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空の陶
深夜、轆轤(ろくろ)は低く憂鬱なうなり声をあげ続けている。
山中の小さな工房を覆い尽くして、宇宙の沈黙がゆっくりと回転している。
とめどなく流れ去る時間(とき)の中で、わけもなく確信しているこの生。
確かな意味がそれにはあると、言える拠り所を君はなくしたことはないか。
生成の巨大な流れに抗いようもなく、しがみつく藁さえないと気付くとき、
宇宙を満たしているものは真空で、それこそが私たちの生きる世界なのだと知るだろう。
不意に自己の意識は破裂して宇宙の真空とつながり、懐かしい連続性へと解き放たれる。
回転する轆轤からしなやかに立ち現われる土の殻。
殻の中は空だ。
空の無形を俺は倦むことなくなぞる。
この身の深奥より湧きあがる盲目なる生命の意志のまま、
現れては消えゆく刹那の形を、ただ探り続けているのだ。
そして君に捧げよう。
この儚(はかな)い殻で包まれた
一切の空、小さな宇宙、一度限りの花の幻。
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