ミステリ読書録

ついに一ヶ月を切ってしまった・・・(ToT)

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全313ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

初野晴/「千年ジュリエット」/角川書店刊

イメージ 1

初野晴さんの「千年ジュリエット」。

惜しくも普門館出場を逃したハルタとチカは、息つく暇もなく文化祭に突入した。だが、吹奏楽部、
アメリカ民謡部、演劇部と次々に問題が持ち上がり……。大好評青春ミステリ“ハルチカ”
シリーズ最新作!(紹介文抜粋)


『退出ゲーム』のハルチカコンビが活躍するシリーズ第四作。今回は青春ものの定番中の定番、
文化祭編です。今回は、なんといっても一作目の『エデンの谷』で新たに登場した女スナフキン
こと、山辺真琴のキャラが強烈でした。あの草壁先生でさえ手を焼く程の逸材(?笑)。
草壁先生の曰くありげな過去も知っているようだし、今後もいろいろとかき回してくれそう
ですねぇ。音楽の才能は確かみたいですけどね。性格もさることながら、その風貌も個性的。
女性なのに、誰から見てもスナフキンって^^;個人的理由で、いろいろ悟っちゃったのも
わかるんですけど、いくらなんでも、風貌まで世捨て人みたいにならなくても^^;
でも、彼女のおじいさんからの彼女へのメッセージには脱力しつつウケました(笑)。茶目っ気の
あるおじいちゃんだったんですねぇ。でも、もうひとつ、おじいちゃんが彼女の為にしてあげた
粋な計らいには胸がじーんとしました。何より孫娘のことを気にかけていたのでしょうね。

二作目の『失踪ヘビーロッカー』の結末には唖然。タクシーの中でいきなり態度を豹変させた
ライオン少年の事情がまさかそんなものだとは・・・^^;;最初は不穏な方向に行くのかと
思ったのですが、ライオン少年が最初の印象通りの子でほっとしました。真相がわかった後の
タクシー運ちゃんの反応にあったかい気持ちになりましたね。それだけに、彼の引きこもりの
子供はこのあとどうなるのかなーと、気にかかりました。

三作目の『決闘戯曲』、作中作の真相にも目が点。三世代に亘って決闘に打ち勝って来た真相
がそんなものだとは・・・。っていうか、相手がそれじゃ、決闘する前に文句言って来そう
ですけど。完全に反則技なのでは・・・。まぁ、真相は意外性があるし、決闘の条件からも
外れてはいないのだろうとは思うけれども。でも、何か腑に落ちないものも感じました^^;;

最後の表題作『千年ジュリエット』は、一番トリッキー。まんまとしてやられてしまいました。
髪の毛の辺りで、完全に違った方向にミスリードされてしまった^^;三作目の気がかりが、
ここで出てくるとは思わず、驚かされました。さすが、こういう仕掛けは巧いですねぇ。
ジュリエットの秘書たちの結末には胸が塞がる思いがしました。初野さんは、こういう設定
を考えるのがお上手ですね。とても残酷で読むのが辛いところもあるけれど。でも、どうしようも
ない現実を描きながらも、必ず最後は絶望ではなく希望を感じさせるラストに繋げるところが
好きです。トモちゃんは、きっとこれからジュリエットの秘書たちの想いを胸に、少しだけ前を
向いて生きて行けるのでしょう。トモちゃんのお父さんが誰かわかった時は、『こう繋がるのか!』
と嬉しくなりました。ちょっと偶然が過ぎる気がしなくもないけど、気になっていた部分だった
ので、少しすっきりしました。まだまだお父さんの心配は晴れないだろうけど、今回のことで
一歩前進したのは間違いないでしょうね。


もちろん、今回もハルチカコンビの絶妙なやり取りも楽しめました。チカちゃんはほんとに
面白いキャラだなぁ。可愛い。草壁先生の存在が相変わらずいまいち掴めないままだったのは
残念ですが。先生の過去って何なのかなぁ。気になる。もちろん、三角関係の行方もね。
あまり間を空けずに続きを書いて頂きたいものです。

閉じる コメント(5)[NEW]

閉じる トラックバック(1)

辻村深月/「サクラ咲く」/光文社刊

イメージ 1

辻村深月さんの「サクラ咲く」。

若美谷中学1年5組の塚原マチは、自分の意見を主張できない、頼み事を断れない、そんな性格を
直したいと思っている。ある日、図書室で本をめくっていると、一枚の紙が滑り落ちた。そこには、
丁寧な文字で『サクラチル』と書かれていた。貸出票には1年5組と書いて、消された跡がある。
書いたのは、クラスメイト?その後も何度か同じようなメッセージを見つけたマチは、勇気を振り
絞って、返事を書いた。困っているはずの誰かのために―(「サクラ咲く」他2編収録)。中高生
が抱える胸の痛み、素直な想いを、みずみずしく描いた傑作。中学生から(紹介文抜粋)。


辻村さんのYAもの。ラノベっぽい表紙で、どうなのかなーと思いましたが、YA向けながらに、
しっかり辻村さんらしさも含まれていて、爽やかに読み終えられる青春小説でした。中高生を
主人公に据えた三作が収められています。それぞれ単独に読んでもそれなりに楽しめましたが、
それぞれの作品が微妙にリンクしていて、三作目を読むと、三作が綺麗に繋がっていることが
わかって、また違った感動が得られました。こういう仕掛けはほんと巧いですよね、辻村さん。
一作目の『約束』が、三作目にして果たされたところが良かったな。一平君の両親が誰かわかった
時は嬉しかったなー。父親が製薬会社の研究者ってところで気付くべきだったのに^^;海野
先生のことも、最初わからなかったし^^;下の名前が出てくればさすがに気付いた筈なのにー。
でも、海野って誰かの苗字だったよなーと思ったんですよね。

三作の繋がりがわかる三作目も好きだけど、単独では表題作が一番好きかな。マチとやり取り
する手紙の主には早い段階で当たりがつけられちゃいましたけど。図書室の本を使っての
往復書簡なんて、なんか本好きとしてはワクワクしちゃいますね。誰にも気付いてもらえない
けど、誰かに気付いて欲しいって気持ち、わかるなぁ。私も、どちらかというと教室の中では
地味で、休憩の時は友達と騒ぐよりも机で本読んでるタイプに近かったからな。学校の図書室も
大好きだったし。その頃から図書室の先生は憧れ。マチはぴったりの職業に就けたんですねぇ。
羨ましい・・・。

実は、三作目読んだ時、主人公が惹かれた『図書室の君』って、最初、二作目に出て来た紙音
なのかなって思ったんですよ。紙音が人知れず図書室に行ってた時の話なのかな、と。でも、
なるほど、こういう時系列だったのかー、と思いました。亜麻里と一平が今後どうなるのかも
気になるな。それにしても、亜麻里にインタビューした時の三根には腹が立った。アンタ、何様!?
って言いたくなりました。でも、そのインタビューの様子を聴いた映画研究会の三人が、みんな
同じように腹を立てられる子たちなのが嬉しかったな。三根みたいな人間が将来ジャーナリストを
目指しても、せいぜい三流の芸能リポーターになるのが関の山でしょうね。人の心を平気で踏みにじる
ような人間は、ろくな大人にならないに違いない。でも、亜麻里は、きっと一平たちの映画に出演
したことで、いろんなことが吹っ切れて、また明るい場所に出て行くことが出来る筈です。いつか、
一平が監督する映画に、亜麻里が主演する、なんて未来が来るといいな。


YA向けに書かれているので、いつもよりも更に読みやすかったです(笑)。でも、内容は
しっかり辻村流。三編のリンクの仕方など、辻村さんらしい小技が効いていて良かったです。
読み終えて爽やかな気持ちになれる、素敵な青春小説でした。

そういえば、辻村さん、また新刊出したんですよねー。なかなか精力的に書かれていて素晴らしい。
今度の新刊も面白そう(短篇集らしい)。楽しみ^^

閉じる コメント(12)

閉じる トラックバック(1)

東野圭吾/「ナミヤ雑貨店の奇蹟」/角川書店刊

イメージ 1

東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」。

あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は……。物語が完結するとき、
人知を超えた真実が明らかになる。すべての人に捧げる、心ふるわす物語(紹介文抜粋)。


東野さんの最新作。悩み相談をしてくれる雑貨店を舞台にした、心温まるSFファンタジー。
東野さん、また随分と毛色の違うものを書いて来ましたね〜。実は、第一章を読んだ時点では
東野さんにしては地味な題材だなーと、少々斜に構えた読み方してたんですよね。あんまり
目新しさを感じないというかね。時空を超えた往復書簡ってのも、どっかで読んだことが
あるようなストーリーだよなーとか思ったし。泥棒三人組にもそんなに好感持てなかったし。
で、第一章のように、泥棒たちと過去にナミヤ雑貨店に悩み事を持ち込んだ人物とのやり取り
が他の章でも繰り返されて行くのかな、とか想像してたんですが。第二章は全く予想外の
方向から物語が展開していったので、いい意味で裏切られました。そして、第三章、第四章
と続いて行くごとに、この作品が、非常に緻密な計算の下で書かれていることがわかるように
なりました。いやもう、ほんと、東野さん、巧いなー!って感心しちゃいましたよ。一作
通して読んで、すごく心が温まりました。途中、やるせない結末の作品もあるんですけどね。
ナミヤ雑貨店と、丸光園との不思議な繋がりにもきちんと説明がありますし。一作ごとに
出て来た伏線が、最終話まで読むと綺麗に回収されるところはお見事!としか言い様が
なかったですね。最終話の落とし所も良かったですしね。泥棒三人組がこの後どうなるのかは、
とても気になりますけれど。晴美が、彼らの正体に気付くことはあり得ないでしょうしね
・・・気付けば、彼らが彼女にとってどれだけ大事な人たちがわかると思うのに。せっかく、
彼らの人生がニアミスしたのにね。晴美にとっては、三人は単なる悪党でしかないなんて。
なんだか、ちょっとやりきれない思いがしました。

泥棒三人組も、最初は敦也の性格が自己中であまり好感持てなかったけど、だんだん読んでいく
うちに憎めなくなって行って、最終的に彼らの身の上を知った上では、彼らのことを応援して
あげたくなりました。泥棒したのにも、彼らなりの必死な理由があったとわかりましたしね。
一生懸命、過去からの相談事に真剣に回答してあげてるところなんかも好感持てました。

ナミヤ雑貨店のナミヤさんの温かみのあるキャラクターも好きでした。ナミヤさんの過去の
ロマンスには驚きましたが・・・いやいや、それって普通、怒るところだと思うんだけど・・・
ナミヤさん、どこまで人がいいんだー!と身悶えしたくなりました^^;;ナミヤさんの
悩み相談のやり取り読んでて、以前一時期流行った『生協の白石さん』を思い出してしまい
ました(笑)。白石さんの回答もかなりとんちが効いてたみたいなんで(笑)。
真剣な悩みに対しても、おざなりな答えじゃなく、ちゃんと熟考した上でその人の為を
思って答えてあげるところが素敵だなぁ、と思いました。どんな相談をしても、真摯にその
悩みと向きあって答えてくれる人がいるっていいな。特に、子供の頃って、友達にも親にも
言えない悩みがあっても、自分じゃどうにも出来なかったりしましたからねぇ。そんな時、
ナミヤさんみたいな存在があったら、絶対縋りたくなっちゃうだろうなって思う。だから、
ナミヤ雑貨店には次から次へといろんな悩みが寄せられたんでしょうね。


始めは、割とありふれたタイプスリップものなのかな、とちょっとガッカリしながら読んで
たんですが、いやいや、やっぱり、東野圭吾は伊達じゃない。とっても良く出来た、心に沁みる
ハートフルストーリーでした。『Always 三丁目の夕日』の世界みたいな、どこか郷愁をそそる、
懐かしい世界観の作品でした。誰が読んでも、面白かった、いい作品読んだって思える作品
じゃないかな、これは。
これだけ人気作家になっても、これだけ緻密な計算が施された作品が書けるんだから、
やっぱり東野さんってすごいなぁって思う。
私はどこまでもついていくよ、東野さん。

閉じる コメント(14)

閉じる トラックバック(5)

湊かなえ/「サファイア」/角川春樹事務所刊

イメージ 1

湊かなえさんの「サファイア」。

市議会議員の選挙アルバイトを始めたことがきっかけで、議員の妻となった私は、幸せな日々を
送っていた。激務にもかかわらず夫は優しく、子宝にも恵まれ、誰もが羨む結婚生活だった。だが、
人生の落とし穴は突然やってきた。所属する党から県議会議員への立候補を余儀なくされた夫は、
僅差で落選し、失職。そこから何かが狂いはじめた。あれだけ優しかった夫が豹変し、暴力を
振るうようになってしまった。思いあまった私は……。絶望の淵にいた私の前に現れた一人の
女性――有名な弁護士だという。彼女は忘れるはずもない、私のかけがえのない同級生だった……
(「ムーンストーン」より)7つの宝石が織りなす物語。湊かなえ新境地がここに(紹介文抜粋)。


一言メッセージでは返却期限に間に合わないから諦めたと書いたのですが・・・やっぱり、
意地で読み切りました(笑)。貫井さんに時間かけすぎちゃって、湊さんを読む余裕がないなー
と思ったんですけどね。この人の作品は読みやすいから、案外行けそうかな?と読み始めたら、
案の定、読みやすい、読みやすい(笑)。ページ数も少ないから、結構さくさく読めちゃいました。
なんといっても、湊作品は予約数が多いだけに、これを逃すと次いつ読めるかわからないですからね〜
^^;;人気のある作品はなるべく早く読んで早く返すようにしてるんですが、今回ばかりは
返却期限当日の返却でゴメンナサイって感じです^^;

今回はまた今までとちょっと趣向を変えて、宝石をテーマにした7つの短篇が収められています。
宝石といっても、猫目石に見立てた猫の目、なんてのもありましたが^^;それぞれに違った
タイプの作品になってるので、マンネリな印象は全然なかったですね。湊さんらしい黒ーい
作品もありましたけど(笑)。

個人的に、一番あっと言わされたのは↑の紹介文にあらすじが載ってる『ムーンストーン』ですね。
あんまり書くとネタバレになっちゃうのでやめておきますが、完全に作者の奸計にはまって読んで
ました。他の作品があまりミステリ要素が強くないだけに、全く油断してましたね^^;最後の
反転はお見事、でした。

読んでて一番『黒っ!!』と思ったのは、さっきちょっと触れた『猫目石』。親切に愛猫を
助けてもらったくせに、なんて病んだ女なんだ、と呆れましたね。恩を仇で返すとはまさに
このことでしょうね。まぁ、猫を助けてあげた家族の方もそれぞれ問題ありましたが^^;
冒頭の『真珠』の林田と平田の会話も、のっけから湊節全開の黒さで『うわっ』と思いましたね
(苦笑)。実年齢33歳の人間に対して、サバ読んで40歳って^^;

あと、表題作の『サファイア』と、ラストの『ガーネット』が続きものになってるところも
良かったですね。『サファイア』のやりきれないラストには、胸が塞がる思いがしましたが、
『ガーネット』では、少し主人公に救いがあるラストになっているのが良かったです。
でも、『ガーネット』の冒頭部分は、湊さんが『告白』出した時の体験談かとちょっとドキッと
してしまいました(苦笑)。きっと、主人公と同じような感想がたくさんネットに寄せられた
んでしょうねぇ・・・。
『ガーネット』の後半の展開は、ちょっとご都合主義的過ぎないかなぁと思ったけれども、
まぁ、『サファイア』の主人公が抱える鬱屈を晴らしてあげるには、これ位の展開にしないと
無理だったんだろうな。物欲がなくておねだりが苦手、っていう主人公の性格は、ちょっと
自分と似てるところがあって共感出来ました。一人旅はしたことはないですけど、一人で出かける
のが楽って気持ちはよくわかりますしね。

『宝石』という綺麗なものがテーマでも、内容は湊さんらしい毒要素が多くて、結構ドロドロ
した作品が多かったかなー。でも、ラストの一作に救いがあったので、読後感は悪くなかった
です。湊さんの新境地、まで行くかは微妙な感じもするけれど、一つのテーマでこれだけ
毛色の変わった作品が書けるっていうのは、それなりに実力をつけている証拠なんじゃないのかな
(何気に上から目線?^^;)。
なかなかに楽しめた一冊でした。なんとか読みきれて良かった〜^^;;
明日が返却期限だから、朝イチで返してこなきゃ^^;

閉じる コメント(8)

閉じる トラックバック(1)

貫井徳郎/「新月譚」/文藝春秋刊

イメージ 1

貫井徳郎さんの「新月譚」。

絶筆して八年になるかつてのベストセラー作家・咲良怜花は、編集者の熱心な復活のアプローチに
半生を語り始めた。明かされたのは、怜花がまだOL「後藤和子」だった時に始まる、木之内徹との
長きに渡る恋愛の変遷だった。和子は作家としてデビューし、地位を固めてゆくが、背後には木之内
との恋愛から生じる屈託が常にあった。年月は過ぎ、咲良怜花は絶筆の契機となる「ある出来事」に
直面する──。恋愛の愉楽と地獄を描ききった、貫井徳郎のあらたな傑作!(紹介文抜粋)


貫井さんの新作。560ページの大作です。貫井さんの作品はページ数多くてもぐいぐい
読まされてしまうのであっという間に読了しちゃうのが定石だったんですが、今回はとにかく
読む時間が取れなくて、読んでも読んでも終わらない地獄にはまってしまいました・・・。
また、ページ数多い割に、ほとんどが主人公の内面描写なので、会話文が少なく、行間が
ぎっしり埋まってるのもやたらに時間がかかった要因かも^^;

で、内容はというと、一言で言えば、断筆した女流作家の自叙伝。それをほぼ500ページに
亘って書き尽くしただけの作品。貫井さんだから、少しはミステリー要素が入っているかと
思いましたが、それも全くなし。なぜ一人の作家が生まれて、消えて行ったか、その壮絶な
半生を描いています。
まぁ、面白かったといえば、面白かったんですけど、主人公に共感出来るところがほとんど
ないので、読んでいてあまり気持ちのいい作品ではなかったですね。顔にコンプレックスが
あって、好きな男性の為に綺麗になりたいって気持ちは理解出来ますけど、その当の好きな
男が私からしてみれば全然魅力的でないので、なんでこんな男にここまでのめり込んじゃう
のかなぁ、とちょっと納得いかない気持ちでした。いや、恋ってそういうものだってことも
わかるんですけどね。でも、すぐにほいほい二股かけるような男、それも一度や二度じゃなく、
病気のように自分以外の女と浮気する男なんて、どこがいいんだろう、と思っちゃうんですよねぇ、
読んでて。それで、自分の手が届かない所に行ってしまったことで創作活動始めて、向こうから
見限られた筈なのに、小説家として認められ始めたらまた連絡してきて、よりを戻そうとする
ような男、ほんと最低としか思えないんですが。それでも、主人公はどんな時でも頑なにその
男に執着し続ける。自分が小説家として大成し始めて、周りからちやほやされても、それでも
他の女と結婚した男にしがみついて生きる。まぁ、主人公和子の良いところは、整形して顔が
綺麗になって周りからちやほやされるようになっても、傲慢な性格にならず、自分の容姿や
能力を冷静な目で見ているところだと思いますが。でも、自分の感情のままに、自分に好意を
寄せる男に対して、一度は思わせぶりな態度を取って相手に期待させておきながら、結局最後は
愛する木乃内から離れられないことを再認識して、振り回しただけで振ってしまう身勝手な所は
ムカムカしました。

今までの貫井さんの作品とはちょっと一線を画すような作品でした。ただ、読み終えて、
『・・・だから?』って思っちゃったんですよね^^;確かに、貫井さんご自身が、作家
咲良怜花になり代わって書いたかのような、行間から怜花の情念がにじみ出してくるような
作品ではあったので、傑作には間違いないとは思うのですが。出来れば、一人の女の半生を
描いて、その先に何か見えてくるものが欲しかったな、と。エピローグのあっけなさも、
ちょっと拍子抜けしたところがありましたし。そんな結末?と、今まで500ページ以上も
長々と女の独白に付き合って来た挙句が、それなのか、と脱力してしまいました。せめて
ミステリー要素があったらなぁ、とも思うし。文春から出てるし、直木賞狙いなのかな、これも。
作中に出て来た怜花の文学賞総ナメのくだりは、ご自身の作家人生に対する皮肉か願望だったり
するのかなー、とちょっと穿った見方をしてしまいました。貫井さんだって、十分いろんな文学賞
獲られているのですけどね。直木賞候補にもなってますしねぇ(私は、『乱反射』で獲って
欲しかったけれど)。作中の怜花が、あるきっかけで作風が変わって作家として一皮剥けるくだりが
あるのですが、貫井さんも、本書で新境地を開いて一皮剥けたいと思ったのかな、とか思って
しまいました(余計なお世話ですかね^^;)。

ただ、不実な男を追いかける女の半生、として見ると、昭和時代の話なだけに、ちょっと
ステロタイプで展開がありきたりだったかなーと思わなくもなかったです。陳腐な恋愛模様
というかねぇ。私自身が、恋愛小説があんまり得意じゃないからそう思っちゃったのかもしれない
ですけどね。


まぁ、とにかく長かったです^^;;読了した時は、『ああ、やっと咲良怜花から解放されるー!』
って感じでしたね^^;直木賞候補になるかなぁ。私個人的には、これで受賞はちょっと既存の
貫井作品が否定されてる感じがして嫌な気もするけどね。もちろん、ファンとしては、そろそろ
受賞して欲しいという気持ちは大きいのですけれど。複雑なファン心理です(苦笑)。

閉じる コメント(6)

閉じる トラックバック(1)

全313ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.

人気度

ヘルプ

Yahoo Image

ブログバナー

  今日 全体
訪問者 35 334933
ブログリンク 0 178
コメント 0 28423
トラックバック 0 4458
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

読書系

医療系

美術系

つれづれ系

その他

標準グループ

開設日: 2006/5/4(木)


プライバシーポリシー -  利用規約 -  ガイドライン -  順守事項 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2012 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.