田中栞日記

開きやすく壊れにくい製本を心がけています。

修復テクニック基礎講座と紙の脱酸処理工場見学


 紙の酸性紙問題がクローズアップされたのは1982年、金谷博雄氏が
『本を残す』(著者刊)という小さな冊子を発行して警鐘を鳴らしたのが、
きっかけだったと思います。
 戦時中の本など、触るだけでぐずぐずに崩れてしまうような現象が起こるのは、
使われている用紙が「酸性紙」だからだ、ということでした。
 そして、出版物に使われる書籍用紙についても、以後、製紙会社が
いわゆる「中性紙」を作るようになってきたのです。また、昔の「酸性紙」で
作られたものを救う手段として、「脱酸」(紙の脱酸性化)の技術が開発されました。


 しかし、私も、「脱酸」という技術があることは知っていても、実際に
どのように行うのかは知りませんでした。


 昨年のことです。「脱酸」を業務として行っている会社の工場を
見学する機会を得たのです。
 会社は、プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン(さいたま市)で、
アメリカのプリザベーション・テクノロジーズ社の日本法人。
 酸性紙の酸を安全に中和する同社の方法は、「ブックキーパー(Bookkeeper)」と
呼ばれています。

 その実際の方法は、思い描いていた想像をはるかに超える、衝撃的な
ものでした。なんと溶液の中に本を丸ごとドボン!
 ……もちろん、事前に緻密な調査・記録を経ての作業ですが、その現場は
大変ダイナミックです。よく考えられているのは、この段階にいたる以前に、
それぞれの資料の状態の把握とともに、最低限ながら手作業での修復も
施しているということです。


 私が参加した見学会では、工場見学の前に、「修復の基礎講座」がありました。
会場のテーブルの上に置かれていたのは、こんなケース。


イメージ 1

 中には、いくつかの道具と修復用の和紙数種類、そして直す用紙。


イメージ 2

イメージ 4

 テキストもあります。
イメージ 3

 テキストは、とても合理的でわかりやすく、よく考えられています。


イメージ 5

 講座の内容は、古い書籍本文の用紙の破れを補修したり、針金綴じのものを
紙のこよりで綴じ直す、という実践体験です。使用する糊や和紙についての
解説もありました。


 講座修了後、この道具セット・テキストなどは、持ち帰ることができました。
 これはすごいと思い、日本出版学会の研究会として、修復基礎講座と工場見学をしてもらうことにしました。
 学会員でなくても、どなたでも参加できます。「道具セットつき」でこの参加費(学会員3000円、非学会員4000円)は大変お得です! ぜひご参加下さい。


……………………………………………………
日本出版学会 2016年度・第1回出版技術・デジタル研究部会のご案内
 
修復基礎実習と脱酸処理工場見学
〜プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン見学会
 
  株式会社プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパンは、アメリカのペンシルバニア州
 ピッツバーグに本拠を置くプリザベーション・テクノロジーズ社の日本法人です
  国際特許をもつ脱酸技術「ブックキーパー」により、酸性紙の酸を安全に中和し、
 書籍や文書などの紙資料の寿命を長期にわたって延長する画期的な保存技術を
 提供しています。
  この研究会では、出版物に欠かせない「紙」に焦点を当て、傷んだ場合の
 簡単な修復実習を体験したうえで、紙の「酸性化」と「脱酸」についての
 基礎知識を学び、更に脱酸処理の工場を見学します。
  お手持ちの傷んだ紙資料や図書をご持参いただければ、修復方法の解説も
 行います12冊まで)
  実習で用いる修復基礎道具セット(カッターマット、へら、はさみ、ピンセット、定規、
 ニッパー、水筆、スポイト、製本針、正麩糊サンプル、修復用和紙サンプル、道具収納ケース、
 テキストなど)は当日、会場で支給され、使用後お持ち帰りいただけます。
 
講 師: 横島文夫(株式会社プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン専務取締役)
 
日 時: 201679日(土)133017:00
内 容
修復基礎実習……修復用の糊の作り方、破れた紙資料の修復、針金綴じ本の綴じ直しなど。
紙の酸性化と脱酸性化処理について(レクチャー)
ブックキーパー(脱酸技術)工場見学
 
集 合 13:10(遅刻厳禁)/ご予約の方には、当日のことについての詳しい連絡をします。
  大宮駅西口1階(地上階)のタクシー乗り場付近(コンコースから階段を降りたところ)
  ※「プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン」のカードを持つ者に、
   声をかけて下さい。
  ※工場見学の際の安全のため、底の低い靴、動きやすい服装でお越し下さい
   (ハイヒール不可)。
 
   さいたま市中央区円阿弥7-3-23 電話048-795-7345 info@ptj.co.jp
   最寄り駅は「大宮」駅です。現地へは、駅から車で送迎します。
 
参加費: 日本出版学会会員3000円、非会員4000円 ※要予約
   (修復実習道具セット・テキスト・材料費を含む)
 
申込み・問合せ先:株式会社プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン
   (担当:横島・川瀬)
    電話048-795-7345 FAX 048-795-7346 info@ptj.co.jp
※「氏名・電話番号(なるべく、当日連絡のつくもの)・ご所属・学会員か非学会員か、領収書の宛名」を明記の上、FAXまたはメールにてお申し込み下さい。複数名でご参加希望の場合も、全員の情報をお知らせ下さい。折り返し、当日の詳細についてお知らせします。
 ※今回の申込み先は学会事務局ではありませんので、ご注意下さい。
 
主 催: 日本出版学会/出版技術・デジタル研究部会(担当/田中栞)
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〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
  …豆本を6冊作ります                                                                       
2016910日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
 


…本かがり上製本・和本など4冊作ります

2016814日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
 
*ワークショップ1日丸背豆本&函教室」(帳簿式)
  …憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります
2016108日(土)朝〜晩、豆本三昧!
 
ワークショップ一日製本教室(御朱印帳)
  …御朱印帳(大サイズ&豆サイズ)、和本(亀甲綴じ)を作ります
2016109日(金)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*本作りに役立つ編集講座

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