メディア・レボリューション

マスコミ各紙各局のOBや、現役の解説者などからなるニュースブログです。TVや新聞には出てこない「新しい」情報を発信します。

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イメージ 1「創造性の育成塾」の第2回夏季合宿が4日、山梨県富士吉田市の「(財)人材開発センター、富士研修所」で開講した。今年のテーマは「化学」が中心。全国から選ばれた理科好きの中学生40人に対し、ノーベル化学賞受賞者の白川英樹さん、同賞授賞の李遠哲さん(台湾)をはじめ、わが国屈指の科学者、研究者、教師が、11日までの9日間、講義、実験、講話を続ける。
 昨年の第1回合宿(物理)は各方面から高い評価を受け、今年は企業の研究所のノーベル賞候補の研究者の講義や実験が新たに加わったほか、授業の模様が初めてライブ配信される。富士山登山なども盛り込んだ計約3000分のカンヅメ授業で、塾生たちが将来の科学者への夢をつかんでくれることが期待される。毎日の授業の模様を報告する。

『1時限目』−「ロボットプログラムコンテスト」=高畠勇二・練馬区立八坂中学校校長
イメージ 2 6日(前々日)にロボットのプログラム作りを学んだ塾生が、その成果を披露する“ロボットプログラムコンテスト”。2人一組で組んだ塾生は、この時間のために自由時間も充ててプログラムの改良に取り組んできた。プログラムが途中で消えたり、ちょっとした変更で動かなくなったりと、悪戦苦闘。
 コンテストの課題は、紙に描かれたS字型黒い線の上をたどり、ゴールブロックの“城壁”の前で止まること。装飾や、プラスαの動きは自由。それぞれの趣向を凝らしたロボットが次々と“出場”。ロボットには、音、色、赤外線などのセンサーがついていて、黒い線(テープ)の上を進ませる。
 スタート地点でロボットのスイッチを入れ、黒い線の上を進む。自分の思う通りに動かなかったり、脱線、Uターンなど、ハプニング続き。ロボットは“十体十色”の動きをし、全てが何とかゴールに到着。ゴールすると、積んでいたボールを飛ばしたり、腕部分をくるくると回して、ゴールを喜ぶジェスチャーをする余裕の組もあった。
イメージ 3 他の塾生には「頑張って!」との声援、ゴールすると拍手が沸いた。
 最後の講評で高畠先生は、「ロボット一つ一つの動きが違ったように、プログラムにもその人の性格が出る。あれだけ夢中になり、短い時間のプログラミングで、全員ゴールしたのはすごい。最初はみんな自分の視点でプログラムを考えていた。でも、人間とロボットは見えるものも感じるものも違います。段々と、ロボットの視点からプログラムを組むことで、発想が大きく変わった。私も楽しかった」と、発想の転換の重要さを強調した。

『2時限目』−「国際宇宙ステーションを探そう」=中村日出夫・東京品川区立荏原第二中学校長
 中村校長は、国際宇宙ステーション(ISS=International・Space・Station)は「人が生活できる宇宙の研究所」であること。現在、40数回に分けて各パーツを打ち上げ、組み立て中で、2010年完成予定。90分で地球を一周している、と概説した。
 さらに、肝心な観測では「日本では朝、夕の2回、見られる。木星と同じ2等級の明るさで、仰角30度以上だと、ステーションのパラボナアンテナまで良く見えます」、と自らの観測で得た経験から説明、塾生たちに「観測しよう」と薦めていた。
 さらに、詳しくはJAXA(宇宙航空研究開発機構)のHPで、仰角などの軌道情報、見え始め、終わり時間などが分かるので利用するように、とアドバイスをした。

『3時限目』―「地球環境との共存」=中村邦夫・松下電器産業会長
イメージ 4 まず、講話は松下グループの紹介から始まった。1918年(大正7年)、「松下電気器具製作所」として、創業者、松下幸之助さん(当時23歳)、妻、むめのさん、むめのさんの弟、井植歳男さん(三洋電機の創業者)の3人で起こした会社。昨年度の売上高は9兆1,082億円、従業員約32万9千人、海外事業は46ヶ国、371社に展開しているという。

 この日の講話は「地球環境」に絞られた。
 「いま、世の中で起きている変化」のテーマでは_甲伐修留洞舛箸靴読慌呂慮詐を揚げ、グリーンランドでは年間248k㎥(東京ドーム20万個分)が失われている温暖化の原因、温室効果ガス、中でもCO2(二酸化炭素)の排出が20世紀に急増。その主因の石油は文明を飛躍的に発展させ、「石油の世紀」と呼ばれたGΔ售鵑訖緝埖の危機。水資源が増えない中、人口増。20年後には世界人口の3分の2が水不足になると言われる。さらに、森林破壊、砂漠化、動植物の絶滅など地球を取り巻く危機が迫っていることを訴えた。
 続いて、その環境対応への世界の動きとして、京都議定書(1997年、02年までにCO2を5.2%削減)、ハイリゲンダム・サミットでの合意(今年6月、2050年までにCO2排出量の半減目標)に触れた。
 次の「環境に貢献するテクノロジー」のテーマでは「日本、特に製造業の果たす役割は非常に大きい」との認識を中村会長は示した。
1973年の第一次オイルショック後、日本は様々な資源節約の努力の結果、世界をリードする環境技術を生んだ、と説明した。
 その例として、低燃費のハイブリッドカーをはじめ、省エネのエアコン、冷蔵庫、電球形蛍光灯の開発、さらに、太陽光発電、燃料電池などの創エネルギー技術への取組みを挙げた。
 最後に、中村会長は塾生たちに「天然資源が極度に乏しい日本は“ものづくり立国”“科学技術創造立国”でしか存続できない宿命にある。それを支えるのは、やはり理数系(理科好き)の、皆さんのような人材です。頑張って下さい」と励ましていた。

『4・5時限目』−「セレンディピティーを知っていますか?」=白川英樹・筑波大学名誉教授 ノーベル化学賞受賞者
イメージ 5 最初に白川先生が「自分は理系だと思いますか?文系だと思いますか?」とたずねると、理系に手を挙げたのが大半。白川先生は、「化学が好きだから、それだけ勉強すれば良いというわけではありません。それはセレンディピティーと密接な関わりがあります」と、説明を始めた。
 2000年10月10日、「電気を通すプラスチック」の発見は、「有機物は電気を通さない絶縁体という常識を覆す画期的で独創的な発見である」として、ノーベル化学賞を受賞した。受賞メダルの写真を見せ、裏面に描かれている科学の女神が自然の女神のベールをあげようとしている様子を、「自然をよりよく知ろうとする知的好奇心、自然と共存するための知識を得る、という二つの意味があります。これが、科学するということです」と表現。前者は“科学”、後者は“技術”であるとし、「科学とは新しい発見、発明であり、知的好奇心を満足させ、心を豊かにするもの。技術とは、その発見発明を利用することで、健康を守り、生活を豊かにして、より良い社会環境を作るもの」と、科学と技術は別のものであると説明した。
 同年の12月8日に開催されたノーベル賞受賞記念講演会で、選考委員長のノルディエン教授から、共に受賞した2人とのことを、「セレンディップの3人の王子」(ペルシャのお伽話)と、セレンディピティーの語源になった話になぞらえて紹介され、感銘を受けた、という。
 セレンディピティーとは、_燭別のことを目的としていた途中、偶然の出来事が起こり、A鑢世機直感、洞察力により、思いがけない発明、発見に至る、ということ。ただの偶然だけではないとし、「旺盛な好奇心と、認知力が必要です」と語った。
 このことを表す自身の話として、将来は、生物学、電子工学、化学をやりたいと思っていたと、その範囲の広さを示した。
 そして、さまざまなことに興味を持ち進んできた中学3年生の卒業文集には、「大学に進んで、化学・物理を学び、新しいプラスチックを作りたい」と、具体的な夢を描いている。
 白川先生にとってのセレンディピティーは、ポリアセチレン薄膜を偶然(失敗)によって合成したこと。アセチレンの重合機構の研究中、通常より1000倍濃い触媒を使ってしまった。本来ならば粉末にしかならないはずのポリアセチレンが、薄膜状になった。これがきっかけとなり、白川先生はアメリカに渡り、ノーベル賞を受賞することになる研究を始める。
 白川先生は、予想外の結果を「誤り」や「失敗」として捨て去らず、,茲観察する△茲記録するよく調べ、考える、ということが何よりも大切であるとした。
 さらに、白川先生は、「ノーベル賞は目指すものではないと思います。あくまでも結果の評価」との考えを示した。
 質疑の時間には、「研究の中で苦労したことは何ですか?」という質問に、「あまり覚えがありません。自分の好きなことをやっていたので、苦労と思ったことはあまりないです」と答え、「高分子の勉強をするときに心がけていたこと」を聞かれると、「やはり観察、記録、考える。特に記録に関しては、何百回やったとしても、その中のたった1回に違いがあるかもしれないので、なるべく現場にいて、記録ノートをつけました」と、自らの手で進めることの重要さを強調した。

『6・7時限目』−「おいしく食べて、健康づくりの研究」=鳥居邦夫・味の素ライフサイエンス研究所上席理事 河合美佐子・同主席研究員
イメージ 6 鳥居さんは冒頭、自らが医学、脳学、獣医学の博士号を持っていることを紹介し、「いろんなことに興味を持つこと」を訴えた。
 まず、人が“おいしい”と感じる仕組みを説明。帝国ホテルのローストビーフの写真を見せ、「これを『おいしそう』と思うのは、食べたことがある人。脳が学習しているから」と、味を感じるには五感、そして脳の働きも関係していると説明した。「人間は、今まで生活してきた経験から、何をどれだけ食べるのかという計算を脳で行なっています。日々、情報の更新も行なわれているのです」と、“味”は奥が深いということを示した。
 “うまみ”であるグルタミン酸を発見したのは日本人。研究の裏には、ラットの研究や、化学反応など、たくさんの苦労があることも紹介し、「好奇心は、自分の知りたいことだけではなく、いろんなことに向けてください」と、多面的、全体的に物事を見ることが重要であると強調した。

イメージ 7 この後“味”の実験。数百pm(ピコメーター:1 nmの千分の一)であるという味物質を実際に味わってみる実験を行なった。用意されたのは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味が染み込んでいる“味紙”。この味紙をなめる。どの味かはわからないままなめたが、ほとんどの塾生の味覚は正解だった。
 その後、粉状のグルタミン酸やアミノ酸、クエン酸など、様々な“味”を、分子レベルでの変化の説明を受け、納得したようだった。
 最後に、実験を担当した河合さんは、「料理とは、理(ことわり)を料(はか)るということ。味の違いには、それぞれ科学的な仕組みがあるんです」と、“味の科学”の奥の深さを語った。

『8時限』−「星座の観察」=瀬戸治夫・江戸川区立小岩第二中学校 教諭
 この日の夜は、星座観察。外はうす曇りだったが、暗くなるにつれ星が光り始めた。最初に明るく見えたのは木星。望遠鏡で覗くと、いくつもの衛星も一緒に見えた。大きな望遠鏡を覗く貴重な機会に、塾生は星座早見板を片手にいくつかの星座を発見。声を上げていた。
星のほかにも富士山の山小屋の光を見たり。夏の夜の自然を堪能していた。
イメージ 8

(事務局スタッフ=伊奈 恵子)

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