帳簿製本と版元製本の違い
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2月5日に、帳簿製本の恩田譲さんにお願いして、
実際に帳簿製本を作ってみるというワークショップを行った。
製本のワークショップは数あれど、この内容のものは
そうそうないと思われる。
ちなみに、これが1冊分の材料である。
帳簿の製本が、出版社が発行する書籍の製本と
大きく異なる部分は、次のようなところである。
〈1〉折丁の背の部分の形状
外見が「丸背上製本」の形であることは、版元製本の
それと大変良く似ているが、折の背の形状は、実は
図のように異なる。
Aが通常の機械製本や手製本における、丸背の折丁の
背の状態である。左右にカクッと折れ曲がっていて、
この四角い下の空間に表紙の板紙が嵌り込む。
この部分を「耳」と呼ぶが、これを出すために、
折丁の折り目に近い部分は、多くは折れ曲がっている。
折丁のトップはヘラでごしごし擦るなどして潰し、
本の背は一つの丸い山になるように作る。
したがって、本文紙の折丁の背に近い部分は、
多かれ少なかれ折れ曲がっている。つまり厳密に言えば、
たとえ糸かがりであっても、折丁の奥までフラットには
開かない道理である。
一方、帳簿製本の背は、Bの形状である。折り山を
曲げないし潰さない。折り山は凸凹のままの状態である。
折り山の背のトップの部分まで、本文用紙は
まっすぐなので折丁が奥まできれいに開くのだ。
〈2〉背貼り
本文ブロックの見返しの外側、表と裏の両方に、
非常に引きの強い「バネ」と呼ばれる薄い板紙を取りつけ、
この上に、背を跨ぐようにして「ウカシ」と呼ばれる紙を貼る。
「ウカシ」は、その名の通り背には糊づけせず、
本を開いたときはこの紙と折丁の背の間が開く。
(上の画像は、「バネ」を取りつけ、その上に支持体の布テープを
貼り付けたところ)
「ウカシ」の外側に、「クータ」と呼ばれる
丸くて固い板紙を貼り付ける。
手製本の「クータ」とは、まったく異なる物体である。
構造としては、本を開いたときに、クータの下に
貼り付いている「ウカシ」の、更に下側に空間ができて
「腔背(あなぜ)」の構造になる。
〈3〉表紙
クータの外側から本の「ひら」にかけて背クロスを貼り、
表紙板紙はオモテ表紙とウラ表紙とを、一枚ずつ別々に貼り付ける。
手が写らない!)
機械製本や多くの簡単な手製本で行われる上製本の表紙は、
オモテ表紙・背表紙・ウラ表紙がつながった状態のものを作り、
これを本文ブロックに被せて貼る「くるみ表紙」という構造であるが、
帳簿の表紙は、オモテとウラはつながっていない。
背クロスの貼り方は、ルリユールのパッセカルトンで行う手法と、
よく似ているように感じられる。
構造の違いは、ひとえに、ただ単に中に書かれている文字を
読む「読書」と違って、この冊子の「中の用紙に、ペンで
文字を書く」という用途の相違から来ている。
それにしても、こんなふうに、図や写真を見たり、説明文を
読んだりするだけでは、なかなか理解できないと思う。
私も、恩田さんの話を聞き、恩田さんの実演も見て、
実際に作業をしている「日本経理帳簿」の現場へ見学に行き、
更に自分でも作ってみて、ようやく理解したのである。
外から見ただけではわからない構造の違いを実感することができ、
東京製本倶楽部の今回の企画は、大変に有意義であった。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
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