コパンのうら

熊本県北部の山鹿市にあるちいさなフランス料理店「ビストロ シェ・ル・コパン」の舞台裏です。

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初午の季節になると、むかし読んだある話を思い出します。

……という書き出し、前もしたような……と思って調べたところ(検索機能バンザイ)、なんと二回も同じネタを書いてました(←がーん、すっかり忘れてる)。2008年と2010年。いずれも、当時思い出せる限りの内容を書いているようですが、読み比べると……うーん、二年間で内容変わってるし(苦笑)。いったいどっちが真実なんだ。


そう、それは、小学生のころ購読していた「学研の学習」の付録に掲載されていたお話。今は手元になく、入手できるあてもなく、再読したくてもできないのです。

そして今、思い出せる内容はますます減少。上のふたつのブログを読んで「うわっ、そうだっけ? うう、全然思い出せない……」と、愕然とするわたし。もしかして、この10年ほどで脳細胞が急速に減少してしまったんじゃ? ああ、加速する記憶喪失が恐ろしい……。

真実はいったい何? そう考えだすと、この物語がどうしても読みたくてたまらなくなり、ネットで探してみることに。しかし「初午の太鼓(たいこ?)」というタイトル以外、作者名も、いつの付録だったかもわからない……。ところが、しばらく探したのち、なんと2chで発見! 掲載されたのは「1977年の『5年の学習・科学読み物特集』」で、タイトルは「初午のたいこ」、作者名は「中野みち子」さんだそう。


さらに、なんという偶然か、そのまさに「1977年の『5年の学習・科学読み物特集』」が、ちょうどヤフオクに出品されているのを見つけたのです。しかも、落札まであと残り1日!

こ、これは……もしや、運命?

……ということで入札し、見事、落札しました(落札価格は聞かないでください……けっこう高かった)。ああ、到着のなんと待ち遠しかったことか。

そして昨日。

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じゃーん! え? こんな表紙だっけ? ああ、でも、確かに見覚えがあります。それにしても、なんか「昭和」だ。

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そうそう、この表紙!(嬉) すっかり忘れていたけど、見るとやっぱりなつかしい。以下、いくつかのページを抜粋します。そう、この挿絵も好きだったんですよねえ……。

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唯一覚えていたのが、上のページのこの挿絵。あとはすっかり忘れてました。


で、内容。うそ、全然合ってないじゃん!(愕然) 2008年と2010年のブログ、どちらもそうとういいかげんです。なんなんだ、大丈夫なのか、わたしの脳内の記憶装置。われながら恐ろしくなってきました。

ということで、あらためて「本当の」あらすじを(今後の入手はほぼ不可能みたいなので、書いても差し障りは……ない……ですよね?)。すみません、以下、少々長くなります。



渋谷なおみと渋谷孝志は幼なじみ。姓が同じなのは遠い親戚だから。なおみはからだが弱いので、孝志がいつも守ってくれる。でも、なおみは孝志のやさしさがくすぐったくて、つい反抗的な態度を取ってしまう。
そんなある日、ふたりは初午祭り用のたいこを持ってくるよう先生から命じられる。旧家だからだ。だが、なおみの祖母は「初午の日にたいこを見るとたたりがある」と言う。なおみはそれを笑い飛ばし、蔵に入ってたいこを探しはじめた。
蔵にたいこはなかったが、丸くて茶色い表紙の本があった。表紙をめくると……そこには孝志がいた。ジーパンをはいた孝志は、なおみを無視して冷たい表情で行ってしまう。次のページをめくると、そこには学生服を着た孝志がいた。なおみはたんぽぽになっていた。隣には赤いバラと菜の花。孝志はバラに笑いかけ、菜の花にそっと触れた。たんぽぽのなおみには見向きもせず、結局、菜の花といっしょにどこかへ行ってしまう。なおみは「孝志はもうむかしの孝志じゃない。あたしが孝志のやさしさを当たり前と思って、いい気になっていたのが悪かったのだ……」と、ぼろぼろと泣いた。
さらにページをめくると、孝志が猛スピードで走ってくる車に轢かれそうになっていた。なおみは孝志をつきとばし、代わりに自分が車に轢かれた。次のページには、右足を引きずるなおみ。そばには孝志が寄り添っていた。
なおみは、孝志と結婚するページを探して本をめくった。あるページで、なおみはエプロンをしておむつを干していた。だが、そばにいたのは孝志ではなく、別の男性だった。「どうして孝志と結婚していないの?」。前のページに戻ると、そこには……黒枠、黒いリボンをつけた孝志の写真。「どうして孝志が死ぬのよ!?」 なおみは怒って本を床に叩きつけた。すると、本がたいこに変わり、ドンドンドンと鳴りだした。たいこの音はなおみの心臓の音だ。たいこの上に映像が映し出される。それは……老婆になったなおみの姿、そして「俗名なおみ 没年2月6日初午の日」と書かれた位牌。なおみは叫び声を上げ、気を失った。
目をさますと、なおみは熱を出して寝込んでいた。蔵のなかで倒れていたらしい。孝志が見舞いに来た。いつものように笑う孝志。なおみは「孝志ちゃん、死なないでね」と言って涙を流した。孝志は「何言ってんだよ」と言って、タオルでごしごしとなおみの涙をふいてくれた……。



当時、この物語を読んだ翌日、高熱を出して悪夢を見たのは、たぶん本当だったと思います(もはや自分の記憶にまったく自信がないのですが)。

小学五年生……好きな男の子がいて、その子はわたしにやさしくて、でもわたしは素直になれずにいつもつんけんしてて……そんな関係がいつまでも続くような気がしていた。初恋の子とずっといっしょにいられると思い込んでいた。「初午のたいこ」は「ひとの心は移り変わる」ことを示してくれた、初めての物語でした。恐ろしくて、心に焼きついた、大事な物語でした。

あれからちょうど40年。あっという間の40年。そう、当時のわたしは「変わりたくない」「失いたくない」と思っていた。でも、変わるものもあれば、変わらないものもある。失うものもあれば、失わないものもある。40年前の自分に「変わることを、失うことを、そんなに恐れなくていいんだよ」と言ってあげたいです。

あーあ、ずいぶん遠いところに来てしまった。

タイムマシンに乗った気分。インターネットのおかげで40年前の自分に会えるなんて、当時は夢にも思わなかったです。科学の進歩、バンザイ。





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