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恥の文化

 大妻女子大学には「恥を知れ」という校訓があります。
 
 古来より日本人はこの「恥」の文化を意義のあるものとしてきました。時として、その文化は自分の命よりも価値のあるものだったのです。
 
 この恥の文化を持つがゆえに、世界は歴史上多くの日本人に対して、その精神の高貴さに尊敬の念と賛辞を惜しみませんでした。
 
 西洋文明という異質な波が浸透してきて、日本人の「恥の文化」は少しづつ形骸化していきました。心の高貴さよりも、経済的な豊かさに意義を認める人達が増えてきたわけです。
 もちろんこれらは両立させることが可能です。人格の優れた人が経済的にも成功するのが、21世紀のビジネスの世界であると私は強く感じています。
 
 恥を知らない人達が増えていくだけ、この世の中は住みにくいところとなってしまいます。
 ある芸人が、年収何千万円もあるにもかかわらず、自分の親族に生活保護を受給させていたという事実が発覚し、マスコミは正義の味方を演じられることに興奮しています。
 
 法律的には、別世帯ということなれば違法ではないとしても、「恥の文化」に照らせばこれは立派な犯罪です。
 
 生活保護の不正受給額が、発覚しただけで年間1千億円以上となるそうです。これは心ある人達の心を曇らせるのに十分です。でもせめて、私たちは心ある人でいようではありませんか。
 
 
 
 
 

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究極の2者択一

 居眠り運転による高速道路上の悲惨な事故は、その情景とともに我々に大きな衝撃を与えました。
 
 何でも安ければいいという風潮は、それを実現するために過度の経費節減を事業者に要求することとなり、結局一番弱い立場の現場労働者や下請事業者に負担が押しつけられます。
 
 元請けの事業者は相応の利益をあらかじめ確保できますが、これしか予算は無いよと言われた実行部隊は、安全面に配慮する余裕がありません。それが今回の事故につながったのは多くの方々のご指摘のとおりです。
 
 時として、「ヤスイ」=「ヤバイ」という図式が成り立ってしまいます。それが究極の2者択一であることに、やっと皆が気づきはじめましたが、そのために何人もの人が死んでしまいました。
 
 最近高級品がまた売れ始めてきたそうです。
 
 物やサービスには、それ相応の対価を支払うことが、結果的に皆が助かり世の中のためになるのだと思います。またそれが、デフレ脱却のスタートラインであります。
 
 何も100円のハンバーガーでなくとも、250円の牛丼でなくとも、あと100円余分に支払っても、あなたが破産することはありません。
 
 
 

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勘ちがい

 ある日のことでした。
 
 まさお君は大宮で買い物をするため、古河駅に向かっていました。
 
 駅まで50メートルというところで、まさお君はなつかしい人を発見したのです。それは小学生のころいつも一緒に遊んでいた「慶ちゃん」で、彼とはテスト中お互いの答案を見せ合うほど仲良しだったのです。
 
 懐かしさに顔をほころばせながら、歩みは早くなっていきます。
 15メートルまで近づいたときです。慶ちゃんが向こうの方へ体を回転させて歩み去ろうとしました。
 
 とっさにまさお君は「慶ちゃ〜ん」と右手を上げて呼びかけながら、彼の方へ走り出したのです。
 
 10メートル   5メートル     「ん!」 何かがおかしい。
 
 その時まさお君は自分の視力の悪さを呪いたくなりました。慶ちゃんではなかったのです。
 
 緊急の課題は、自分が起こしたアクションを、いかに平和的に収めるかです。
 1秒の何百分の1の間に、まさお君は決心しました。
 
 彼は、聖火ランナーのごとく右手を高々と振り上げたまま、なおも「慶ちゃ〜ん」と呼びかけながら、慶ちゃん似の人を追い抜いて古河駅の構内へと走り込んだのでした。
 
 そして人気のない物陰に身を隠し、胸の鼓動とほとぼりが冷めるのを待って、何食わぬ顔でホームへと向かったのでした。不確実な相手には、2度と声をかけたりはすまいと誓いながら。
 
 

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船井幸雄という人

 船井幸雄さんは、ご存じの方も多いと思いますが、船井総研という経営コンサルタント会社の会長です。船井総研はスタッフ200人以上、顧問先5千社という我が国でも最大級の経営コンサルタント会社です。
 
 彼はそのとてつもない人脈をとおして得た情報から、「本物」を見極め、また21世紀の上手な生き方のヒントをくれます。
 
 船井幸雄さんの本は10年ぐらい前までよく読んでいましたが、最近また彼のことが気にかかってきていました。そこで図書館に行き蔵書検索をしたところ何冊もの蔵書が発見されたのです。
 
 すかさず「波動で上手に生きる」という著書をかりて、ほとんど一気に読んでしまいましたが、彼の本の内容にはおもしろい特徴があります。それは読む人の意識のレベルを測るようなところがあるのです。
 
 一般常識ではとらえられないような事柄がいっぱい出てくるので、これって宗教書?といった印象を感じる人もいるのです。
 彼の本を読んで、素直に彼の言っていることは正しいと感じられる人は、21世紀的なフィーリングをもった人だと私は思います。
 
 日本最大級の経営コンサルタント会社の会長は、こんな生き方を提案しています。
○あるがまま、なるがまま、すべてを受け入れ、包み込み、プラス発想して楽しく、前向きに生きよう。
○できるだけ長所や好きなことを活かし、できるだけ短所や嫌いなことにふれず、自分を活かして、できるだけす べてと仲よく生きよう。
○過去を思いわずらわず、未来を心配せず、現在に至誠の気持ちで生きよう。
 
 最近私は、「人」や「本」とは偶然に出会うのではなく、現在の自分に必要な人や本だからこそ、今出会うんだというように感じるようになりました。
 

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旅立ち

 人はその人生の中で、何度もの旅立ちをします。卒業式などはその典型ですが、退職も旅立ちです。
 
 定年退職、自己都合による退職、また突然理不尽な退職に追い込まれることもあります。ともあれこれまでの安住の地を離れ、不安を抱えながらもどこかへ向かって歩き出さなければなりません。
 
 今この瞬間から自分が死ぬ瞬間まで、それが私の人生です。何かを始めるにあたって早いも遅いもありません。今から後にしか自分の人生は存在しないからです。
 
 人は自分の人生を創ることができます。しかしそのためには、自分は何を望んでいるのか、自分にとっての人生での幸せとは何か、自分が大切にすべき価値とは何なのか、を明確にする必要があります。
 
 明確になったら、自分が理想とする状態を必ず創り出すと決意しなければなりません。決意すると自分のエネルギーは創造に向けて集中し始めます。「想い」はエネルギーです。エネルギーは物質化します。人生を創り出す原動力がこの「想い」なのです。
 
 心機一転新しく事業を起こそうとしている人達もたくさんいることでしょう。ビジネスの世界に打って出るにあたって心すべきは、時代が変わりつつあるという認識です。
 
 21世紀は、協調と人間性が重要な意義をもつ時代であります。口先で人をだまして小銭を手にいれようなどと考えるヤカラが成功できる時代は過去のものになりつつあるのです。
 
 そして最も重要な心構えが「感謝の思い」です。周りの人々や大自然によって自分が生かしていただいているということを感じたとき、自然に感謝の思いが湧き上がってきます。
 仕事とは、その感謝の思いを、世の中に貢献するというかたちで表す行為であるとも言えます。
 
 私は別に道徳や宗教の話をしているのではありません。自分の人生体験の中から、これが世の中の「真理」であると信じられることをつぶやいているだけです。誰かを説得しようなどどは考えてもいないし、何かを保証するものでもありません。
 でもこのつぶやきが、旅立つ人達へのエールになれば、それはそれでうれしいことです。 

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大島 信夫
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