癌治療医のつれづれ日記

癌診療の傍ら、思ったことをつづります。

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病院は入院だけ


技師さん(=診療放射線技師)ひきつれて学会に行っていたのであった。勉強もしてもらわんと。いろいろ資格もとってもらわんと。転勤したときには「なんじゃこりゃ?」の連続で、少しづつバトルやら交渉やらで、亀の歩みのごときの改善を見ているが、まだまだなのね。まま、ローマは一日にして成らず。でも、あれぇ〜?って感じの所属の変わり方をしている先生もいて、なんだかまだ混沌としているみたいな感じ。専攻医が入りだしてきている病院は少しばかりの平穏さを取り戻しているところもあるみたいだが、地すべりとまりませんわ・・・って病院もあまたあるようで。

さてと、これ、大分前から言っておられたからもう周知の事実かと思っていたけど、冷静に思い出すと主に省内での会議録で出ていたような気もするな。つまり、具体化に向けて軽くジャブ出してきたような感じかな?

「大病院、一般外来なし」 役割分担促す 厚労省方針
朝日新聞 平成19年4月14日

http://www.asahi.com/politics/update/0414/TKY200704130408.html

「大病院、一般外来なし」 役割分担促す 厚労省方針
朝日新聞 平成19年4月14日

 厚生労働省は13日、今後の医療政策の方向性として、大病院や専門病院は一般的な診察はせずに入院と専門的な外来に特化する一方、開業医に対しては休日・夜間の診療や患者の自宅を訪れる訪問診療を求める報告書をまとめた。病院と開業医の役割分担を明示することで、勤務医の過度な負担を軽減するとともに、在宅医療への移行をはかるのが狙いだ。今後、診療報酬の見直しなどを通じて実現を目指す。

 柳沢厚労相を本部長とする「医療構造改革推進本部」が報告書を作成。都道府県の担当者を集めた17日の会議で提示する。

 報告書では、日本の医療の問題点として、大病院、中小の病院、開業医の役割分担が明確ではない結果、「拠点となる大病院などに外来患者が集中し、勤務医に過度の負担がかかっている」と指摘。大病院は「質の高い入院治療が24時間提供されるよう、原則として入院治療と専門的な外来のみを基本とする」と明記した。

 また、中小の病院は軽い病気の入院治療や脳卒中などの回復期のリハビリテーションなどを担当することが妥当とした。

 一方、「夜間や休日などの治療に不安がある」とする患者のニーズに対応するため、開業医の果たすべき役割として(1)休日夜間急患センターに交代で参加する(2)時間外でも携帯電話で連絡がとれる(3)午前中は外来、午後は往診・訪問診療という経営モデルをつくる、などを挙げた。

 開業医はこれまで以上に広範な対応や知識が求められるため、開業医のチーム化や研修を充実させ、「看(み)取りも含め24時間体制での連絡や相談機能を果たすことのできる体制を検討する必要がある」としている。

 長期療養が必要なお年寄りについては、患者を継続的に診る「在宅主治医」の重要性に言及。患者自らが主治医を選び、医師間や病院との調整を担ってもらうことで、ケアの質を上げる。

 こうした方向性に基づいて、厚労省は地域の医療計画を策定するよう、各都道府県に要請。開業医の訪問・夜間診察の診療報酬の引き上げや、総合的な医師の養成などに取り組む考えだ。

>柳沢厚労相を本部長とする「医療構造改革推進本部」が報告書を作成

う〜ん、柳沢キカイダー大臣が本部長ではまことにもって頼りないが、失敗したときのトカゲの尻尾のお役目であろうか?

しかし、これ微妙にいろいろ問題ある。そもそも、やることがなんでも急すぎるのよ、最近の厚生労働省は。本当は制度の改革なんて10年くらいかけてやらないと混乱する一方。一気にやるから、猛反発くらって、またゆり戻ししてって、だんだんみんな不感症になりだすよね。

大病院と中小病院の境目がよくわからない。1000床は大病院だよね。200床は中病院だよね。500はどっち?定義をあいまいにしていると、なし崩し的に抜け道を考えたりするものだし。で、大病院の専門外来って何よ?見ようによっては全部専門外来じゃないの?循環器内科、呼吸器内科、代謝内科・・・って専門外来に見ようと思えば見える。そらぁ、勤務医にとったら外来がないというのは確かに負担軽減になる部分があるが、病院経営陣がなんと考えるのだろうね。解釈次第では今と何にも変わらないのではないだろうか?また、専門的なジャンルであればあるほど他に回しづらい部分もある。逆に開業医さんに回ってもらった方がいい患者さんに限って、なぜか病院を好むというところがあるし。要するに患者サイドの意識が大きく変わらないことには、診療報酬の餌でどうこうしようとしてもどうにもならない。

そもそも、開業医が夜間診療や在宅診療をやらざるを得ないようにするためには、昼間の受診の診療報酬を下げて夜間・在宅の点数を増やす。こうすれば、患者さんは開業医さんがやる夜間診療所に集まるであろうと考えているのかもしれないが、実に甘い!患者さんから見たら、まったく逆の誘導をしていることになる。つまり、開業医夜間診療所はとってもお高い。在宅医療もとってもお高い。なら、夜はお安い病院よね・・・ってなるって、ちょっと考えたらわかりそうなものなのにね。

下手にコスト意識もってもらうって名目で患者自己負担を3割負担とかするから、意図のとおりに動くベクトルと、反対に動くベクトルを作ってしまっているのだよね。

それをやるならね、夜に病院いくなら5割負担、夜間診療所は0-1割負担とかにしないとだめね。大病院の紹介状なしの外来は4割負担とかね。入院して最初の2週は1割負担だけど、それ超えると2割負担になり、1月越えると3割り負担になるとか、っていうのが、コスト意識につながると思うんだが。ただ、国民としてはあんまりありがたくないことかも知れないけど、本来そこで見てあげなければいけない人がずーっと待たされるのは気の毒ではないか?

まぁ、思ったほど療養病床が減らなかったのと一緒で、多分この政策もうまくいかないような気がする。

いかに、名医であったとしても、設備が不十分で、いざというとき入院もできないし、連絡のつかない時間帯がある開業医を、患者さんは自覚的に軽症だと思っているときに行く。いや、そういうときにしか行かない。相対的に待たされないし。が、これはひょっとしてひょっとして悪い病気?なんて疑念を持っちゃったら、開業医をすっとばして病院に行く。開業医から病院へ紹介があるのは、本人に大きな病気という認識がなく、開業医が、これはまずいよねって思うって状況で初めて起こることで、患者は病院と開業医を完全に使い分けている。中には、自分の判断力に自信がないって人もいて、で、時間もたっぷりある引退世代なんか特に、はなから病院って決めている人もいる。

さて、病院から外来がなくなったらどうなるか。しかも専門外来は残すって言うんだから、結局従来どおり、その「専門外来」と名前のついた、スペシャル感漂う病院へ、今までと同じ感覚で行くのってたぶんみえてるよね。

で、勤務医疲れて開業した人間にとっては24時間オンコールは、いくら診療報酬で釣られてもやらない。なんか別の抜け道考えるだろう。まぁ、火曜水曜木曜は休んで土日のお昼はやるとかね。夜間加算はそっぽだが、休日加算だけちゃっかり頂戴するとか、なんとでも抜け道を考えるだろう。

あるいは、軽症でも救急車を呼ぶ人が凄く増えるかも知れない。ちょっとオーバーアクション気味で。確実に病院受診できる切符として。厚生労働省は、病人心理を想像するのがかなり下手であるらしい。疲弊した医師の心理も読めないみたいだけど・・・。

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