オルタナティブを考えるブログ

タイトルも新たに、1年ぶりですが、まずは過去の記事を整理しなきゃ

バルクの黙示録 その6 太陽の戦車

 
前回はフェニックスの食べのものである『マナ』と『糞(蛆)』について述べた。
 
今日はギリシア語バルクの黙示録第6章13節の続きだ。
例によって引用はすべてバルバロイのサイトから。  
 
13
そして、彼が話しかけているとき、雷鳴の響きのような雷鳴が起こり、わたしたちの立っている場所が揺れ動いた。そこで天使に尋ねた。『わが主よ、あの音は何ですか?』。すると天使がわたしに云った。『今、天の365の門がことごとく開き、光と闇とが分かたれているところです』。
 
ところで、以前ブログの記事でも書いたが、一年が365日からなるというのはすでに紀元前3000年の頃から古代エジプトやメソポタミアではすでに使用されていたが、考古学的には紀元前4213年から4186年の間のエレファンティネ、あるいは紀元前2783年から2764年頃のメンフィスですでに使用されていたと推測されている。
 
暇があったらどうぞ ↓
 
さて・・・、
これからバルクが見るのは創世記の最初の場面ではなく、おそらく一日の始まりであろう。
 
 
14
すると声が伝わってきて言う。『光を与える者よ、世界に光を与えよ』。

15
すると鳥の鳴き声が聞こえてきたので、云った。『主よ、あの鳴き声は何ですか?』。

16
すると云った。『あれは、地上の雄鶏たちを目覚めさせているのです。というのは、両刃のように〔鋭く〕、雄鶏も世界の中にある者らに、独特の鳴き方で知らせるからです。つまり、太陽は天使たちによって備えられ、そして雄鶏は声によって〔備えられる〕のです』。
 
 
第7章
1
そこでわたしが云った。『いったい太陽はどこで〔仕事に〕専念するのですか、雄鶏が鳴いた後からは?』。

2
すると天使がわたしに云った。『聞きなさい、バルク。そなたに示したことはすべて、第一の天と第二の天にあることどもです。しかし太陽が通過するのは第三の天で、世界に光を与えるのです。しかし、待ちなさい、そうすれば神の栄光を眼にできるでしょう』。

3
そしてわたしが彼と話しあっているときに、鳥と、それが眼の前にあらわれるのを見た、そして少しずつ少しずつ生長し、成鳥になった。

4
するとその〔鳥の〕背後に太陽が輝き出で、天使たちがそれ〔太陽〕とともにあって〔車を〕引き、その〔太陽の〕頭上に冠があったが、その〔冠〕の眺めをわたしたちは直視して見ることができなかった。

5
すると、太陽が光り輝くのと同時に、フェニックスも自分の翼を広げた。このときわたしはこのような栄光を見て、大いなる恐怖に萎縮し、逃げだし、天使の翼の中に隠れた。

6
すると天使がわたしに云った。『恐れるな、バルクよ、むしろ待っていなさい、そうしたら彼らの没むのも眼にすることができよう』。
 
この文書中の鳥とはフェニックスのことだ。 
 
しかし、どうしてもエジプトやメソポタミアにある有翼太陽円盤と重なってしまう。いずれにせよ、このフェニックスに関する描写を見る限り、エジプトのベンヌの伝承と似ていてその影響のほどが見て取れる。
 
エジプト人は太陽が沈む際に、ベンヌはハヤブサの姿で夜の間冥界で過ごし、そして朝日が昇る時にはサギの姿で新たな誕生を迎えたと言われている。
 
 
それにしても・・・、
 
このバルクの黙示録では、太陽、光、神という存在がどうも混同して描写されているような気がする。太陽崇拝というのは、キリスト教が普及していった時期のローマ帝国内において、無敵の太陽神ソルという確固たる神が崇拝されていた。
 
無敵の太陽神ソルとローマ帝国 Part1
 
12月25日の真実 -無敵の太陽神ソルとローマ帝国 Part2
 
 
 
太陽が東から昇って西に沈み、夜が来て再び太陽が東から昇る。
 
太陽を崇拝する太古の人々は、こうした繰り返す太陽の動きを説明するために『太陽の船』や『太陽の戦車/馬車』を考案した。このバルクの描写には「天使たちがそれ〔太陽〕とともにあって〔車を〕引き・・・」とあるが、おそらくその名残が在るのかもしれない。
 
まだ、古代エジプトでは、ヒクソスがチャリオット(戦車)をもちこむまで「車輪」を知らない時代が続いていたので、『太陽の船』がもっぱらその役割を果たした。車輪の伝承とともにヨーロッパにおいては「太陽の乗る戦車/馬車」が考案された。一番有名なところでは、ケルト・ゲルマン系の文化の影響が残っていると思われるデンマークのトゥルンドホルムから出土した青銅器時代(紀元前1400年頃)のものと思われる太陽の馬車がある。
 
               トゥルンドホルムの太陽の馬車
イメージ 1
 
 
太陽とこの車との関係を示すものとしては何があるだろうか?
 
 こぐま座やおおぐま座は、星座において北極星の周りにあって北半球では沈まない星(周極星)であるが、北極星の周りをぐるぐると回るその姿は、それ以前の古代ギリシアの天文学者によって「小さな車(kleiner Wagen)」「大きな車(grosser Wagen)という言い方をされていた。
 
日本人にとってなじみの深い北斗七星はおおぐま座の一部で,舛の部分の4星を車に,牽引棒にあたる3星を車を引く人か馬に見立て、北極星の回りをグルグル回る「大車」とみたてることができる。お隣の中国では「帝車」、英国では「チャールズの車」などとも呼ばれているそうだ。
 
一般にこれらは周極星と呼ばれる星座たちだ。これは、地球上のある地点で沈まない星のこと。つまり天の北極または天の南極に近接し絶対地平線下に沈まない星。そのためその地点では何時でも夜の空で見られる
 
 
 
また、ちょっとわき道にそれるが、
小さい車と呼ばれた星座はギリシア神話に登場するヘスペリデス、そして大きな車(実際は今日のおおぐま座の“尻尾”にあたる3つの星は「ヘスペリデスの園の黄金の林檎」とされていた。そし、ヘスペリデスの近くにある「りゅう座」は、ヘラクレスの神話『11番目の功業』に登場するヘスペリデスの林檎を護るラドンである。
 
それはつまりこんな話だ。(以下ウィキペディア参照)
 
ヘスペリデスは世界の西の果てにある「ヘスペリデスの園」に住んでいる。その近くでは、父アトラースが天空を背負って立っている。「ヘスペリデスの園」にはヘーラーの果樹園があり、ヘスペリデスは果樹園に植えられた黄金のリンゴの木を世話して、明るい声で歌を歌っている。木の世話をしているヘスペリデスがリンゴを盗んでいるのを見つけたヘーラーは、百の頭を持つ竜ラードーンに木の周りをぐるぐる巻き付かせ、番をさせることにした。
 
以下のページを参照にちょっとした図を作成してみた。
 
イメージ 2
 
間違いない・・・エヴァが木の実ではなく林檎を食べたとの思い違いはこのヘスペリデスの話が発端だ。
 
 
まざ、ちょっと話がそれてしまったが・・・、
 
太陽の光で見えないが日中も沈まないこの星座を、古代の人々が“太陽を運ぶ車”としてみたてたのは合理にもかなっている。おそらく“目に見えない星がそこにある”ということは分かっていたのだろう。
 
ギリシアの太陽神ヘリオスやローマの太陽神アポロを描く時、チャリオット(馬車/戦車)に乗る姿で描かれるのは、こうした伝承の影響であるだろうし、このバルク書の記述もそれを繁栄している。
 
イメージ 3
 
 
 

「その〔太陽の〕頭上に冠があったが、その〔冠〕の眺めをわたしたちは直視して見ることができなかった。」

 
この〔太陽の〕頭上に冠があるというのは、太陽を擬人化・・・もしくは擬神化しているといっていいだろう。これはヘリオスやアポロ、そして無敵の太陽神ソルがかぶっている冠のことを指していることは間違いない。
 
            アポロ神もしくは無敵の太陽神ソル
 
イメージ 4
 
 
                      ソルが描かれた金貨
イメージ 5
 
おそらくバルクの黙示録が正典として認められない理由の一つは、この露骨に太陽崇拝の影響が出てしまっている太陽=神の描写が原因なのかもしれない。
   
 
第8章
1
そしてわたしを連れ、わたしを日没の方へ導いた。そして日没の時がやって来たとき、わたしは見る――面前にまたもや鳥がやってきて、太陽が天使たちといっしょにやってくるのを。そしてそれ〔太陽〕がやってくると同時に、わたしは天使たちを見る、すると、その〔太陽の〕頭頂から〔天使たちは〕冠を脱がせた。

2
ところが、鳥はすっかり萎縮して、その翼をたたんでいた。

3
そこでそれを見て、わたしは云った。『主よ、どうして太陽の頭から冠を脱がせたのですか、また、鳥がこんなに萎縮しているのは、どうしてなのですか?』。

4
すると天使がわたしに云った。『太陽の冠は、1日経巡ってくると、4人の天使がこれ〔冠〕を受け取って、天に運びあげ、これを改新するのです、これとこれの光線が地上で汚れているからです。そして今後も、毎日、そういうふうにして改新されるのです』。

5
そこでわたしバルクは云った。『主よ、いったいどうしてその光線は地上で汚れるのですか?』。すると天使がわたしに云った。『人間どもの不法や不正を観るからです、すなわち、姦淫、姦通、盗み、掠奪、偶像礼拝、酩酊、殺人、争い、嫉妬、悪口、不平、陰口、占い、そしてそういったことどもに類似したこと、こういったことは神に喜ばれないのです。だから汚れ、だからこそ改新されるのです。

6
また、鳥について、どうして萎縮しているのかということだが。太陽の光線を抑えているから、その火と、1日中燃えていることから、そのせいで萎縮しているのです。

7
その翼が、先ほど云ったとおり、太陽の光線を遮ることがなかったら、いかなる息あるものも助からないでしょうから』。
 
ふむ。。。
 
地上に近づくにつれて光が弱まって悪が栄えると言うのは、ギリシア哲学もそうだし、カバラ的な要素も見え隠れする。
 
 
 
 

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