旧約聖書の意味深な女たち マタイ系図が語るもの
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前回、ダビデの妻について述べた後、新約聖書「マタイの福音書」の第一章に掲載されているアブラハムからイエスまでの系図で述べられている4人の女性にスポットあてた。ここに登場するのは、タマル、ラハブ、ルツ、そしてウリヤの妻であったバト・シェバで、
4人に共通する点は・・・
彼女達が「外国人」であり、また「娼婦」や「寡婦」であったという点だ。
タマルについては前回すでに述べた。今回はラハブからだ。
ラハブ (第5節) カナン人 (娼婦)ヨシュア記は、キリスト教信者にとっては道徳上あまり深入りしたくない旧約聖書のところだ。ヨシュア率いる軍勢がカナンの町に住む人々を、老若男女を問わず虐殺し、町を破壊していく様は目を覆いたくなる。「共生」ということは一切問題にならず、イスラエルの神はカナンの人々を根絶やしにすることをよしとするのだ。遊女ラハブはそんなヨシュア記の中に登場する。
モーセの後継者となったヨシュアは、約束の地を獲得する戦いを開始するわけだが、まずエリコ攻略に向けてその軍事力を量るため二人の斥候を送った。斥候たちは城壁と一体化している娼婦ラハブの家に滞在したのだが、エリコの王に密告する者があった。すぐにエリコの王は衛兵をラハブの家に送った。
衛兵たちはラハブのところに来て言った。
「あなたの所にきて、あなたの家にはいった人々をここへ出しなさい。彼らはこの国のすべてを探るためにきたのです」
この時、ラハブはイスラエルの2名の斥候を屋上にある亜麻の束の中に入れて隠し、次にように話した。
「確かにその人々はわたしの所にきました。しかし、わたしはその人々がどこからきたのか知りませんでしたが、たそがれ時、門の閉じるころに、その人々は出て行きました。どこへ行ったのかわたしは知りません。急いであとを追いなさい。追いつけるでしょう」
そこでその人々は彼らのあとを追ってヨルダンの道を進み、渡し場へ向かった。あとを追う者が出て行くとすぐ門は閉ざされた。
ふたりの人がまだ寝ないうち、ラハブは屋上にのぼって彼らの所にきた。そして彼らに言った、
「主がこの地をあなたがたに賜わったこと、わたしたちがあなたがたをひじょうに恐れていること、そしてこの地の民がみなあなたがたの前に震えおののいていることをわたしは知っています。あなたがたがエジプトから出てこられた時、主があなたがたの前で紅海の水を干されたこと、およびあなたがたが、ヨルダンの向こう側にいたアモリびとのふたりの王シホンとオグにされたこと、すなわちふたりを、全滅されたことを、わたしたちは聞いたからです。
わたしたちはそれを聞くと、心は消え、あなたがたのゆえに人々は全く勇気を失ってしまいました。あなたがたの神、主は上の天にも、下の地にも、神でいらせられるからです。それで、どうか、わたしがあなたがたを親切に扱ったように、あなたがたも、わたしの父の家を親切に扱われることをいま主をさして誓い、確かなしるしをください。そしてわたしの父母、兄弟、姉妹およびすべて彼らに属するものを生きながらえさせ、わたしたちの命を救って、死を免れさせてください」。
ふたりの人は彼女に言った。
「もしあなたがたが、われわれのこのことを他に漏らさないならば、われわれは命にかけて、あなたがたを救います。また主がわれわれにこの地を賜わる時、あなたがたを親切に扱い、真実をつくしましょう」。
そこでラハブは綱をもって彼らを窓からつりおろした。その家が町の城壁の上に建っていて、彼女はその城壁の上に住んでいたからである。ラハブは彼らに言った。
「追手に会わないように、あなたがたは山へ行って、三日の間そこに身を隠し、追手の帰って行くのを待って、それから去って行きなさい」
二人の斥候は彼女に言った。
「あなたがわれわれに誓わせたこの誓いについて、われわれは罪を犯しません。われわれがこの地に討ち入る時、わたしたちをつりおろした窓に、この赤い糸のひもを結びつけ、またあなたの父母、兄弟、およびあなたの父の家族をみなあなたの家に集めなさい。」
ラハブは言った。
「あなたがたの仰せのとおりにいたしましょう」
こうして彼らを送り出したので、彼らは去った。そして彼女は赤いひもを窓に結んだ。
その後、七日間にわたるヘブライ人たちの角笛と行進によってエリコの城壁が崩れ、住民たちが老若男女問わず虐殺された時、ラハブとその家族は斥候たちの約束通り助けられ、ヘブライ人たちの一員に加えられた。
ちなみに
ラハブの家は赤い紐によって見分けられた。このことから、後世の娼館では客に業種を示すため赤い看板が窓に取り付られけた。(ウィキペディア) このラハブが何故イエスの系統に登場してくるのかは疑問だが、上記マタイの伝承では、ラハブはユダ族のサルモンと結婚し、ボアズの母となったとある。つまり、ダビデ王とすべてのユダ王国の王、そしてイエスの祖であるからだ。
「信仰によって救われた人物」 あるいは 「裏切り者」
ラハブの行為をどう感じるかは人それぞれだろう。
ルツ (第5節) モアブ人(寡婦 / レヴィレート婚)旧約聖書は士師記に続く書としてルツ記がある。ヨシュア記が「戦争映画」ならルツ記は「ラブロマンス」といったところか。ただ、ルツ記はその存在が面白い。男性の名が冠せられた書が多い旧約聖書の中で、数少ない女性の名を冠した書であることに加え、彼女はモアブびとで、イスラエル人ではないのである。
士師達の時代、イスラエルを襲った飢饉によって、ユダのベツレヘム出身者であるエリメレクは、妻ナオミと2人の息子を連れてモアブの地に移り住んだ。この2人の子はやがてそれぞれモアブの娘達と結婚した。そのモアブ娘の1人がルツという。やがてエリメレクが亡くなり、さらに息子二人も妻オルパとルツを残したまま死んでしまう。
そこでナオミは夫の故郷ユダに帰ることを決意し、息子達の寡婦となった二人に対し、それぞれの故郷に帰るようすすめる。しかし、ルツだけはナオミのそばにいることを望み、こうして二人はエリメレクの故郷、ベツレヘムへと帰郷した。
ある日、ルツは畑で麦の落穂拾いに出かけた。その畑の所有者は、エリメレクの遠縁の親戚にあたる、ボアズという人物だった。ボアズは姑に尽くすルツに感心して、彼女のために便宜を図る。
ルツが親切なボアズのことをナオミに話すと、ナオミは、その人こそが、死んだ夫の系累であり、家を絶やさぬ資格を持つ方なのだと話した。そした、ルツはある時、眠るボアズの床に忍び寄り添い、彼の衣で身を覆った。夜半、やっとルツに気がついたボアズは、一途なルツのけなげさに感じ入り、まず、エリメレクの失った土地を買い戻す権利、寡婦を娶り引き取る権利を持つ者に、長老達の前で、その権利を放棄を確認させた後、ルツを娶った。
こうしてルツは子を生み、子はオベトと名付けられた。オベドの子はエッサイ、そしてその子がダビデである。
ボアズの妻となったルツは息子オベデを生む。オベデはダビデの祖父にあたる人物である
ウリヤの妻 (第6節) ヘテ人(寡婦)バト・シェバはヒッタイト人ウリヤの妻であったが、後にダビデの妻となり、ダビデの跡を継いでイスラエル王国の王となったソロモンを産んだ。彼女の父親はダビデ30士の一人エリアムであり、彼の父はギロ出身のアヒトペル(アヒトフェル)だ。ギロはユダと呼ばれた土地にある町なので、彼女の家系をユダ族とする見方もあるが、約束の地にはもともと数多くの民族がくらしていたので、根拠としてはあまりにも希薄だ。
彼女の祖父であるアヒトペルは、ダビデの最高顧問として的確な助言を何度も行い、その英知故に神とさえ比較された人物だ。三国志で言うと諸葛亮にあたるような人物だ。ダビデの三男アブシャロムが謀反を起こした時、アヒトフェルはこれに呼応してダビデは窮地に立たされる。ダビデは祈った。「主よ。どうかアヒトフェルの助言を愚かなものにしてください」
ダビデに対して反乱を起こしたアブショロムは、それなりの事情と経緯があるとはいえ、ゲシュルの王タルマイの娘マアカとダビデの間に生まれた子である。異国の人の血をひくアブショロムの誘いにアヒトペルが応じると言うことは、元々とカナンに住む民族の反乱に呼応したかたちではないだろうか。
あるいは孫娘バト・シェバにダビデがしたことを根に持っていたのだろうか。
ウィキから引用してみよう。
ダビデがバト・シェバに言い寄る物語はサムエル記下第11章に描かれている。物語はダビデが王宮の屋上を散歩している時、水浴中のウリヤの妻バト・シェバに目を留めた事を伝えている。ダビデはすぐに彼女を呼び寄せ、関係を持ち妊娠させた。 古今東西・・・こと後継者争いとなると女は怖い。。。
まとめると次のようになる。
なぜ、マタイがこの4人の女を系図の中に入れたかはいろいろ議論されている。
外国人であることに関しては心温まる解釈も可能かもしれないが・・・
すんなり受け取れないのも事実。
マタイは何が言いたかったのだろうか?
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