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「否定の否定」とは? 個人的所有の再建とは?

 
資本主義的生産様式から生まれる資本主義的取得様式は、したがってまた資本主義的私有も、自分の労働にもとづく個人的な私有の第一の否定である。しかし、資本主義的生産は、一 つの自然過程の必然性をもって、それ自身の否定を生み出す。それは ●否定の否定● である。この否定は、私有を再建しはしないが、しかし、資本主義時代の成果を基礎とする個人的所有をつくりだす。すなわち、協業と土地の共有と労働そのものによって生産される生産手段の共有とを基礎とする個人的所有をつくりだすのである。
 
この文章はどういうことを言っているのでしょうか?また、否定の否定とは何のことでしょうか?
 
労働という自然環境との直接的関係行為に自ら直接参加して自然の一部を自分のものにすること、これが個人的所有です。これは自己労働に基づく所有と言い換えることができます。
 
自己労働に基づく所有(=個人的所有)は、資本主義においては建前上は、存続していることにされていても実質的には否定されています。
 
資本主義的な大工業や大規模農業のためには、自分で農地・農具や作業場・道具を所有する自営労働者たちからそうした生産手段(農地、農具、作業場、道具etc.)を剥奪して、少数の所有者の手に移し、かつての自ら労働する小経営者たちを生産手段を持たない単なる雇われ人に変えることが必要です。
 
そしてそうなると、彼らは労働への直接参加はしていますが、それにもかかわらずこの労働の成果を直接自分のものにすることできません。雇われ人にとって自分の作ったものは、自分で作ったといっても結局は会社のものです。
 
大工業や大農業が【資本主義的生産様式】です。そして、直接労働に手を下したものではなく、これらの人を雇って働かせる者が、これら雇われ人の労働の成果を手に入れることが(というよりも結局労働行為自体を支配していること)が、【資本主義的取得様式】です。
 
ここでは、労働の担い手が、自然の一部を自分のものにするという関係(自己労働に基づく所有=個人的所有)は、否定されています。
 
共産主義の目的は、その《自己労働に基づく所有》を回復・再建することであるとマルクスは言うのです。
 
しかし、資本主義によって否定された個人的所有は、純粋な個人的所有ではありませ。《自己労働に基づく所有》に、その労働の担い手は、自分だけか、あるいは家族数人の助けを借りて労働し、大規模な協働労には参加しない、孤立的労働者、私的労働者、非社会的労働者であるという孤立性が加味されたものです。この孤立的性格の故に、資本主義よって否定される自営業者たちの個人的所有は、単なる個人的所有ではなく、「個人的【私的】所有」と呼ばれます。 
 
資本主義は、自営農民、自営手工業者を没落させ、その経営を解体することによって、「個人的【私的】所有」が持つ二つの内容、《自己労働に基づく所有》とそれの【私的・分散的・孤立的あり方】の両方を否定するのです。
 
すなわち資本主義においては、労働する人々は、「自己労働」をしていない(他人の指揮・命令の実現のために働く)し、その成果も直接所有できない、。と、同時に孤立した存在ではなく多くの同僚と協力して働く社会的存在になっている、こういうことなのです。
 
ここまでが、「第1の否定」つまり「否定の否定」の最初の「否定」の内容です。
 
しかし、資本主義はそれ自身の発展の結果として、この「第1の否定」そのものを否定してしまうことになります。
 
人間の労働力が、物資や資金の集合物である企業体の成長のために浪費され、生身の人間の生活向上にはあまり効果的に活用されません。
 
これらはすべて、労働する人々が自分の労働力を他人に売り渡して、その使用権を他人に委ねてしまった結果です。 
 
やがて、少数ではありますが、自分たちの労働力を取り戻そう、「第1の否定」をもう一度「否定」しようという人々が現れます。 
 
そうです。「否定の否定」とは、「第1の否定」によって破壊されてしまった《自己労働に基づく所有》の再建・回復です。労働そのものを他人の指揮・命令を実行する行為としてではなく、自分自身の目的を実現をする行為として実行できるようにすることです。
 
しかし、この再建は、資本主義によって否定された、「個人的【私的】所有」が持つ二つの内容、《自己労働に基づく所有》とそれを実行する人々の【私的・分散的・孤立的あり方】の両方を再建するものではありません。再建されるのは、前者、《自己労働に基づく所有》=《個人的所有》だけであり、労働する人々の【私的・分散的・孤立的あり方】の方は、再建されません。
 
再建される個人的所有は資本主義以前の、「個人的【私的】所有」とは異なる、新しい《個人的所有》です。それは、《個人的〈社会的〉所有》です。
 
孤立的ではない、他者と協力し合う労働すなわち社会的労働である協業と、土地を含む生産手段の共通占有(≒協同利用)と、この二つの条件にもとづく個人的所有なのです。
 
生産物の帰属問題は、派生的な問題です。根本問題は、労働の統括者、主催者はだれかという問題です。

個人的私的所有では、自営の農民・手工業者人が、主催者です資本主義的私的所有では、雇い主(資本家が)主催者です。再研鑽される個人的所有(個人的社会的所有)では、協力しあっている労働者が主催者です。

労働の主催者が労働の生産物の処理についても決めすが、主催者自身が受け取るばかりとは限りません。個人的社会的所有の労働者たちは、自分たちで分け合うだけでなく、米を必要とする人々に一定量を贈与するかもしれません。それを決める権限が彼ら自身にあるということがポイントです。
 
――
 〔注〕「生産手段の共有」は誤訳です。「共通占有」、「協同占有」と訳すべき語で、法的権限にかかわる「所有」概念とは違い、対象(ここでは生産手段〕に対する人々の実際的な働きかけのあり方を示す語です。
 
 














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草莽崛起(The Rising Multitude)

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