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先月(2月28日)、ベルギーの二ベールという町で、母親が夫の留守中に5人の子供を次々と殺害するというショッキングな事件があった。
母親は14歳から3歳までの5人の子供を1人ずつ(子供たちはテレビを見ていた)を別室に呼び出し、殺害したという。彼女は精神の病気を患っており、事件後に自殺を図ったが失敗した。玄関前には「警察を呼んで!」と自ら張り紙をしていた。自分で自分を止められなかったのだろうか。事件当時、モロッコに1ヶ月間、行っていた夫は事件を聞いて茫然自失したそうだ。
ここまでは、まあ普通に報道で知っていた。だが、最近になって事件の詳細が報じられるようになり、私はうーん、とうなってしまった。
母親はもともとは小学校の先生になるべく教育を受けていたが、モロッコ出身の夫と結婚し、イスラム教に改宗。イスラムでは女性は家に入るという考え方の人も多く、彼女の夫もそうであったため、主婦となった。それと同時に、彼女は周囲や親兄弟と疎遠になり、夫も出張で留守がちのため、1日のほとんどを子供とだけ過ごしていたという。
前にも書いたが、ブリュッセルで昨年生まれた男の子の名前で一番多かったのが「モハメッド」。そのぐらいイスラム圏の人が多い。
それだけに、ベルギーの地元の女性でイスラム教の男性と結婚するパターンも増えている。そして、そういう人たちが、いろいろな問題を抱えるケースが目立つという。
2005年にイラクで自爆テロをした初めての西洋人女性はベルギー人だった。
シャルルロアというブリュッセルから1時間ほどの都市の出身で、工場に勤めるお父さんと病院の事務職のお母さんはカトリック教徒。高校卒業後、パン屋に勤めていたごく普通のベルギーのお嬢さん。イラクの自爆テロとは結びつきそうにもない。
きっかけは、結婚だった。
最愛の兄を交通事故でなくし、精神的に厳しい状態だった彼女は、モロッコ系ベルギー人男性と結婚し、安らぎを求める。
だが、この男性はの過激派イスラム教徒で、ベルギー警察にマークされていた人物。「モスリムでない人間と話をするなんて耐えられない」と話し、女性の母親と話すのをいやがるような、排他的なイスラム教徒だった。
やがて2人はブリュッセルの移民街で暮らし始め、失業保険で食いつないだ。彼女は頭から全身をすっぽりベールで覆うようになり、実家でも「女性は男性と別に食事すべきだ」などと母親に話すようになった。
西洋人女性の自爆テロのニュースを聞き、彼女の母親は「娘かもしれない」と直感したという。
(くわしくはこのサイトで:http://opendoors.asahi.com/syukan/briefing/767.shtml)
私もイギリスの大学に留学していたころ、同じような話を聞いたことがある。
開発学を学んでいた西洋人女性(アメリカ人だったと思う)が、夏休みを過ぎて新学期に大学に戻ると、ベールをかぶって、イスラム教徒となっていた。イスラム教徒の男性とつきあっているという。
最初はそれでも周囲の友人と話をしていた。だが、それもじょじょに少なくなり、やがてイスラム教徒としか一緒につるまなくなり、やがて学校に来なくなった。結婚したという噂だったが、よく分からない。
好きになった人と添い遂げたい、彼とうまくやっていきたい、というのは女性なら当たり前の感情だ。
だが、まったく違う文化・宗教などの環境にはいったとき、金髪や白い肌の彼女たちは、思いっきり目だったことだろう。
彼女たちは自分たちを「より彼の社会の一員らしく」見せる必要があった。
上のサイトで
「王より王党的、という表現があるが、往々にして改宗者や転向者はより原理主義的、より過激になる傾向があることはよく知られている。仲間に同じ仲間であると認められたいという気持ちが人一倍強いからである」
と言っている。
彼の仲間に自分も仲間と認められたい、彼に恥をかかせたくない、という感情は健気で可愛らしい。。でもこの感情が、ニベールの母親を孤独にし、シャルルロアの娘さんを自爆テロに走らせたとしたら、本当に悲しい。
宗教やプライバシーは尊重すべきだけれど、こうした孤独や追い詰められた人たちを救う何らかの方法はないものだろうか。
PS:
念のため断っておくが、イスラム教徒といっても、いろいろで、自爆テロまでいくのは過激派、本当にごく一部だ。私の友人にもイスラム教徒は何人かいるが、彼女や彼らは、ごく普通の感覚の人たちだ。豚肉を食べないのと、時間ごとにお祈りをするぐらいの違いで、後は私たちと同じような生活をしている。
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