達成度チェック☆被害設定ではなく、目標設定とそれを実現させるための計画が大切である。☆達成度を定期的に確認する仕組を作ることが肝心である。 3. 防災における「人・もの・金」☆一番大切なのは「人」であるのに、行政に総合的な防災力を向上させるための予算をうまく執行できる「人」不足、研究者や技術者の「人」が育っていない。 4.「非常識な常識」の打破☆地震工学において、過去から学ぶことは大切である。「1948年福井地震以降のわが国の研究者や技術者の経験は大差ないのでは?」 という発言が兵庫県南部地震以降、専門家の間で多く見られたそうである。 それに対して、目黒氏は「わが国の地震工学分野において、「兵庫県南部地震を境として、 2つの「非常識な常識」がある」と言い、常識と非常識の冷静な分析と整理が求められて いると主張する。 また、「お金やエネルギーは、被災地で困っている人のケアのための準備しておくのでは なく、被災地で困ってしまう人を減らすために事前に有効活用する」ことが大切であると 主張されている。 目黒研究所ホームページ Meguro Lab( http://risk-mg.iis.u-tokyo.ac.jp/index2.htm ) 大地震後の15分以内に92パーセントが亡くなっています。ここから、15分間が生死を分ける大切な時間ということがわかります。兵庫県南部地震では83.3パーセントが建物の倒壊で亡くなっています。53.9パーセントが建物に押しつぶされて窒息死、12.4パーセントが圧死でほぼ即死状態で、建物の下敷きになり衰弱・凍死が0.2パーセント。 プロの消防士は全国で約15万人です。警察・消防・自衛隊が救助人数は8000人、市民の手によって救助された人数は27000人。圧倒的に市民の方が多いです。 救助には、救助犬や災害犬の活躍も期待されておりその役割は重要です。今までの大震災の時も、いち早く海外からボランティアが駆けつけ、救助犬や災害犬と共に活動してくれました。彼らは自分の身を捨てて人命救助を続け、その結果多くの尊い命が救われました。 1ヘクタールあたりの延焼火元件数を見ると、震度が大きくなるにつれて倒壊が主原因で燃えたことがわかります。多くの痛ましい遺体の写真も拝見しました。ここから、耐震補強の重要性を痛切に感じました。また、女性の立場からの災害へのアプローチも今後研究していく課題であるということでした。 私は過去に第一回目の一般質問で「救助犬」についても質問し、予算委員会においては「女性の立場からの災害支援」について質問いたしました。詳細は以下のブログからご覧下さい。 【パネラー】
滋賀県立大学教授 柴田いづみ氏 平塚暮らしと耐震協議会理事長 木谷正道氏 新宿区耐震補強推進協議会会長 伊藤衞氏 墨田区耐震補強推進協議会事務局 岡本博氏 松崎建設株式会社代表取締役 松崎孝平氏 新宿区耐震補強推進協議会事務局長 押切等氏 今後の墨田区における災害対策への課題絵本などを通じて、日頃から小学生にもわかりやすく地震について、災害対策について考えて いく教育を施す必要性を痛切に感じました。 話を聞いた時に子どもだった彼らも大人になります。彼らが成長していく中で、様々な経験を積み、 自分の命を家族を守るためにはどうしたらよいのか、自分たちの手で自分の住む愛するまちを守って いく術を考えていけるような人間に導いていくことが大切だと思います。 一地域の問題だけではなく、日本社会において協力体制が整うような社会制度整備の必要性も切に 感じました。 耐震補強が進まない原因として、耐震補強する余裕がない、耐震補強の情報がよく伝わっていない、 いつ来るかわからない災害のためにお金をかけたくないという思い、補強をしても効果がすぐに感じ られないことなどが挙げられます。 墨田区においても、耐震補強は必須課題です。 墨田区でも最重要課題として「逃げないですむ まちづくりの推進」を掲げています。 平成17年度からは「壊れないまちづくりの推進」にも取り組んできました。 早急により効果的な政策を実施していかなければなりません。 しかし政策だけでは不十分です。 目黒氏が「災害対策で必要なのは“イマジネーション能力”である」と主張されているように、 実際に墨田区に住んでいる人々を巻き込み、まちを守るために何をするべきかという気持を抱か せることが大切です。もちろん役所は「しくみ作り」に協力していくことが大切です。 区民の生命を守るためにも最重要課題であると認識しています。 引き続き研究し、行政としてできることを一刻も早く改善に移していくことが大切であると思います。 またご報告してまいります。 〜参考文献〜 ・『東京直下大地震 生き残り地図―あなたは震度6強を生き抜くことができるか?!23区の倒壊・火災・避難危険度がひと目でわかる』目黒公郎(著)旬報社 ・『間違いだらけの地震対策』目黒公郎(著)旬報社 ・『大地震死んではいけない!──間違いだらけの「常識」にだまされるな! (講談社プラスアルファ文庫) (文庫) レスキューナウ (編集), 目黒 公郎 (監修) ・地震防災絵本『じしんのえほん―こんなときどうするの? 』 国崎 信江 (著), 福田 岩緒 (イラスト), 目黒 公郎 ポプラ社 ・防犯絵本『まもる!』 (こども安全えほんシリーズ) せべ まさゆき (イラスト), 国崎 信江 学習研究社 ・『ぼくの街に地震がきた―大震災シミュレーションコミック』 名古屋 裕, 国崎 信江, 目黒 公郎 ポプラ社 ・『モグラはかせの地震たんけん』 松岡 達英 (著), 松村 由美子, 溝上 恵 ポプラ社 ・『あっ!じしん』金子章 鈴木まもる(著)学習研究社 〜参考論文〜 ◎木造住宅耐震補強を地域諸団体が密接連携して推進する方策の考察 ―先進国の事例の水平展開を念頭に―丸谷浩明(京都大学経済研究所 先端政策分析研究センター教授) ヘジンちゃんも一緒にセミナーを受講しました。 再びお会いできて嬉しかったです。 あそう あきこ
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