電気事業法では、家庭向け料金の値上げには経済産業相の認可が必要です。しかし、値上げを申請しない限り、料金に含まれる原価を細かくチェックされることはありません。
沖縄を除く9電力は2012年3月期決算(単体)の純損益が軒並み赤字になりました。東電福島第一原発の事故後に原発が止まり、代わりに増やした火力発電の燃料費が嵩んだためとしています。それを言うなら、なぜ沖縄は黒字なのか?
電力会社は過去のもうけを積立金として蓄えているので、赤字になっても簡単にはつぶれません。しかし、東電は原発事故の処理費用などで積立金は底をつき、実質上国有化となりました。
経産省の試算では、他の電力も原発が止まったまま燃料費がかさんで赤字が続けば、多くが1〜4年で積立金がなくなるとか。電力業界も「原発が動かなければ、値上げは避けられない」と主張しています。
ところが、各電力は本音では値上げをしたくないのです。値上げをすれば、東電のように新基準に従って社員の給料を削減したり、福利厚生などの様々な費用を削ったりしなければならないからです。
経産省は最近、そんな電力会社に「抜け道」とも言える仕組みをつくることにしました。
燃料費調整制度の改定です。 (参照)
この制度では、原油や天然ガスなど燃料の単価が上がれば、その分を自動的に料金に上乗せがオッケー。改定では、火力発電の割合が高まったことで燃料費が増えた分も上乗せできることにするらしいです。
経産相の認可は必要ではあるものの、人件費などを細かくチェックすることはありません。電力会社の経営にメスが入ることなく、値上げがじわじわ進むおそれがあります。統括原価方式は撤廃する方針のはずが(参照)、いったいどういうことでしょうか?
参照:
①経済産業省資源エネルギー庁:燃料費調整制度について(現行)
②
2012年5月19日当ブログ記事:勝利宣言^^
電力小売り、家庭含め完全自由化…競争原理導入
読売新聞 5月19日(土)3時7分配信
経済産業省の「電力システム改革専門委員会」(委員長=伊藤元重・東大教授)は18日、電力小売りについて家庭向けを含め、全面的に自由化することで一致した。
人件費や燃料費などに一定の利益を上乗せする「総括原価方式」も撤廃し、電力業界に競争原理を導入する。電力会社の発電事業と送配電事業の分離など電力自由化も加速する。一般家庭の電力購入の選択肢が増え、電気料金の引き下げにつながる可能性がある。
家庭向け電力の自由化は、政府が今夏にまとめる新たなエネルギー基本計画に盛り込む。電力業界も受け入れる方向で、来年春にも電気事業法の改正案を国会に提出する。周知期間を経て早ければ2015年前後に実現する。
電力の小売りが全面自由化されれば、消費者は電力会社のほか安価に電力を提供する新電力(特定規模電気事業者=PPS)や再生可能エネルギー専用の小売業者などから自由に購入先を選択できる。
総括原価方式の撤廃で、経産省による料金値上げの認可制もなくなる。この結果、自由な料金設定が可能になる。
電力会社の発送電分離などの電力自由化も加速させるのは、規制がなくなった後も、電力会社による事実上の地域独占が続き、電気料金が高止まりしないようにするためだ。
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