映画系少年

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スタンリー・キューブリック

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 旅行や読書、その他のスケジュールをこなす中で映画鑑賞も怠ってはいない。今回のフォーカスはスタンリー・キューブリック監督。SFX超大作「2001年宇宙の旅」は、20世紀映画の最高峰と謳われることも稀ではないし、「時計じかけのオレンジ」もそのオマージュ等に出会うことがしばしばだ。今回は基本的に親父のDVDコレクションに拠り、1962年の「ロリータ」以降、全ての作品を鑑賞した(遺作でもあり、トム・クルーズ、二コール・キッドマン夫妻主演の「アイズ・ワイド・シャット」はまだ観てない)。
 ウラジミール・ナボコフの同名小説原作の「ロリータ」は、倒錯した激しい少女愛を肯定的に描いていて愉快で、「博士の異常な愛情 または私は如何に心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」は、不謹慎だとは思うが、ラストのクラッシック音楽に乗せた水爆実験の映像集が非常に美しい(もっとも字幕が無かったためにストーリーは全然分からなかった・笑)。「2001年宇宙の旅」は語ることが多く、また語れないことも多いので後述するとして、「時計じかけのオレンジ」は暴力、ドラッグ、セックス等の自由放任を謳歌する不良少年を、全体主義が更正するという話。更正には、暴力や性行為に及ぼうとすると激しい嘔吐感を催すよう仕向けるルドヴィコ療法が採用され、そのBGMには少年の最愛するベートーヴェンの第九を使用。暴力を暴力で更正するという風刺で、ファッションやインテリア等も非常にお洒落。サッカレー原作の「バリー・リンドン」は、18世紀ヨーロッパが舞台で主人公バリー・リンドンの放浪の生涯はそれなりに楽しい。スティーブン・キング原作の「シャイニング」は何のことはない普通のホラー映画だった。「フルメタル・ジャケット」はヴェトナム戦争の現実を淡々と描いた作品。キューブリックの作品はBGMが主にクラッシック音楽なので結構退屈なのだ(笑)。
 キューブリックを解くキーワードはおそらく3つあり、それは美しい画質、クラシック音楽、完全主義。キューブリック作品はファッションやインテリアに至るまで美術全てが上品で美しく、それは特に「2001年宇宙の旅」に結晶している。1965年の制作当時は当然のようにCG技術は皆無で、その殆どが重ね撮りだというから圧巻だ。キューブリックはSFX史において、カメラのシャッターを開けた状態で被写体を動かし、残像を撮影する手法を発展させたという功績が認められている。クラシック音楽については2001年の青く美しきドナウや、時計じかけの第九くらいしか分からない。完全主義は、生涯に10作ちょいしか残していない作品量から言っても説得力があり、一度も読んだことはないが、僕は基本的に赤川次郎や西村京太郎といった多作の作家を信じない。ひとつの作品にどれだけ多くの愛情を込められるかが表現の真髄だと思う。事実キューブリック作品は全ての作品が全ての面で非常に完成度が高い。本当に尊敬する偉大な映画監督だ。


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Q・タランティーノ

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 新宿武蔵野館で「デス・プルーフ in グラインドハウス」を観た。デス・プルーフとは“耐死仕様”のことで、グラインドハウスとは60~70年代、アメリカに数多く存在したB級映画を2、3本立てで上映する劇場の総称。この度、Q・タランティーノ、R・ロドリゲス両氏が、ポップでキッチュなアメリカB級映画たちにオマージュを捧げ、競作を発表した。本作「デス・プルーフ」はQ・タランティーノによるもの。
 Q・タランティーノは高校をドロップアウトしビデオレンタル屋でのアルバイトを経て映画監督になった。当時からTVや映画(中でも勿論B級映画!)が大好きだったという。92年「レザボア・ドッグス」でデビューし、95年の「パルプ・フィクション」ではカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。記憶に新しい有名作品は03年、04年の「キル・ビル」二部作だろう。タランティーノ映画は、ポップな原色を多用した当時のアメリカらしい画、タランティーノが聞いた当時のアメリカらしい音楽、タランティーノが観た数々の名作映画へのオマージュ、有象無象なB級映画たちへのオマージュ、日本映画へのオマージュ、特に美人とは思えないユマ・サーマンの魅力(特に「パルプ・フィクション」)、どうやって撮影しているのかと途方に暮れてしまうド派手なアクション、等が美しくてカッコイイ。一番印象に残っているシーンは「キル・ビル」のオープニング、特に何のストーリーもないままに二人の女性が突然殺し合いを始めるシーン。栗山千明は思ったより冷酷ではなかった。デビュー作「レザボア・ドッグス」は是非チェックしたい。
 本作「デス・プルーフ」は本当に100%B級映画のカーアクションで、ワイヤーを消す以外にはCGを使っていないというから驚きだ。前半、美女たちを冷酷に殺していくスタントマン・マイクの屈折した非情なフェティシズムに戦慄したが、14ヶ月後、異なる美女たちにしっぺ返しを食らうのはとても痛快だ(一部では拍手が起きていた)。本作では「キル・ビル」2部作でユマ・サーマンのスタント役を務めたゾーイ・ベル本人が出演しているが、カーチェイスのシーンでは、命綱なしで暴走する車のボンネット上で耐死仕様車のクラッシュを受けている。本当に心臓に悪い映画だ。
 タランティーノ関連情報として、R・ロドリゲスのグラインドハウス「プラネット・テラー」は勿論、タランティーノ本人が出演する豪華キャストの三池崇史の「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」、タランティーノがジャン=リュック・ゴダール作品の中で最も敬愛する「はなればなれに」がシネマ・アンジェリカのagnes b. presentsアンナ・カリーナ週間でレイトショー上映するので、どれも必見だ。


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仏映画系少年

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 最も敬愛するミニシアター、吉祥寺のBAUS THEATERでフランス映画を2本観た。
 1本目は2054年のパリを舞台にしたアニメーション「RENAISSANCE」。総制作費23億円、7年もの年月を費やしたという作品は確かに良質で(実写と見紛う程、殊に人間の微細な動作を完全にアニメ化している)、全編モノクロという発想が逆説的にハイセンスである。近未来のパリという、お洒落を集約した設定に、「生は死のためにある」という人類普遍の哲学的テーゼを置くという(手塚治虫のような)SFの基本を踏襲している点も非常に高く評価出来る。ストーリーは医療関連の複合企業体アヴァロン社のムラー博士が、早老症研究をする中で人類の未来を左右する重大な発見をしてしまい(すなわちそれが「不死」で)、アヴェロン社の巨大な陰謀を防ぐべく(逆説的に人類の生を守るべく)、カラスという警部が立ち向かうというサスペンス。監督の若手映像クリエーター、クリスチャン・ヴォルクマンが押尾守の「Ghost in the Shell 攻殻機動隊」や、中でも大友克洋に最も影響を受けたと答えている点、何か日本人としてとても誇らしい(ポスト宮崎の活躍は本当に世界的に評価されている)。大友の「スチーム・ボーイ」も「蟲師」上映記念に運良く最近映画館で観ることが出来たが、素晴らしい。主人公を軸にしたシンプルで勇敢なサクセス・ストーリーで非常に感動したのを昨日のように覚えている。
 2本目はレイトショーで、昨年に続き「爆音デジタル・ゴダール」と称した「フォーエヴァー・モーツァルト」「愛の世紀」「アワー・ミュージック」の3作品の日替わり上映。こちらは運悪く、情報を掴んだ時には上映スケジュールが終わりかけていて、最後の作品を鑑賞するのみとなった。ゴダールの作品は文学であり、政治であり、映像であり、音楽である、というような多面複合体で、背景にはもの凄く膨大な情報が詰まっているのだろうが、僕はまだイメージでしか捉えられない。心臓が揺れるようなフォルテシモのピアノの旋律、強烈な色彩を放つ映像、「死とはあり得ることが起こらないのではなく、あり得ないことが起こることだ」という強烈な反戦メッセージが印象に残った。バウスでは現在ニルヴァーナのボーカル、カート・コバーンのドキュメンタリーも上映しており、再度足を運ばなくてはならない。しかし吉祥寺は数多くのカルチャーが混在しているが、一番美しいのは井の頭公園の森林浴だったりする。


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キルスティン・ダンストは妖艶

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1/30(火)
 ということで映画漬けの日々を送る。
 世界史には仏国王ルイ16世の妻として登場する現代ロリータの祖、マリー・アントワネット。ストーリーが完全に欠落しており(笑)、ファッションや風俗など、中世ヨーロッパの宮廷絵巻としては楽しめた。キルスティン・ダンストは妖艶。
 父親がキューブリックのDVDボックスを買って来たところまでは良かったのだけれど、一作目、運試しに引いた「シャイニング」はSFの要素がなく完全にホラー。RED RUMを逆さに読むとMURDERになる、というアナグラムもどこかで見たことがある(無論それがシャイニングからの引用なのだろうが)。「時計仕掛けのオレンジ」「2001年宇宙の旅」「フルメタル・ジャケット」辺りを見て判断しよう。
 「硫黄島からの手紙」はBGMがワンパターンで、ただただ戦争を悲観するしか手立てのない映画(無論戦争映画のメッセージはほとんどのものがそこにある)。
戦争と平和http://blogs.yahoo.co.jp/amp5672004/19226753.html
 で、アフリカの飢餓の現状を撮影したドキュメンタリー「ダーウィンの悪夢」も同じ渋谷でついでに観た。この映画に関してはBGMなし(笑)。始めはタイトルに強く惹かれたが、悪夢とは現実のことで、現実は予想以上にハードだ(アフリカ、ヴィクトリア湖に外来魚ナイルパーチを投入することで生態系は崩壊し貧富の差が拡大する。という弱肉強食の進化論を唱えるダーウィンに対する皮肉)。戦争も貧困も知らなければならない。特に僕らの世代の人間はこうしてフィルムを通して知る必要があるのだ。
 映画として最も興奮したのは「es」。1971年スタンフォード大学で実際に行われた心理実験の映像化で、要は報酬と引き換えに看守役と囚人役を演じるというロールプレイ。孤独は精神を破壊する。合計24名の無意識下の欲求(エス)が錯綜し、鮮血が飛ぶ。与えられた役割の心理的作用、というのは記憶に新しく、実体験で言えばそれは治験に当たる。
人体実験http://blogs.yahoo.co.jp/amp5672004/37598246.html
人体実験◆椄http://blogs.yahoo.co.jp/amp5672004/37916742.html
薬を投与されてベッドに横になる、という役割は心理的に病人を作る。それ以外にもこの映画は配色、スピード感、共に美しい程に完璧だった。


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