What's up! 012 守野夏秋 06
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※ いつかはBLになるハズ!? の『イライラ系BL』。のんびりお付き合いください。
苦手な方はごめんなさい。
what's up! 〜 守野夏秋 06
俺は、思いもよらぬ場所で鉢合わせした柏木をまじまじと見た。
おおよそ夜の繁華街と縁などなさそうなタイプなのに、何でこんなところに現れるんだ? しかもこの格好……。 当然、夜遊びじゃねぇよな。 「ギャルソン…?」 「はは…。ちょっと訳ありで」 困ったような顔で柏木が乾いた笑いを浮かべる。 「そうか」 俺はあっさり頷いた。 言いたくないなら言わなくていい。 その“訳”ってのに興味はないからそんな顔すんなよ。 「え? なになにぃ〜? 柏木ちゃんったら夜のお仕事してんの?」 何にでも興味を持ちなおかつそれを隠さない飛鳥部が、柏木の肩に腕を回そうとした瞬間。 柏木に手当てをしようと言われて迷っていた様子だった小柴が、慌てて後ろから飛鳥部のジャケットを鷲掴みにした。 「やっぱ、おまえらこっちだ」 そのまま背を向けて歩き出そうとする。 何故小柴がこんなに手当てされるのを嫌がるのかわかっている様子の柏木は、優しく笑って、 「徹、いいって。手当するから店にいこ、な?」 「平気だってッ」 背を向けたまま小柴。 小柴はいつも柏木の事になると頭に血が上る速度に拍車がかかるな。 まぁ、元々、女みたいな外見からは想像もできない、血の気の塊みたいな奴だ。 このままの状態でいても埒があきそうにない。 仕方なく俺は二人に声をかけた。 「飛鳥部、行くぞ……。小柴もな」 「なんで、俺がッ」 「小柴ちゃん、加勢してやったんだから付き合ってくれるよねぇ?」 にこにこと飛鳥部が小柴の腕を取る。 「離せよ。頼んだ覚えはね…。いや…そうだな」 噛みつく勢いで飛鳥部を振りほどこうとした小柴が、上げかけた腕を下す。 「わかった。行く。」 不本意そうな顔で、肩をすくめて小柴。 「そうこなくっちゃ♪」 飛鳥部が満面の笑顔でぱちりと指を鳴らす。 「じゃあな、柏木」 「え? えっと…」 意外な展開だったのか、戸惑った様子で俺たちの顔を見比べていた柏木に向かって、片手を上げる。 柏木は、はっとして俺を見、少し驚いたような顔をした。 あ。……俺、今……。 一度瞬きをして、柏木は自然な笑顔を浮かべた。 どんな状況でも笑顔には笑顔で応えるのが、いかにも、お人よしの柏木らしい。 「……」 なぜかその笑顔を見ていられず、なんでこんな場面で柏木に笑いかけてるのか自分でもよくわからず、とっさに目をそらす。 ……なにやってんだ、俺。 目をそらしたのを不自然に思われないようにそのまま背を向けて、小柴と飛鳥部を促した。 「行くぞ」 「了解〜♪」 小柴の肩を抱くようにしてご機嫌で飛鳥部。 「蛍、明日学校でな〜。ってか、離せってッ! なんだよこの手!」 肩にかけられた飛鳥部の手を、ぎりぎりと力を込めて引き剥がしながら小柴。 「あ…。ああ、じゃあな」 振り返ると、柏木は心配そうな視線を俺たち……、いや、小柴に向けて、その場から動かずに俺たちを見送っていた。 目的地に着くまでに、歩いて15分。 その間に、執拗に小柴にまとわりついていた飛鳥部は、まじもんのパンチを2発、腹と頬に喰らっていた。 「いい加減にしろっていってんだろッ」 飛鳥部の襟首を掴んで、本気混じりの口調で言う小柴の目が据わりかけている。 「だって、好きなものには触りたいんだもん〜♪」 小柴の怒りなどどこ吹く風でにこにこと飛鳥部。 殴られても懲りた様子は全くない。 「お前なァ」 これ以上険悪になる前に俺は、二人の間に割って入った。 「ここだ。入るぞ。」 アンティークな店構えの小さなビストロを顎で示す。 俺たちが“ダディ”と呼んでいる風変わりな店主は、“元”おっさんだ。 「ダディ、俺たち腹ペコ〜。なんかうまいもん喰わせてよ」 三発目のパンチを脇腹に喰らいながらも、小柴を羽交い絞めにして離さない飛鳥部が、陽気な声で店主に空腹を訴える。 「きゃーー! どうしたの! あんた達!」 傷だらけの俺たちを見たダディが、ばっちりメイクを施したごつい顔に両手を上げて悲鳴を上げる。 そういえば、高校に入ってからは、傷を作ってここに来るようなこともなかったな。 「飯前の運動だ」 「もぉ、困った子ねぇ」 俺の返事に呆れたようにため息をついたダディは、飛鳥部に羽交い絞めにされた小柴の存在に気づき、 「こっちの子はひどい怪我じゃない〜って、あらぁ、可愛い❤」 小柴の逆鱗と言われるキーワードに、表情が変わる。 ……って、無駄だから。 「うふふ、睨んだって怖くないわよぅ、ぼうや。ちょっと待って」 ダディは小柴の鼻先をチョンとつまみ、ウインクしながらカウンターの奥に消えていった。 「え。えぇぇッ」 鼻先をつままれた小柴は、ダディの毒というか…雰囲気にあてられて、びっくりした顔で大きな目をさらに大きくしている。 ダディは、いそいそと嬉しそうな顔で戻ってきて、カウンターに救急箱をドンッと置いた。 「はい、どうぞ」 「なに〜。手当てしてくんないの?」 甘えた口調で飛鳥部。 「あのねぇ、おこちゃまなこと言わないの。アタシはあんたたちの飯つくらなくちゃいけないんだから忙しいのよ。…ほら、お返事は?」 両手を腰に当ててダディがふんっと鼻を鳴らす。 「は〜い」 らしくもないいい子のお返事。 すべて、店主次第のこの店だ。 お行儀よくしてねぇと、水も出てこないからな。 「……」 「なんだ?」 「なに〜?」 俺たちとダディのやり取りに、硬直して目を瞬かせている小柴に気付いたのは、ダディが厨房へ消えた後だった…。 |
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