トークイベント「もっと、岡本喜八を!」レポート(1)
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トークイベント「もっと、岡本喜八を!」
【実施日時】11月28日(日) 午後12時30分開場/13時30分開演(終了予定16時30分)
【実施会場】ロフトプラスワン(新宿歌舞伎町)
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出演】寺田農(俳優)、伊佐山ひろ子(女優)、佐藤闘介(映画監督)
佐々木淳(「喜八 フォービートのアルチザン」著者・編集者)
岡本みね子(プロデューサー/喜八監督夫人)
岡本真実(女優/喜八プロ代表)
岡本喜八監督は、代表作としてコミカルな戦争アクション映画『独立愚連隊』(1959)が広く知られているが、その他にも重厚な戦争大作『日本のいちばん長い日』(1967)や『激動の昭和史 沖縄決戦』(1972)、戦時中の自身を投影した自伝的な青春ストーリー『肉弾』(1968)、狂人を抹殺しようとする組織との戦いを描いたサイコ・コメディ『殺人狂時代』(1967)、SFサスペンス『ブルークリスマス』(1978)など多彩なジャンルを手がけている。戦中派の怨念や哀しみ、国家権力への不信の念をこめた作品が多い。
言葉ではうまく説明できないのだが、小気味いいカット割りが身上で、その編集の気持ちよさは、彼の作品を何本か見れば誰でもすぐに判るだろう。
岡本監督は2005年2月に81歳で死去しており、来年2月に七回忌を迎える。そのタイミングで特集上映などが行われるそうで、今回のトークはそれに向けて盛り上げていこうという意図で企画されたようである。
ロフトプラスワンはパネリスト席と観客との距離が近く、収容人数も少ないので、なんとなくトークを身近に感じられる(しかも飲食しなければいけないので、お酒も入って、いい気分になる)。
個人的には、お目当ては俳優の寺田農である。寺田は『肉弾』、『赤毛』(1969)などの岡本作品に出演しているほか、アニメ映画『天空の城ラピュタ』(1986)の強烈なムスカ大佐役(声の出演)でも知られているが、私は小学生の頃に見たNHKの朗読番組(岡本監督と何の関係もないが)で「なんてかっこいい声だ…」と打ちのめされて(?)以来のファンである。寺田氏の舞台はまだ見たことがないので、彼を目にするのは初めてだった。少量の酒を飲んだとはいえ、68歳のおじいさんを見て泣きそうなほど感激するのだから、われながらどうかと思う(余談だが学生時代の知人で「あこがれの人は、椎名誠」と公言しているさわやか男がいて、内心でつまらんやつだと思ったものの、やはり椎名誠のほうがいいのかも。「あこがれの人は、“ゴミのようだ”のムスカの声の〜」では…)。
ちなみに、氏はテレビなどで見るよりも、血色がよく若い印象であった。
司会の人が「きょうのことはブログやツイッターでどんどん書いていただいて、復活の機運を盛り上げましょう」と言っていたので、需要があるのかは判らないが、一応レポートしてみたい(記憶と簡単なメモ頼りなので、実際の発言とは異なる部分もございます)。
【寺田農氏】
寺田「EXILEの寺田です(一同笑)。岡本監督では『肉弾』に出まして(主演)、あるときは『仮面ライダーダブル』の敵、あるときは『ウルトラマンマックス』のメトロン星人(一同笑)」
「岡本監督の『日本のいちばん長い日』の衣装合わせに行ったとき(スケジュールの都合で結局出演しなかった)、やたらと監督がぼくの身体を触るんです。この業界はそっちの人、この近くの二丁目の世界の人が多いので(一同笑)、そういうことかと思ったんですけど」
「その翌年、岡本監督のところで麻雀をやる機会があって、当時のぼくは雀鬼と呼ばれるほどだったんで(一同笑)徹夜でやりました。今思えば、これが面接だったんですよ」
その後、すぐに『肉弾』の主役に決まった。以前の衣装合わせで触られたのは、『肉弾』で自身をモデルにした役にちょうどいい痩せ形の役者をさがしていたのだという。
「“きみは顔もひねくれてるけど、麻雀も相当ひねくれてるね”と言われました(一同笑)」
『肉弾』の翌年に三船敏郎主演の時代劇『赤毛』にも、寺田氏は準主役級で出演している。『赤毛』は、幕末を舞台に三枚目のヒーロー(三船敏郎)がはめられ倒されていくまでを描いた佳作で、あまり知名度はないが、なかなかに見応えがある。
「『肉弾』は監督の言うままにやったので、毎日映画コンクールの主演男優賞をもらいましたが、あまり感動はなかったですね。むしろ『赤毛』ではいろいろ考えながら演じたので、こっちが助演賞の最終選考に残りながら賞をとれなかったのでがっかりしました。そのとき賞をとったのが、『黒部の太陽』の三船さんだったんです(奇しくも『赤毛』の主演者だった)」
「岡本作品では、ぼくはほんとに“放し飼い”でしたね。『座頭市と用心棒』(1970)のときは、(座頭市役の)勝新太郎さんが、ぼくの芝居に対して、それは違うだろって言った。当時のぼくは生意気だったから、監督に“勝さんがこう言ってますけど”なんて言ったら、監督は“農(ノー)ちゃんは好きにやれ”って。ぼくは得意になって“好きにやりますよー”って、勝さんは怒っちゃって(一同笑)。でも、そんなことがあったせいか、後で勝さんとも仲良くなって、何度も共演しましたね」
「監督に怒られたことは一度もないですよ。スタッフも、まあほとんどないんじゃないかな。怒鳴るわけじゃなく、それでいてうまーく人心掌握する。見事なリーダーシップでした」
『赤毛』のスリ役の寺田氏は、若くてハイテンションな印象で、近年の『仮面ライダーダブル』などにおける渋さとは別人のような気がするのだが、素の寺田氏は、身振り手振りも交えた話術が面白く、40年前の『赤毛』とそう変わらないようにも見えた。
『仮面ライダーダブル』『仮面ライダーオーズ』などの田崎竜太監督からのメッセージも来ていて「岡本監督のカッティングセンスと画面構成には強い影響を受けました」「寺田さんとも、またご一緒できたら」というような文面であった。(つづく)
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