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<東京ミッドタウン>で<結婚記念>の<祝膳>とシャレたつもりが…。

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感じのよい和風レストラン。食事を終わって上機嫌で出てきた火山夫婦。家内が伝票をレジに差し出したところ…「あの、お勘定はご一緒でよろしいでしょうか」とレジの女性。家内はキョトン。火山は吹き出した。意味を察したレジの若い彼女、大慌て―――。
「もちろん、よろしいですよね。決まってますよね…」。火山夫婦は<夫婦>に見えなかったらしい。4月5日、その日は火山夫婦の41回目の<結婚記念日>だった。げっ!

3月30日、古希を迎えた火山。娘と孫3人を我が家に招き、祝宴を張った。もっとも<祝宴>とは名ばかり。バースデイ・ケーキならぬ孫たちが好きなミスター・ドーナツ、そして小僧寿司を並べ、ワインならぬグレープ・ジュースで乾杯。火山に代わって2歳の孫娘(末娘の次女)が<7本>のローソクを吹き消した。一番喜び、はしゃいだのが孫娘だ。<ハッピ・バースデイ・トゥ・ユー>を何回も歌い、ローソク消しを何回も繰り返した。

<還暦>を含め誕生日など祝ったことがない火山。だが10年前<初孫>(末娘の長女)が誕生した頃から<心境>に変化が起きた。<孫>たちのために<火山>の誕生パーティを開くことになった。今年<新5年生>になった<初孫>。幼稚園の頃からバースデイ・ケーキを作る楽しさを覚え、自作のケーキで誕生日を祝う楽しさを満喫するようになった。
彼女がケーキを作るチャンスを増やしたい。そう思ったのがキッカケ。だが小学校から成長を早めた彼女。バースデイ・ケーキよりミスター・ドーナツの方がよくなったらしい。

<古希>から一週間、今度は<結婚記念日>。その昔、記念日を忘れ、家内から<大目玉>を食らった。<名誉挽回>に<35>回目は新婚旅行と同じ<奈良・京都>旅行を試みた。京都で<桜>を眺め、奈良で新婚旅行の高級ホテルに宿泊した。だが再び中断…。

行く春や 西行法師の 夢を見る(火山)―――。<古希>を迎えた火山の心境。火山の余命も先が見えた。西行のように桜満開のシーズン、満月の夜に世を去りたい。<願はくば 花の下にて 春死なむ あの如月の 望月の頃>(西行)。

西行が<入寂>したのは建久元年(1190年)旧暦2月16日。<新暦>に改めると3月30日。なんと火山の誕生日。数年前、NHKの放送で見た。西行の享年は<73>。同じ運命なら、火山が<桜>を眺められるのは、あと<4回>。

そんなある日、<東京ミッドタウン>のグランド・オープンがテレビで話題になった。
新しい価値を紡ぎ出す。都市機能のコラボレーション。<働く、住まう、遊ぶ、憩う>…。すべてが一体となった複合都市。オフィス、ホテル、公園、美術館など、それぞれ高い<機能>を備えています。互いに受け入れあい、刺激しあい、結びつき、新しい<何か>を生みだしていく―――。<新らしもの好き>の火山、飛びついた。これだ!ついでに皇居の<千鳥が渕>で<桜>も見よう!!お堀に映える桜は<絶景>だ。

<グランド・オープン>がナント<3月30日>!!火山の誕生日だ。ここまで<偶然>が重なれば、家内を説得できる。
その昔<恵比寿ガーデンプレイス>がオープンした時も、火山夫婦は観に行った。<六本木ヒルズ>も!<表参道ヒルズ>も―――。昨年7月、<日本橋三井タワー>がオープンした時は最上階のマンダリン・オリエンタル・ホテルのレストランで食事をした。

4月5日の<結婚記念日>は快晴。<千鳥が渕>と<東京ミッドタウン>見物が実現した。
地下鉄の「半蔵門」で下車。お堀端を歩き、千鳥が渕の桜を見た。気分爽快。
ついで地下鉄で「乃木坂」へ。延々と続くエスカレータで地上へ出た。視界が開けた途端、<東京ミッドタウン>のプラカードを掲げたガイドが随所に見えた。

シンボルの<ミッドタウンタワー>は地下5階、地上54階、高さ248mと<六本木ヒルズ>だけでなく<東京都庁舎>も追い抜く高さ。―――地下鉄へと続く50mものガラス面は<草月流>竹中麗湖氏による<竹>のインスタレーション。コンセプトは<森羅万象>。「植物で描く宇宙は、永遠の流れ、山並み、時には風の道、幽玄な光」という―――。

前口上はお見事。だが嫌がる家内を強引に口説いたにしては火山もガッカリ。人出は凄いが食事をしようにも、どこも長蛇の行列。エスカレーターも点々と途切れ、階を登るごとに歩かされる。ガレリアの名物<吹き抜け>の両側に並ぶファッション、宝飾、ブランド品の店舗を<見ろ>―――。そんな<商業主義>がミエミエ。家内も火山も疲れた。

諦めて場所を変えることにした。乃木坂から歩いてくる途中、昼食時で地元のOLやビジネスマンが次々と入っていくシャレた和食レストランに目をつけていた。家内を案内した。
「とってもヘルシーな<軍鶏料理の店><コクと旨み>の福島県川俣産を使用。低カロリーで高タンパク」―――。2組ほど待たされてテーブルが空いた。ノレンが下がったお座敷風の小部屋。<きしめん>を頼んだ。地鶏とセットになっている。赤ワインで乾杯。

いつもと違う雰囲気、一等地<六本木>で地元のビジネスマンに人気がある。値段も手ごろなのだ。レジで精算を見ていると、グループで来ているのに皆<割り勘>―――。
火山、見ていて笑った。でも親切だ。素晴らしい。食事を楽しみながら家内と<割り勘>のおかしさを話題にした。だが精算しようとレジに行き、家内が伝票を出した。「あの、ご一緒でよろしいのでしょうか」とレジ。結婚記念日なのに<夫婦>に見えなかったらしい。
(平成19年4月13日)

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