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*空気人形*

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   ***STORY***             2009年  日本
古びたアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た彼女は、いろいろな人に出会っていく。ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、そこでアルバイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女だったが……。     gooより

業田良家の短編集「ゴーダ哲学堂 空気人形」の一篇を原作に、『誰も知らない』の
是枝裕和監督が、心を持ってしまった“空気人形”の恋を描いたラブ・ファンタジー。

ん?ラブ・ファンタジー。
確かにそういう要素もありますが、”心をもった空気人形”が感じる生きることの素晴らしさ!!。
それに対してここに登場する人たちはみんな”身体も心もあるのに”精神的にからっぽな人たちで
その対比の鮮やかさがリアルに伝わってくる秀作でした。

最初ラブドールと暮らす・・ということで『ラースと、その彼女』を思い出したのですが、あのラースは
ある一時期だけ人間との関わりの代わりにビアンカを求めました。
ところがこの主人公、秀雄は失恋した経験からか、多分このまま一生、次々と新しいものに
代えながら、しかも深く愛しながらラブドールとの生活を続けていくのです。
しかもラースにはそんな彼を静かに、そして温かく見守ってくれる近所の人たちがいました。
ところが秀雄は彼女とお散歩にも行くけれど、誰も彼のことを見守ってはくれません。
この差は大きくて、深いです。

去年見た『TOKYO!』というオムニバスのひとつ、『引きこもり』に似ていて、一応、彼は外に働きに行くけれど、友人や恋人がいない生活で基本的には同じようなことのように思えました。
そして『引きこもり』には未来があったけれど、秀雄はこの生活にギモンを持ってなくて満足してしまっているのがコワイところです。
実際東京の片隅で暮らす、こういう人たちがいるのでしょうね。

人と人が交じればいいことも楽しいこともあるけれど、時にはケンカしたり、失恋したり・・と
辛いこともたくさん。
それを全部回避してしまってラブドールに走る・・
この世のすべての面倒なことはしたくないということでしょう。

そこまでではないけれど、他の登場人物もしかり。
他にすることがなく、毎日交番に通うのが趣味の未亡人、
若さには絶対勝てないことを知って過食症になる女性、
代用教員だった老人・・
みんなどうにもならない空虚さを持て余して生きているのです。

ところがそんな人たちが暮らす隅田川沿いの町で、お人形が人のこころを持ってしまいました。
彼女が自由に動き回れるようになり、空気を、空を、町を生き生きと感じるシーンが
と〜ってもいいです。私たちには日常のことですが、平和に夜が明け、ゴミだしが行われ、
人々が動き出す町、そんななんでもないことひとつひとつが実は素晴らしいことなのですよね。

そして彼女はビデオ店で働き始め、多分恋に?落ちます。
これまたイマドキの感じなのでしょうか
ふたりとも基本的に淡々としています。
でもこころを持った彼女が抱えている空虚感は純一が空気を吹き込むことで満たされました。
多分純一も彼女の命ギリギリのところまで持っていき、それを自分の手でそれこそ息を吹き返させる
ことにものすごく愛と生きがいを感じたことでしょう。
とても余韻の残る作品でした。

この作品はストーリー的にすごくわかりやすいけれど、少し抽象的なことを描いていて
そのヴァランスがいいのだと思うのですが、そろを支えているのが映像でした。
撮影監督はリービンビン=李屏賓(り へいひん)という方で台湾出身。
トラン・アン・ユンの『夏至』や『花様年華』『春の雪』など撮っているので、
タワーマンションの見える都会だけれど、二階建てのアパートが並ぶあたりは下町のようで
そのあたりを異邦人のような目で撮られてました。
風になる風鈴やたんぽぽのシーンなども素敵です。
また空気人形が光にあたって透ける様子をはじめCGを使ってないとのことですし
息を吹き返すシーンもすごかったです。


この作品は第62回カンヌ国際映画祭のある視点部門で、またトロント国際映画祭「マスターズ」
部門で公式上映されました。
是枝裕和監督のこれまでの7作全てがトロントに出品されてるということです。
ヴェネツィアは塚本監督、カンヌは河瀬直美監督、トロントは是枝監督・・
とそれぞれの映画祭で愛される監督さんっているのですね。

**是枝裕和監督作品**
誰も知らない(2004)
花よりもなほ(2006)
歩いても 歩いても(2008)
大丈夫であるように -Cocco 終らない旅‐(2008)

監督・脚本・編集・プロデューサー: 是枝裕和
原作: 業田良家
企画: 安田匡裕
プロデューサー: 浦谷年良
撮影監督: リー・ピンビン
美術監督: 種田陽平
美術: 金子宙生
照明: 尾下栄治
録音: 弦巻裕
装飾: 西尾共未
衣装デザイン: 伊藤佐智子
人形造形: 原口智生
助監督: 西山太郎
キャスト;
ペ・ドゥナ
ARATA
板尾創路
高橋昌也
余貴美子
岩松了
星野真里
丸山智己
奈良木未羽
柄本佑
寺島進
オダギリジョー
富司純子

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閉じる コメント(61)

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de-noryさん。いつもコメントありがとうございます。
なるほど。絡んでいるようで絡んでない・・
そうですね。映画全体に空気が含まれているように感じましたし
時代の雰囲気なのかもしれませんね。

2009/10/17(土) 午後 4:44 car*ou*he*ak 返信する

>異邦人のような目で撮られてました
川沿いの映像とか、キレイでしたね〜。
たぶんアレが空気人形が見る世界なんでしょうね。
TBお返しさせてくださいませ♪

2009/10/18(日) 午後 1:04 [ エンジェル ] 返信する

私も是枝監督には注目してます。
難しい題材をファンタジーにして、綺麗に見せてくれたと思いました。CG使ってなかったのですね。驚きです。
ほんと!風鈴やたんぽぽのシーン、とっても素敵でした。
題材がちょっと難しかったのですが、
やっぱりこの監督、好きですね〜。
TBさせて下さいね!

2009/10/28(水) 午後 7:59 iruka 返信する

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これはDVD待ちですけど・・
ペ・ドゥナ上手いでしょ?
彼女は、色んな役やりますけど・・凄い体当たり演技しますから。
ラースも気になってるので近いうちに観ます。

沈まぬ太陽は・・レビュー無理(笑;
記事にするのは難しい。。明日見てきま〜す!!

2009/10/28(水) 午後 8:40 sanae 返信する

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orchestraofangelsさん。なんだかいい意味で日本っぽくない
映像でしたよね。まさにそうですね。あれが人形目線
なのかもしれません。

2009/10/28(水) 午後 11:34 car*ou*he*ak 返信する

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私も記事にはしてませんが。『誰も知らない』も見てますし
是枝監督作品は大好きです。
風鈴とか風とかで空気感も出てましたよね。
そういうちょっとしたこと、すべてがいいのだと思います。

2009/10/28(水) 午後 11:36 car*ou*he*ak 返信する

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sanaeさん。ほんとペ・ドゥナってすごい女優さんなんですね。
あまり知りませんでした。
ラース〜はほのぼのしていてとってもいいです。
沈まぬ太陽は色々社会派的なこともありますから記事にするのは
むずかしいですよね。

2009/10/28(水) 午後 11:38 car*ou*he*ak 返信する

ペ・ドゥナさん大好きなわたし、彼女が ラブドール(よろしい言葉ですねぇ、ダッチワイフって つい(~_~)
にと聞いて もうどきどきしながら観てしまいました。
そして、すこし ココロノコリも(^_^;)

2009/11/1(日) 午後 7:12 たんたん 返信する

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たんたんさん。はは・ラブドールだと少し緩和されるでしょうか
でもけっこうリアルなシーンとかありましたよね。
ラストは寂しかったですね。

2009/11/2(月) 午後 9:44 car*ou*he*ak 返信する

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コメント&TB,ありがとうございます。予告篇観て引きつけられてしまいました。びっくりリアルな場面も多かったですがいかにも現代の病ッポイところが上手く描かれていました。それでも何か希望はあります。「『花様年華』は好きです。「誰も知らない」にも衝撃受けました。監督、撮影、俳優、よかったですね。TBお願いします。

2009/11/3(火) 午後 8:33 hitomi 返信する

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hitomiさん。そうですよね。けっこうリアルで驚いてしまうシーンも多かったです。東京に暮らす人の中にはあのような人たちもいるのでしょうね。でも悲しいだけではなくて、希望がありました。
そうですね。映画全体、とても良かったです。

2009/11/4(水) 午前 10:06 car*ou*he*ak 返信する

遅ればせながらこちらにもコメントとTBを。
すごくよかったです。ペ・ドゥナの可愛さにはやられました。
彼女ありき、の作品だったかもと思わされてしまいそうなくらい。
あ、あとビデオ屋の中での会話(映画クイズや客との応対などなど)は
映画好きにはたまりませんでしたね(笑)

2009/11/20(金) 午前 1:13 shiromi 返信する

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心を持つことに喜び、苦しみそして「たった一度の人生」として生きる決断をした彼女は代用品なんかじゃなくたった一人の素敵な女性となりましたね。
TBさせてください。

2009/11/24(火) 午後 8:51 かず 返信する

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SHIROMIさん。あ・そうそう。あのビデオ屋さんに貼ってある
ポスターも渋かったし、クイズも面白かったですね。
ペ・ドゥナあってこその映画でしたね。
特に空気を抜かれたり、入れられたり・・すごくうまかったです。

2009/11/24(火) 午後 9:45 car*ou*he*ak 返信する

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かずさん。心と持つっていうことは素晴らしいことである半面
ものすごく苦しいことでもありました。
そうそう。代用品なんかじゃなかったです。

2009/11/24(火) 午後 9:46 car*ou*he*ak 返信する

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ベ・ドゥナの評判を聞いて、・・・、下町を歩いていき、他人のまねをして、挨拶をしたり、だんだん人間として、人間らしくなっていくところが見事でした。ビデオ店員が、空気を吹き込むシーンは、人形とは思えず、「ドキッ」としました(笑)。TBさせてください。

2010/4/25(日) 午前 8:39 fpd 返信する

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fpdさん。そうそう段々と人間らしくなっていくところも
面白く、ほんと地味ですが見ごたえある作品でした。
そうそうあの空気入れたり抜いたりするシーン、すごい〜〜

2010/4/29(木) 午後 5:23 car*ou*he*ak 返信する

衝撃的なシーンもありましたがどこか切なくファンタジーで面白い作品でした
お人形なのに妙に感情移入もしちゃいました〜
TBしますね(o´∀`)ノ

2011/1/17(月) 午前 9:19 翔syow 返信する

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SYOWさん。けっこうきわどいシーンもありましたが
でもファンタジーっぽく、そして悲しく・・
いい作品でしたね。

2011/1/17(月) 午前 9:26 car*ou*he*ak 返信する

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なんともいえない作品でした〜
きらいでもないけど、すごくスキでもない
きれいなようで、なにかほんわりしてそうで
それでいて、「暗い」

なんでしょうな〜

TBおねがいします

2012/1/4(水) 午後 1:45 る〜 返信する

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