恒川光太郎/「金色の獣、彼方に向かう」/双葉社刊
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恒川光太郎さんの「金色の獣、彼方に向かう」。 樹海に抱かれた村で暮らす大輝は、ある日、金色の毛をした不思議な生き物と出合う。ルークと 名付けて飼い始めるが、次第に大輝の体に異変が起きてきて……。「樹海」と「サンカ」をテーマに、 鬼才が読者を神々の世界に誘う、表題作を含む4編を収録(紹介文抜粋)。 恒川さんの新作が出ました。出てるって知らなかったのですが、本屋で見かけて即予約したので 結構早く回って来ました^^ 今回も恒川さんらしいちょっぴりホラー交じりの幻想怪奇な世界観は健在で、とても良かったと 思います。 四作、それぞれに毛色の違う作品が収録されているのですが、どの作品にも共通して『鼬』 が出て来るので、統一感のある作品集になっているところが良かったですね。それぞれの話が リンクしている訳ではないと思うのですが・・・。ただ、一作目に出て来た巫術師が飼っていた 鼬が森の中で長い年月生き残っていて、化け物化したのが三作目で出て来た化け物鼬なのかな、 とか、四作目のルークはその化け物鼬の子孫なのかな、とか、想像を働かせるといろいろな解釈 が出来そうな感じもするのですけれどね。実際のところどうなのかはわからないですけどね^^; どの話でも、登場人物が残酷で黒い過去を抱えていたりするのですが、そこをあっさりと描写して いるせいか、さほど嫌悪を感じません。そうした黒い部分と鼬が引き起こす不可思議な現象とが 絶妙に絡み合って独特の世界観を醸しだしているところが良かったですね。 ただ、展開的に、もうひとひねり欲しかったな〜ってものが多かった気はします。恒川さんなら、 もうちょっと意外な方向に持って行けたんじゃないのかな、みたいなね。十分面白かったの ですけどね。 以下、各作品の感想。 『異神千夜』 鎌倉の元僧侶・遼慶は、泉の側で一人の男と出会い、自分の草庵へと案内する。男は、自ら体験 した恐ろしい体験を語り出すが。 魔性の女・鈴華のキャラが怖かったです^^;一つの村を殲滅させてしまう話は最近他の作品でも 読みましたが、ぞっとしますね。人がいなくなって、建物だけが残った廃村って、イメージする だけでぞくりとします。 ラストの展開は恒川さんにしてはありきたりだな、と思いましたが、緊迫したラストは、ホラー としては怖さの余韻が残って良かったのではないでしょうか。 『風天孔参り』 男が経営する山中のレストランに不思議な団体客がやってきた。そのうちの一人の女性が、 男は宿泊も受け付けていると知ってしばらく滞在したいと言ってきた。女性が滞在するうちに、 二人は男女の関係を持つが、女性の真の目的は違うところにあった――。 風天孔参りという設定は、一番恒川さんらしさが出ているな、と思いました。風天孔を探して 旅を続ける不思議な団体客たち。もし、実際こういう現象があるとしたら、参加したいと思う 人が続出するんじゃないでしょうか。恐ろしいことだと頭ではわかっていながらも、すべてを 捨ててそこに身を任せてみたい、という魅力には抗えないかもしれません・・・。 『森の神、夢に還る』 いろいろなものに憑依出来る能力を持つ私。そんな私がある日、夜の駅で出会ったのがナツコ だった。彼女は希望を抱えて上京する所で、そんな彼女はとても美しかった。私はそんな彼女に 惹かれて、彼女に憑依した――。 ナツコが友達だと思って仲良くしていたユリの裏の顔にははっとさせられました。そして、彼女の 末路にも。人間、裏では何を考えているかわからないものですね・・・。 ナツコに憑依している『私』の過去の人生の方がドラマティックでより残酷でした。シバが 目指した泉は、一作目に出て来た遼慶が男と出会った泉なのかな。鼬行者の正体には驚かされ ました。こういうミステリ的な構成も巧いですよね、恒川さんって。 ナツコはいつか自分の子供と一緒に『私』に会いに稲光山へ向かうでしょうか。 『金色の獣、彼方に向かう』 大輝が子供の頃、川の向こうには行ってはいけないと言われていた。川の向こうは樹海で、 川辺の野原には多くの怪異譚が語り継がれていた。ある日、大輝は、川の向こうから来たと いう一人の少女と出会い、仲良くなる。彼女と一緒に遊んでいると、大輝は一匹の鼬を見つけ、 部屋に持ち帰って飼い始めた。鼬は不思議と大輝に懐いた。やがて、大輝は鼬の不思議な能力 に気付くが――。 千絵の身の上には胸が痛みました。彼女の残酷な発言にはそういう裏が隠されていたのですね・・・。 始めは、彼女の身勝手な言動にはムカっとしたところもあったのですが。猫の墓堀人という設定 自体が怖かったです^^; 千絵を見捨てた大輝にはちょっとガッカリしたところもありましたが、まぁ、自分が同じ立場 でも、同じことをしただろうな、と思うので仕方ないのかな、と。千絵がどうなったのかを 考えると暗い気持ちになりますが、ラストの大輝との関係になんだか救われた気分になりました。 きっと千絵にとっても、大輝との思い出は大切なものなんでしょうね。そうじゃなきゃ、こういう ことはしないでしょうから。 結局、それぞれに出て来る鼬の正体は謎のままですが、それはそれで良いのだと思います。
今回も、恒川ワールドにどっぷり浸れて、幻想怪奇な世界観に酔い痴れました。 |
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金色の獣、彼方に向かう /恒川光太郎
「異神千夜」「風天孔参り」「森の神、夢に還る」「金色の獣、彼方に向かう」の4編構成です。 「金色の獣」や「樹海」など共通点が見受けられるが、特に説明は無い。 それぞれ明確な繋がりはないが、元寇の頃の物語りなので鎌倉時代から現代を舞台としている話まで、 4つの物語りは底流で繋がっているのでしょう。 あくまで長い歴史の中に埋もれながら続いている異世界を取り出したにすぎないのかもしれない。 気付かぬうちに見えざるものになってしまったり、目に見えないものがふと眼前に現れたり ふっ
2011/12/5(月) 午後 1:50 [ OLO STYLE NEW TYPE ]





先日テラさんとこで本書の発売を知りまして^^;まだネットに反映されていないので、現地予約になりそうです。そこそこ良さそうですね。鼬というのも興味が惹かれますな。楽しみですなー。
2011/12/5(月) 午前 1:09
いずれの作品も過去の作品に似た部分を感じましたが、それでものめり込むように読んでしまいました。全ての話がそれぞれ緩〜く共通点があるので長編のような感覚もありました。全体的なモヤモヤ感はべるさんも書いてますがひとひねり足りないところなのかもしれません。でも、恒川ワールドは何度浸っても飽きさせませんね〜
2011/12/5(月) 午後 1:50 [ テラ ]
恒川さんは、ホントタイトルも装丁も素敵ですね(^-^)内容も恒川さんらしい雰囲気が感じられるので、早く読んでみたくなりました(^o^)
2011/12/5(月) 午後 6:08 [ タカ ]
土着ホラーは好きなんです。坂東 眞砂子はかなり読みました。
「サンカ」まで、いや、珍しい。
いい人紹介してもらいました。^^
2011/12/5(月) 午後 9:32
>>ゆきあやさん、恒川さんらしさは健在でしたよー。それぞれに出て来る鼬同士がどういう繋がりがあるのかとか、いろいろ想像を膨らませたくなるようなお話でした。
2011/12/6(火) 午後 11:48
>>テラさん、そうですね。どこかで読んだことがあるような印象を受ける作品はありましたね。でも、簡潔なのに情緒ある文章で読ませてくれますよね〜。やっぱり、テラさんもあと一捻り足りないと思われましたか。恒川さんの独創性がもう一味欲しかったですよね。でも、やっぱりこの世界観は魅力的ですよね!TBありがとうございました^^
2011/12/6(火) 午後 11:50
>>タカさん、そうそう。いつも装幀も素敵なんですよね。今回も十分独特の恒川ワールドは味わえると思いますよ〜^^
2011/12/6(火) 午後 11:51
>>トウギョウさん、土着ホラーがお好きなら、まさにぴったりの作家さんだと思います。あ、実は私、紹介文の「サンカ」の意味がよくわからなかったんですよ・・・^^;;
逆に私は坂東さんを読んだことがないので、一度読んでみたいと思ってたんですよね〜。怖そうですけどね^^;;
2011/12/6(火) 午後 11:53
ホラーなんですね〜
読んでみたいで〜す!
2011/12/7(水) 午前 6:40
>>LIBRAさん、そうですね。今回のはホラー色がちょっと強かったかな。読んでみてください^^
2011/12/8(木) 午後 10:09