政府紙幣を考えるブログ

政府紙幣をメインにはじめたのですが、歴史を追ってマネーの迷宮に迷い込んでしまった。

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紙幣の父 ジョン・ロー (11) ローとパターソン

いよいよジョン・ローの登場だ。
 

紙幣と錬金術

なぜ彼が注目されるのか。それは紙幣の歴史をひも解くと、彼こそヨーロッパで最初に大々的に紙幣(ペーパー・マネー)を発行した人物だとされているからだ。もちろん彼の登場以前にもペーパーマネーは発行されていた。
 
紙幣は、中国の宋の時代に兌換紙幣として四川地方の金融業者によって交子が発行されたのが始まりと言われるが、その後も形などを変えながら紙幣は使われ続けた。
 
1260年にクビライが中統鈔を法定紙元として発行し、他の媒体である金、銀、銅の流通を止めると、紙幣という奇妙なものは、唯一の交換媒体、そして不換紙幣としてモンゴル全域で流通した。
 
中国に比べてヨーロッパにおける紙幣導入はもう少し遅い時期だった。一番古い紙幣の発行は1483年のスペインであったと言われている。ただし、当時は本格的な紙幣の導入ではなく不足していた硬貨の代用として用いられただけだった。その後については下記リンクをご参照ください。
 
世界最古の中央銀行
 
印刷技術については、グーテンベルクの印刷技術がすでに確立されており、1458年シュトラースブルクに最初の印刷もできていたようだが、イングラン銀行が発行した最初の頃の紙幣は手書きだったそうだ。
 
では、ジョン・ローの何が特別かと言うと、ヨーロッパで管理通貨を導入した点だ。
 
つまり、
 
貨幣は金との交換を約束される兌換紙幣ではなく、その価値は政府や中央銀行の信頼性によって決まる通貨の事だ。
 
そもそもアイデアはいろいろなところにあったのだろう。マネーが「金」や「銀」である必要のないことは、粘土板でできた証文で取引をしていたシュメール人や子安貝で商売していた古代の中国人、あるいは金や銀の不足によって様々な物品を代用貨幣(トークン)として利用していた古代の人の方が理解していたのかもしれない。
 
それでも人々は金や銀にこだわり続けた。
 
古代エジプトの冶金術にはじまり、『ヘルメス文書』『エメラルド・タブレット』を通じて錬金術が西洋に伝わり、鉄や鉛などの価値の低い金属から、金などの貴金属をつくりだす秘儀は人々を魅了した。
 
イメージ 1
 
しかし、貨幣経済や東インド株式会社の株式などの金融が発展し、紙幣が登場してくると、錬金術の奥儀は化学の知識ではないことが徐々に明らかになって来た。
 
 
マネーとは信用であり、信用は幻想に過ぎない。。。
 
信用を操作することこそ、最高の錬金術なのだと。
 
 
さて、話をジョン・ローに戻そう。
 
 
パターソンが企画したダリエン計画がスコットランドどん底に陥れた時、パターソンは42歳、ジョン・ローは29歳の若者だった。
 
そして、30歳半ば頃にスコットランドに戻り、議会に新たな銀行を設立するよう提案したのだが・・・
 
ローとパターソンがスコットランド会う機会はあったのだろうか?
 
イメージ 2
 
一緒にお茶とか・・・。もちろん二人は会っていたとした方が自然だろう。イングランド銀行を設立した一方で、ダリエン計画でスコットランド窮地に追い込んだパターソンは、この若き才能溢れるギャンブラーにいったい何を見たのだろうか?
 
 
パターソンがスコットランド議会に提案した時は、1707年の連合法(Acts of Union)が制定される2年前のことで、この提案はのちに『金銭と貿易に関する考察』として出版された。貨幣に取って代わるものとして、利付きの銀行券を発行するべきだ、というアイデアがローの考えの核心だった。だがこの提案は、イングランドとの統一令が発布される直前に、スコットランド議会で否決された。
(ニーアル・ファーガソン著 『マネーの進化史』)
 
 
ふむ。
 
利付きの銀行券とはどのようなものであろうか?
 
政府紙幣の議論が盛り上がった時、無利子国債についての可能性も議論されたが、
 
国債が無利子となり、さらにコンソル債のような永久債となると、ほとんど政府紙幣とおなじなる。配当のない政府株のようなものだ。
 
では、自分の持っている紙幣に利子がつくと、
 
人間はどういった行動に出るだろうか?
 
その時 流動性の罠は?
 
 
久々にもう一度 頭の体操してみると良いかもしれない。
 
 
ニーアル・ファーガソン著の『マネーの進化史』にそって、ジョン・ローの行動をおっていこう。
 
変幻自在のスコットランド人ローにとって、オランダの財政事情は天の啓示と思えたかもしれない。ローは、東インド会社とオランダ為替銀行、証券取引所の相互関係に魅了された。彼はギャンブルに熱中するタイプだったが、アムステルダムの証券取引所は、彼の目にどのようなカジノよりも魅惑的に映ったようだ。

彼は否定的な噂を流してVOCの株価を下げようと画策する相場師たちの狂態や、持ってもいない株を思惑や投機で取引する空売りの名手たちの技に目をみはった。金融上の革新的な行為が至るところで目についた。ロー自身、オランダ政府が発行する富くじの所有者達に、はずれを引いた時のため保険を売るという、巧妙な計画を立案したことがある。

だが、ローの目からみると、オランダ流の改革はまだ不十分だった。たとえば、市場が過熱しているにもかかわらず、東インド会社の発行株数を制限することは間違っていると思われた。アムステルダムの為替銀行の保守的な体質も、ローには理解しがたかった。
 
中央銀行の「銀行通貨」は信用されて流通していたものの、その大半は銀行の帳簿に延々と記載されているに過ぎなかった。銀行に貨幣を預けた商人達に発行された領収書を別にすれば、カネはほとんど存在していないも同然だった。
 
このような制度を驚異的なものに改変しようという構想が、ローの頭の中で次第にまとまり始めていた。彼が描いたアイデアとは独占的な貿易権を持つ会社の資産と、イングランド銀行と同じように紙幣を発行する国営銀行の二つを合体させるという案だった。
(ニーアル・ファーガソン著 『マネーの進化史』)
 
ふむ。パターソンと似ている。
 
 
ローはまったく新しい財政上のシステムを、彼に疑いを持たないどこかの国で実践してみたくてうずうずしていた。だが、どこ国が適切なのだろう。

故国に失望したローは1711年に出版されなかった『ビエモンテ回顧録』のなかで、ローはふたたび紙幣の必要性を説いた。公的融資の唯一の基盤は信用だから、信用が伴えば紙幣は通貨と同じ役割を果たすはずだ、というのがローの考えだった。彼は友人にあてた手紙で、こう書いている。

「私は、賢者の石の秘密を探り当てました。

つまり、紙から金を生みだせばいいのです。」


これに異議を唱えたサヴォイ公は、こう答えた。


「余は、破産して平気でいられるほど裕福ではない」
 
フランスがなぜ、ローが財政上の錬金術を試す舞台になったのだろう。フランスは彼がどのような人物であるかを知っていたはずだ。1708年当時、ルイ14世の外相だったトルシー侯爵は、ローをプロのギャンブラー、そしておそらくスパイだろうとみなしていた。だが、当時のフランス財政は極めて絶望的な状況にあり、ルイ14世が手がけたいくつもの戦争のために大幅な債務を抱え、一世紀たらずのうちに三度目の国家破産の瀬戸際にあった。


王室費の歳出見直しがおこなわれた、その多くが棒引きされたり、減資された結果、一部で債務不履行も起きた。それにもかかわらず、当時の負債を埋め合わせるために、ビレ・デタと呼ばれる2億5000万リーブルもの利付国債を発行せざるを得なかった。

さらに金銀硬貨の流通量を減らしたために、経済不況が起き、事態はさらに悪化した。この状況を見たローは、一連の難題をすべて解決して見せる、と豪語した。
(ニーアル・ファーガソン著 『マネーの進化史』)
 
 
まぁ、ルイ14世の時にフランスは破綻しかけたが、スペイン帝国はフェリペ2世の治世に4回破産している。  
 
国家が信用できるとは口が裂けても言えないような状況なのだが・・・
 
 
 

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9回裏二死満塁さんはいつもいい仕事していますね。

毎度勉強になります。

ジョンローの計画は失敗したけれど果して成功のシナリオはあったのだろうか?

ある意味では現代はジョンローの時代と酷似している。

ジョンローの失敗はフランス革命へと繋がり、そのつけはフランス革命で清算された。

ソブリンは債務を生み危機に繋がる。その危機が戦争もしくは革命によってソブリン債は清算されてきた。

人類は核兵器を持ってしまった。はたし今度の世界中に累積したソブリン債はどのようなかたちで清算されるのであろうか?

誰にも予測がつかない。

それこそ最後の審判であろうか?

2011/10/8(土) 午後 0:39 Ddog

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Ddogさん コメントありがとうございます。毎年秋はどうも仕事が忙しく更新できなくもどかしい日々をすごしています。仕事でよく「シナリオのエンディングまで考えてから行動してるのか?」と聞かれることがありますが、EUという大実験についても、時々似たような疑問を持つことがあります。「スタートした時にゴールは想定できていたのだろうか?」と・・・

2011/10/10(月) 午後 11:12 [ 9回裏二死満塁 ]

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