Brazilian Rhapsody / Lee Konitz & Brazilian Band
1995年に録音された、アントニオ・カルロス・ジョピンに捧げられた一枚。
所謂ジャズ・ボッサの秀作です。
ボサ・ノヴァ ミーツ・ジャズとしては、スタン・ゲッツのジルベルトとやったアレが有名ですが、こちらはもっとバンドとしての統一感が表現された、ある意味熱い仕上がりになってます。
まさに熱い太陽と青い海と空の爽やかさの共存が表現された、よりブラジルな一枚と言えるのではないでしょうか。
演奏は、まさに落ち着きつつ気だるくもあり、楽しげでもありといった感じ。旨い具合なやる気のなさというか、まーいんじゃねの?って力の抜け方。その辺がやはりCOOL派の代表コニッツさんの持ち味なのでしょうか。
実はLee Konitzさんは生で演奏を見る機会がありまして、もう20年近く前ですが、福岡のブルノ(今は無いよね、確か)でたまたま見ることができました。
当時の印象は、当たり障りのない適度に盛り上がるオサレで大人な演奏だなぁという感じ。
その印象は変わってはいませんが、なんつーか、コチラがその良さがわかるようになってきたって感じ。
もともと、ボッサやサルサ、タンゴなんかの南米系リズムは大好きなんで、このようなパーカッションが入った複雑なリズムものは大好物なのであります。
一連のボサノバのスタンダードは、もう限りなくメロディも美しいので、うっとりうっとりであります。
ソレにも増して、このアルバムの聴きどころは、ピアノとアコースティックギターとのバランスですね。左右に別れて録音されているようですが、そのアレンジや混ざり具合が素晴らしいんですよ。あたかも何百本も弦がある弦楽器をかき鳴らしているような無限に広がりをもった感じになってます。言われてみればピアノも弦楽器なのでありましたなーなんちって。
ドラムとパーカスの織りなす複雑なリズムの上で、幾重にも織り込まれた絹のようなギターとピアノ、更にその上をコニッツさんのアドリブが滑って行きます。なんとも心地よいですねぇ。
1曲目、Samba Tristeは、アコギとサックスだけの物悲しげな挿入部。両方とも音数が多い演奏にして、実に奇妙な落ち着きがありますねぇ。ベースとパーカスが入ってサックスの雄弁さが増す感じがミラクルです。アンサンブルってこういうことなんですねぇ。途中から入るピアノも、どうしてここから?って位置なんですが、それがまたいい演出になってるんですよねぇ。音数多いよ!って感じなんですが、そこがほらブラジルの濃密な感じをうまく表現しているような感じです。ギターがリズムを刻みつつ、ピアノがコニッツのサックスを追っかけるって感じがいいんですね。
2曲目、Berimbauは、イントロから暑い暑い熱気が伝わってきます。行くよ行くよ行くよ〜って。そんなバックの中で、決して登り詰めずにあくまでもクールなサックスがオサレなんすなぁ。ケッコウ打楽器がアグレッシヴですねぇ。それに吊られてか、ピアノもサックスに音をぶつけてきてますねー。このピアノの人、Peggy Sternさんはキレイな女の人です。そう言えば、激しいながらも繊細な演奏ですね。ピアノのソロになるとベースが上がってきていい感じに盛り上がります。目をつむってお互いの音を聴いているって感じの熱い演奏が目に浮かびます。
3曲目、Menina Mocaは、ネスカフェのコマーシャルになりそうな爽やかな曲。主メロだけで延々と引っ張れるような完成された美しいメオrディですねぇ。これだけ音数が多いバックの音に包まれていると、もうそれは一つの固まりというか液体の中でサックスが鳴っているって感じですねぇ。
4曲目、Triste。これもどこかで聴いたことがある有名な曲ですね。コニッツさんの奏でる旋律に対して、ピアノとギターがそれぞれ合いの手を入れる感じで、その絡み合いがまたいいねぇ。ピアノは女性らしい茶々の入れよう。コニッツさんのサックスは、この曲では珍しく音が張ってる感じ。
5曲目、A Felicidadeは、歌が入ってます。007って感じのスリリングなメロディですね。歌が入ってるのも好きですよ。ただ、ちょっとボーカルへのリバーヴが深すぎで、銭湯で歌ってる状態なのが気になります。残響で不興な音が生まれちゃってる感じがしますね。
6曲目、Lunaseaも歌ものなんですが、熱いイントロが誘いますね。と思ってたら、なんと女性コーラスがドーンと入ってきます。これはちょっとびっくり。さらに音を厚くしてどうする!って感じですが、楽しそうです。ピアノの和音が独特で、女性コーラスとぶつかって面白いことになってますよ。
7曲目、Manha de Carnavalは、超有名なカーニバルの朝ですね。黒いオルフェの主題歌なんですねー。基本的にアコギとサックスのデュオって形の落ち着いてしっとりした演奏。でもギター結構よく弾いてるなぁ。
8曲目、Insensatezは、ドラマチックで幻想的なイントロが印象的。ピアノを中心に展開していこうとするんですが面白いバッキングを弾いています。と思ってたらギターが入ってきてスピードアップ。曲の印象ががらりと変わりました。邦題は「お馬鹿さん」。
1.Samba Triste
2. Berimbau
3. Menina Moca
4.Triste
5.A Felicidade
6.Lunasea
7.Manha de Carnaval
8.Insensatez
Lee Konitz(as)
Romero Lubambo(g)]
Peggy Stern (p)
Dave Finck (b)
Duduca Dafonseca (ds)
Waltinho Anastacio( per)