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タイトルを見てピンときた人も多いと思います。
この本は、ある事件の被害者の夫である 本村洋(もとむらひろし)さんによって記された、愛があふれる本です。
この本の中には、奥様の弥生さん、そして11ヶ月の愛娘、夕夏ちゃんとの愛情があふれるほどに記されています。
「はじめに」の中にこんな文章があります。
【 この書簡集は、99年4月に23歳でなくなった弥生が、生前、私宛にくれた多くの手紙類と、結婚後も弥生が書き綴ってきた『パパとママの交換日記』(実際は交換ノートというより育児日記ですが)と題するノートに遺された文章とでなっています。
その内容は、若くて仲のよい恋人同士あるいは夫婦間に買わされた他愛のないラブレター類に過ぎないかもしれません。 また、拙い文章かもしれません。 しかし、弥生は手紙や交換日記を通じて、その時、その時の自分の考えや希望などを、あきれるほど正直に、ありのままに書き遺していってくれています。 そこにこめられた一言一言が弥生の心情であり、感情であり、精神なのです。
そして今回、私がこのような書簡をまとめて出版したいと強く思ったのは、ある日突然不慮の死を遂げた妻が、ただ単に殺人事件の被害者としてのみ人々に認識され、この事件の風化とともに、やがて人々の記憶から消えていってしまうのが、あまりにも哀れすぎて、どうにも忍び難い気持ちに急かされてのことでした。
私は生前の弥生を、ただ愛するだけでなく、一人の人間として尊敬もしていました。 豊かな感情、深い愛情、温かい人間性・・・・・・。 実際、弥生はそうした称賛に値する、本当に素晴らしい女性だったのです。
そして私は・・・・・・そんな弥生を、私が本当に愛した人を、一人でも多くの人達に知ってもらいたいと思うようになりました。
こんなに素晴らしい女性が、尊厳ある女性が23歳の人生を誠実に生きてきた・・・・・・。
本当に、ただ、それだけを知ってほしくて・・・・・・。 この気持ちをご理解いただければ幸いです 】
どうしてこんな記事を書いたのか。
数日前、ショックな出来事がありました。
何気なく立ち寄った本屋で、何気なく見た漫画雑誌。
知っている作家さん、好きな作家さんばかりの本だったので、面白そうなら買おうと思ってある話を読みました。
結構好きな作家さんの作品。
読んで怒りを感じました。
作品の表紙、雑誌自体の表紙に 『事実にもとづくストーリー』 と言う文字を探しましたが、ありませんでした。
あまりにも、話しの中の事件の内容が類似していたからです。
作品の中では『北市』となっていましたが、『北』と『光』が似ていると言う所にも意図的なものを感じました。
私は、全くの他人ですが、この 『光市母子殺害事件』 にとても思い入れがあります。
この事件があった時、私が新婚1ヶ月目だった事。
本村夫妻が私達と同じ年代生まれだった事。
遠距離恋愛を経て学生結婚だった事。
違う事と言えば、当時の私には子供がいなかった事くらいかな。
この事件を知ったのはニュース。
記者にインタビューされた本村さんはこう言いました。
『法で裁けないのなら今すぐ社会に放り出して欲しい。そして私が殺す』
そして一審判決後にも本村さんは 『司法に絶望した、加害者を社会に早く出してもらいたい、そうすれば私が殺す』 と言いました。
彼は生涯、この気持ちを抱えて、背負って生きていくんだと感じました。
強い人だと思いました。
この本の「あとがき」にはこう記されています。
【 「洋、一緒に生きよ」 笑顔でそう言ってくれた弥生は、私の側から永遠にいなくなってしまったのです。 この悲しみは、日を追うごとに大きくなるばかりでした。
その結果、私は自分の人生への絶望を深くし、心は凍えていくばかりでした。 来る日も来る日も生きることが辛く、仕事すら満足に出来ない状態が続いたのです。心身の疲れも尋常ではなく、こんな時は、せめて夕夏だけでも側にいてくれたらと何度も思いました。
かつては夕夏の可愛い笑顔ひとつで、その日の疲れを忘れることができました。 夕夏と一緒に遊ぶことで、明日への活力も自然と湧いてきたものでした。
(中略)
そして、私にもいつか天からのお迎えが来て、2人の元に帰る日が訪れます。 その時こそ、「弥生、夕夏、ただいま。今、帰ったよ」。そう言って2人を抱きしめてやろうと思っています。
その日のためにも、これからの私は2人に誇れるような人生を生きていかなければなりません。 それは、「パパは一生懸命に生きたよ。頑張ったよ」と、弥生と夕夏の前で胸を張って言いたいからです。
「パパ、お帰りなさい。よく頑張ったね・・・・・・」
2人はきっと、そんな私を笑顔で出迎えてくれるはずです。 いつか来るその日に希望を託しながら、これからの私は生きていきます。
この本を、弥生と私が出会い、愛し合い、家庭を持ち、愛する夕夏を慈しみ、育んできたこと、そして、家族3人が懸命に生き、素晴らしい人生を共にしてきた『証』にします。 この本を、弥生と夕夏がこの世に実際に存在していた、何よりの『証』にします。
読者の方々がこれを読まれて、弥生という人間の素晴らしさを、夕夏の懸命に生きた11ヶ月を、そして3人がいつも寄り沿い合い、平和で幸せな日々を過ごしていたことを少しでも知っていただければ幸いです。
2003年3月 本村洋 】
この事件はまだ続いています。
いえ。
どんな事件も、法律的に完結し、社会的に風化してしまっても、残された人達にとっては終わる事はないと思います。
たった11ヶ月で逝ってしまった夕夏ちゃん。
これから育児に翻弄されながらも愛情たっぷりの家庭を築く筈だった本村夫妻。
色々あって3人で一緒に暮して過ごしたのはたった7ヶ月半だった・・・・・・。
なのに、こんな形で漫画にして欲しくなかった。
結構好きな作家さんだったから、余計にショックでした。
どうして?
どうして描いたの?
あの事件を意識してないにしても、編集部の人は誰も気付かなかったの?
どうして? どうして?
こんな風に思っているのは私だけかもしれないけど。
でも・・・・・・・。
この漫画家さんの作品を読む事は、もう2度とないです。。。。。
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