ドクターヘリパイロット(元)奮闘記

老いぼれドクターヘリパイロット(元)の繰り言

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 長野県は事故で失った防災ヘリの運航を民間委託する方向で複数の運航会社と協議に入ったと伝えています。

 自主運航で防災ヘリの運航を再開するのは不可能と判断したようですが、それは妥当な判断と言えるでしょう。

 民間運航会社とヘリコプターを販売する商社は好条件で契約を取れることはほぼ確実となりそうですが、熟練パイロットが少ない中、運航会社はうまく運航を行えるでしょうか。

 あるいはこの事故が自主運航を行なっている他県に影響を及ぼす可能性はあるでしょうか。

 自主運航を行っている県は、現に飛んでいるパイロットが本当に防災へりの運航を安全確実にこなす能力があるかどうか、実は本当のことを判断する力がないことは確実で、盲目でパイロットを選んでいることになります。

 ほぼ防災ヘリを飛ばす能力のあるパイロットでないと、当該パイロットを審査できませんので、独自で自県のパイロットの審査をすることが出来ないでしょう。

 県の防災へり運航責任者であっても事務職なら、あるいは横に乗る整備士がいかにベテランであっても、パイロットを正確に審査をして採用するかどうかなど決めることは出来ません。

 今までどのようにしてパイロットの採用を決めてきたのか良くわかりませんが、今後は何らかの方策を採るべきでしょう。

 運航会社は、防災ヘリやドクターヘリなどを含めて多くの仕事で、数多くのへりを飛ばしている会社ほどパイロットの能力の判定をするシステム要員を抱えていますので、比較的正確な審査を行っていることでしょう。

 ただし正しい審査が出来る会社が、必ずしも長野県へ一番優秀なパイロットを派遣してくれることを望むのは無理と考えたほうが良いでしょう。

 一番優秀なパイロットは防災ヘリに乗ることはありえませんし、他県の防災ヘリで飛んでいるパイロットをまさか長野県へ出すことは出来ないでしょう。

 大手の運航会社は多くの仕事を抱えているはずで、それぞれの仕事は難易度に一定の序列があり、防災ヘリは始まった時から2流パイロットが担当することになっていました。

 しかし営業展開上、運航会社は2流のパイロットを派遣しますなどとは口が裂けても言わないでしょう。

 長野県を担当できるパイロットがまさか社内で仕事が無くて遊んでいるはずはありませんから、当然、社内でパイロットの配置でシフトが起こりますので、そのシフトで社内の運航に影響が出ることは避けられないでしょう。

 一人のパイロットを他の仕事にシフトすると、どうしても能力不十分なパイロットが何らかの仕事を担当する羽目になる可能性が起こります。

 長野県は県で抱えているパイロットは、今のところ飛行経験が少ないので防災ヘリは無理だと考えているようですが、逆に言えば経験が増えれば使えると思っているようです。

 飛行経験が30代で200時間、40代で800時間のパイロットは死ぬまで飛んでも防災ヘリを飛ばせる可能性はないでしょう。

 ちなみに私は30歳で4000時間、40歳で9000時間でした。

 長野県が自主運航に失敗し、いきなり運航会社に泣き着いても、まともなパイロットはどこにもいないことを覚悟したほうが良いでしょう。

 さてどの運航会社が引き受けるのでしょうか。

 運航会社もパイロットが育つ環境が厳しい時代ですので、長野県が運間委託することが必ずしも良いとは言えませんが、さりとて自主運行なら再開のめどはなく、いっそ自衛隊か県警に任したほうが良いかもしれません。

 確か、兵庫県は一時県警に任していた時代がありました。

 

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         Y君 ローターの先端が前のライン テールの先っぽが後ろのライン ぴったり!!5センチも狂ってない!

 今日の記事は長い標題となりました。

 航空機は航空法によって安全性を維持するために低空飛行を制限されています。

 飛行する場所の状態によって、広い水面などぶつかるものがない場合ははどんなに低く飛んでもOK、障害物との距離を150メートル以上取れば良い、都会地などは600メートル以内の一番高い障害物から300メートル以上の高度、それ以外の地域は150メートルの対地高度となっています。

 今回の長野防災ヘリが墜落した場所は、都会地域でもない、広い海でもない場所ですので、対地150メートル以下で飛ぶと明らかな航空法違反となります。

 ただし航空機が離着陸する場合と人命救助のための飛行はこの規定によらず低空飛行はOKとなります。

 人を吊り上げたり降ろしたり、あるいは荷物を吊り上げたり降ろしたりする場合は特別に許可を取ることになりますし、遭難者の捜索訓練の場合なども同じように許可を取る必要があります。 実働の救助は許可が要らないことになっています。

 捜索訓練の場合は通常50ノット100キロ以下でやるので、墜落したとしてもほぼ誰も死ぬことはありえないでしょう。

 つまり今回のように高速で山の立木に引っかかったような飛び方はありえないと言うことは常識となります。

 では高速で着陸場へ向かっている時にエンジンが故障するなど何らかの重大なトラブルに見舞われた場合、このような墜落の仕方がありうるかどうかと言うことになります。

 法の規定では対地150メートルですから、その状態で片方のエンジンが止まっても通常の飛行にはまったく支障はありえませんし、他の何らかの故障が起きても、高速のまま山に突っ込むことはほぼありえないでしょう。

 また墜落までに、無線で何らかの連絡することが出来る時間的な余裕はあると思われます。

 つまり今回の事故は航空法に従って、普通の高度を取って飛んでいればまったく起こりえない事故で、何らかの意思を持って極端な低空飛行を行っていたとしか思えないような状態で墜落しています。

 その意思の背景にあるのが、遭難救助などの事例に際して、航空法上の低空飛行などの制限を免除する例外規定があるために、常に防災任務で飛ぶパイロットは山間部に入ると訓練と実働の区別なく低空飛行に対する免罪符を得たような錯覚に陥っている可能性があります。

 特に快晴無風の状態で慣れた空域での訓練の場合には気が緩んで、無意味な低空飛行を繰り返していなかったか、あるいはそのようなことを誰か、管理監督する組織管理職者が所属している組織にいたかどうかが大変気になるところです。

 少なくとも普通の飛行任務を持つ数十人以上の組織にあっては常に組織を構成するパイロットが、陥りやすい誤りについての指導監督がなされるものですが、機長一名、管理監督者素人、その他は兵隊ばかりではなんら監督することはなかったことでしょう。

 

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 大変残念ですが乗っておられた9名の方、全員死亡が確認されたようです。

 この事故に関する重要なニュースが出てきましたが、それはホイストを操作する隊員と思われる方が操縦席の後方に位置していて、今流行のゴープロのようなカメラをヘルメットに装備していて、離陸から墜落までの一部始終が記録されて残っているそうです。

 ゴープロかどうかわかりませんが同等のものならマッチ箱大で2時間も 内臓電池で4Kの絵が取れるそうですから大変有力な事故調査資料となります。

 まず映像記録でほぼ飛行経路が特定できますので、最初に立木を叩いた位置を痕跡で特定し、ローターか機体かテールローターのどの部分が当たったかを調べます。

 テールブームが胴体の下にあることから、昨日書いたようにテールローターがまず木を叩いてぶっ飛んだと想像していますので、それがどこに落ちているかを調べます。

 ゴープロは音声も記録しますので、ヘルメットに着けていれば機内通話の内容も読み取れるかもしれませんし、機体の一部が最初に立ち木などを叩いた音も分析できるかもしれません。

 また何かを叩いて墜落したことがわかれば当然低空で飛行しているわけですから、残った映像や音声から任務で低空飛行をしていたか、服務規程違反の疑いがあるかもわかるでしょう。

 ベルのヘリの機体構造は必要以上に強く出来ていて、50ノット60ノット程度で激突してもほぼ人が死ぬようなことは大変少ないようです。

 今回の事故の壊れ具合からは100ノット以上の速度で、姿勢制御ができないまま墜落していますので、超低空高速で何かにぶつかるか、いきなり操縦不能になるような故障が起きないと今回のような結果にはならないでしょう。

 今回の記録映像の発見ですでに県側は録画を再生して、事故に至る一部始終、事情を知っているようで余計なコメントはしなかったのでしょう。。

 なぜそんなに低空で飛んでいたのかわからない、程度の証言はあっても良かったように思いますが、防災ヘリ、ドクターヘリが日常的に法定以下の低空飛行を認められているため、パイロットは低空飛行にあまりにも慣れっこになって、危機感が薄れているというような恐れはありそうです。

 いずれにしても、離陸から墜落にいたるすべての時間を取った動画があればほぼ事故原因の解明は確実で、今後の運航に生かすことが出来そうです。

 それ以前に防災ヘリやドクターヘリ、県警ヘリなど公的なヘリのパイロットは国家的に養成、育成することが結局は安全運航への近道となるでしょう。

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 昨日午後から出かけていて、携帯でネットを見ていると私のブログに長野県防災ヘリの墜落情報を入れていただいた方がありました。

 最近記事で埼玉県防災ヘリの有料化について記事を取り上げていましたので、大変驚きました。

 お亡くなりになった方の冥福を祈るとともに、残された方が一刻も早く救出されるように祈っています。

 起こった航空事故と言うものはどれを取っても、大きな背景要因と、事故に繋がる直接的な原因があり、先日までは安全運航を阻害する背景についての記事としていましたが、いったん事故が起こると元パイロットとしては、原因に正確に迫り、事故再発をなんとしても防ぐ情報を発信したいと思います。

 ただし事故直後は流れてくる情報も断片的で、また少ない中、しかも事故調査委員会ほど詳しい情報を得ることは出来ませんが、様々な運航経験から、結構事故原因に迫ることが出来ます。

 今回の事故現場をニュース映像で見ると墜落場所の手前から木がなぎ倒されているような様子はなく、ほとんどローターが木々を切った様子もありません。

 つまりローターと繋がった機体の姿勢が一定の安定を保つことなく、もんどりうって落ちたと言う感じです。

 もうひとつの大きな特徴はテールブームが機体の下敷きになっていると言うことです。

 どうすればこのような落ち方になるかと言えば、超低空飛行の水平巡航か上昇に近い飛行姿勢から、前方の立木などの障害物を回避すべく、急激に頭を上げる操作をした場合、普通ならテールローターの位置を保って頭を上げるようにするのですが、あまりに障害物が近くてあわてて上げるときにテールが下がってしまいます。

 テールローターが太い立木を叩いたら、衝撃でテールローターが飛んでしまうと同時にテールブームが胴体付け根で折れて、観音開きの戸が開くように折れて前に出てきます。

 この状態になると一瞬にして後方の部分がなくなるのと同じですので、極端に頭が重い状態となって、頭からまっさかさまに落ちることになり、下手をするとバウンドして裏返しになることでしょう。

 さてこのような状態は本当に起きたのでしょうか。

 パイロットの精神的な状態からこのようなことが起きる可能性があるかどうかです。

 大変穏やかな天候で飛行に何の障害もない、快晴無風で、しかも訓練任務で過去に何百回も行き来した訓練場所へ行って、隊員のホイスト降下、要救助者の収容の訓練をさせる内容ですからパイロットに何の不安もないフライトであったことでしょう。

 私にも何回も経験がありますが、まったく必要のない一面雪山の超低空飛行をして、自分が楽しんだり、同乗者にサービスしたものでした。

 これは完全な気の緩みというものですが、ありえないことではないでしょう。

 このようなフライトをすること事態、服務規程違反を問われても仕方がない内容ですが、そこに当日の気象状況や太陽の位置、雪の反射によるハーレーションなどが影響する方向への上昇飛行ならまともに目が眩んだも知れません。

 このような状況は、もし生存者がいたら証言を得られますが、普通はヘリに装備装備されていない、フライトレコーダーやボイスレコーダーがあれば一目瞭然にわかることでしょう。

 機体の故障で一瞬にして同じことがおきる可能性はゼロではありませんが、それは残骸を精査すれば必ずわかります。

 フライトレコーダーやボイスレコーダーは下手をすれば数百万も掛かる高いものなのですが、今の時代 3000円の中華ドライブレコーダーをつけていればすべてわかるのですが、航空局は推奨するどころか、航空法違反と言い張る事でしょう。

 それにしても 航空評論家 小林何とかさん 自分が専門外で何もわからないなら、誰かに聞くか、出演を断るかしないと信用をなくします。何回も同じような出演を見たような気がします。

 パイロットでない親子2代の航空評論家、アオキ何とかさんのほうがまともな解説をしていました。

 余談ですが、、、、

 このブログでは長野県防災へりについての記事が多数ありますので良かったら検索してみてください。

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 長野県の防災ヘリの新人パイロット2名の採用が決まり、現在パイロット1名体制で通年運航できなかったものが、交代制で土日祝日を含む365日の運航に光が見えたという報道が流れています。
 
 この件は読者の方が書き込みをしていただいて、すでに話題となっていますが、一通り整理して記事として取り上げて、問題点などを検討してみます。
 
 長野県の防災ヘリは他の普通の県で行われている、運航委託の形式ではなく、県警ヘリ 消防ヘリ、そして防災ヘリの中では岐阜県などと同じで数少ない、県職員による自主運航の形を取っていることが問題の出発点となっています。
 
 運航委託していれば、腕のいいパイロットを連れて来いとの一言で問題点は解決しますが、職員として採用して、条件の厳しい山岳地帯を飛ばすための、技術の高いパイロットを採用することは至難の技で、しかも採用したパイロットの技術が高いのか低いのかすら、素人には正確には判断できませんし、低いから飛べないかというとそういうこともありません。
 
 なぜなら天候条件が悪いと危険ですから今日は飛びませんと言えるからで、それに対して今日は飛べるよなどといえる人は部内には誰もいないでしょう。
 
 いつも同じ山岳地帯を飛んでいるT航空やN、A航空にパイロット連中なら言えるでしょうが、他人の台所にけちをつけても始らないから言わないでしょう。
 
 運航を受託するなら、それなりのパイロットを派遣しないことには事故でも起こしたり、十分な運航をしないと会社の信用にかかわるのでそれなりの人間は派遣することでしょうけれども、その見返りの運航契約料金が見合わなければ、そのようなパイロットは自社の重要な運航に振り向けることでしょう。
 
 3000メートル級の山岳救助がそれほど最高級の技量が必要であるとはいえない面もあるのは、通常の救助フライトをするにはフライトマニュアルの通常の制限事項を十分守る設定を守る限りという限定が着きます。
 
 ただ 天候の急変、強風、乱気流などがあることは確かで、マニュアル制限遵守と天候判断さえ運航管理面で管理が出来ればパイロット個人の技量が名人級でないとできないということはありえません。
 
 そういう面で県危機管理局防災ヘリ運航担当はそのような運航管理が出来るかというと、まず不可能ということになります。
 
 ヘリを100機 パイロット150人を抱える組織ならパイロットも運航管理者もペーペーから名人級まで在籍し、死亡事故犠牲を多数含めた過去の運航実績が今日の悪天候の運航可否の判断、安全運航に何が必要かなど、結構正常の判断が出来ることでしょう。
 
 長野防災を管理する組織は十分な技量を持ったパイロットがいないので、通年運航が出来ないと言い、適格者がいないのでとりあえず候補者を採用して、今後の訓練育成に運命をかけると判断したようですが、残念ながら技量が十分なパイロットは運航管理面や育成実績の十分な組織であっても育てることが出来るかどうかも怪しいほど難しいものです。
 
 岐阜防災の事故パイロットは救助する高度で機体性能がホバリングできる重量かどうかすらを知らなかったようで、どうも重量は超過していたようですが、これはパイロットが下手とか、上手とか言うより100キロも手前の原則すら知らなかった、知ろうとしなかった、組織が知らしめようともしなかった、そのようなことすらあったとも意識していなかったようです。
 
 このような組織が、このような運航クルーが防災ヘリを飛ばしていたなどということは天地がひっくり返るほどの驚きなのですが、少人数の所帯ならそういうことも起こりえるという実例となりました。
 
 長野防災がこの例と同じではないということなら過去に多くのパイロットが退職を繰り返すことなく十分育ったことでしょうけれども、今回は何が違うのでしょうか。
 
 今回採用された方には何の恨みもありませんが、過去に止めていったパイロットたちと何が違うのか、結果がすべてですから是非証明していただきたいものです。
 
 しかし 5年 10年はかかると思いますので、それまで片肺飛行というわけにも行かず本当にに困ったものです。
 
 

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