2012年
雨上がりの山原にて午前中まで降っていた雨が上がって、午後からようやく気温も上がり始めた。沖縄の最高峰、与那覇岳を発して山原 (やんばる) の森を流れ下る小さな川は、昨夜から山に降った雨を清流に変えてわずか 1 km ほど先の海へと運んでいく。その川辺の小道にはまだ水たまりが残り、乾ききっていない花々には、雨が上がるのを待っていたのだろう、たくさんのチョウたちがいっせいに蜜を吸いにやってきた。
ここでも多いのはイシガケチョウ。まるで風に舞う白い紙吹雪のように、高い木の梢から道端の花まで無数に飛び交っている。それからジャコウアゲハ。モンキアゲハやオキナワカラスアゲハも時おり姿を見せる。
ツマムラサキマダラが吸蜜に夢中だ。翅を閉じてとまることの多いこのチョウが、めずらしく翅を開いている。それほど蜜に夢中なのだろう。時おり雲間からのぞく日の光に翅表が紫色に輝いている。
木々の間を縫うようにオオゴマダラが一匹、川を越えて向こう岸の森へと消えていった。
不意に、足元から大きなチョウが飛び立った。白い翅にオレンジ色の紋。ツマベニチョウだ。水たまりで吸水していたらしい。少し飛んでまた地面にとまった、と思ったらどこにとまったかわからなくなってしまった。鮮やかな翅表に比べ翅裏は薄茶色を基調にした地味な色合いで、それが背景に完全に溶け込んでしまっているのだ。飛び立つまで全く気づかなかったのはこのせいだったのだ。
とまったと思われるあたりにゆっくり近づいていくとまた飛び立った。こんどは逃さないように着地する直前を狙ってシャッターを切った。
ツマムラサキマダラ Euploea mulciber
ツマベニチョウ Hebomoia glaucippe
(撮影: 2012年5月2日 沖縄県国頭村)
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