ジャーナリスト堤未果のブログ

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   「オリンピックというショックドクトリン〜着々と進められる監視と情報統制〜」
                            
                            ジャーナリスト  堤 未果
 
56年ぶりの、東京オリンピック開催が決定した。
祝賀ムードに加え、経済波及効果は3兆円に上るとの試算が打ち出されている。これについて大手マスコミの観測は楽観的だ。
4500億円の税金が投じられる東京オリンピックは、開催地の大規模公共事業を始め、国内外の企業群に大きなビジネスチャンスをもたらすからだ。
 
 その一つに、二〇〇一年九月の米国同時多発テロ事件以降、オリンピック時における費用が跳ね上がった警備関連業界にとっては、大きなチャンスとなるだろう。あれ以来「テロ対策」の名目で、公共輸送ルートを始め、空港、電車、検問所、地下鉄などの監視カメラや生体認証カードなど、開催地の警備は年々エスカレートしているのだ。
 
二〇〇〇年のシドニー五輪で約三〇〇億円だった警備費用は、〇四年のアテネで1320億円にはねあがっている。地対空ミサイルが上空を狙い、軍艦が不審船を警戒し、街中では監視カメラや警官、密かに武装した民間警備会社員数百人以上が人々を監視した。
二〇〇八年の北京五輪では、約1兆3千億円が投入され、政府は北京市内に十一万人を超える警察官、軍、特殊部隊を配置、この時は合計三十万台の監視カメラが使われている。
911以降人口比監視カメラ台数世界一となったイギリスは06年に「オリンピック大会法」を制定。10年のロンドンオリンピックにおける武力鎮圧権限を軍、警察、民間公安企業に与えた。セキュリティの定義は平和的デモや組合活動などにまで及んだ事で国民から強い批判を浴びている。
ロンドンではさらに検問所における『人体スキャナー』や生物分析IDカード、顔認証CCTVシステム、新警察コントロールセンターなどが拡大され、街中に配置された兵士の数は約一万七千人。警備関連費用総額は約1849億円だった。
人々の恐怖と背中合わせの警備インフラは、かつて米ソ間で加速した終わりなき核開発レースと同様、危機を煽り続ける限り市場を生み出せる。
何も事件が起きなければこうした警備は評価され、テロが起き失敗に終われば、それもシステム導入の功績になるからだ。
 
そして巨額の費用が投じられた市民監視システムは、オリンピック終了後も開催都市からは完全撤去されていない。 
 
今月一二年目を迎える、「911同時多発テロ事件」。あれから一〇年以上の月日が流れ、事件の真相は今も闇の中だ。なのに「テロとの戦い」はいまだに錦の御旗のように掲げられ、各国で警備業界を潤わせ、世界各国で政府による監視網拡大と情報統制を後押しし続けている。
 
7年後のオリンピック開催地となった日本ではどうだろうか。
開催地決定直前にIOC総会で安倍総理が公言した「福島第一原発事故」についての安全宣言は、今後国内で情報がどう扱われるかの懸念を抱かせる。
総理はIOC委員に向かってこう言った。
「汚染水はコントロールされている」
「健康問題については、今も現在も将来も、全く問題ない」
だが実際には原発建屋海側で汚染地下水が港湾湾内へ流出し続け、漏れた汚染水が土壌にしみこみ地下水に混じった可能性すらある。東京電力は会見で、総理の言葉を事実上否定した。
 
九月十日、首相官邸では総理の発言を受け、「廃炉・汚染水対策関係閣僚会議」の初会合が開かれた。そこで確認された方針は、国内外の英知の結集、今後福島第1原発で想定されるリスク洗い出し、徹底した点検、国際的情報発信の強化の四つだ。こうした方針はどれも、オリンピックに関わらず既に取り組まれているべきものだろう。 
 
オリンピック開催国は、どこも自国の恥を世界に見せないようにする。果たして日本はどうするだろう?安全だと言い切る総理の「国際公約」を有言実行するのか、それとも秋の国会で提出される「秘密保全法」で情報統制をはかり、なかったことにしてしまうのか。
7年後に続く二つの道。日本の選択肢を国際社会が注視している。
 
(週刊現代 十月五日号 「ジャーナリストの目」連載記事)
 

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