カダフィ後のリビア・中東
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リビアの国民評議会のベルハッジ軍事司令官は10月20日、中部のシルト付近でカダフィの身柄を拘束、その際に負った傷がもとで死亡したと発表した。
今後のリビア情勢の課題は、「国民融和」である。この目的を達成するには、①政治プロセス、②治安回復、③経済復興の3分野をバランスよく進めることが大勢である。
この中で問題となるのはやはり政治プロセスだろう。時に憲法制定、選挙制度づくりは利益対立を深めることになる。すでに、国民評議会を構成している勢力内において、カダフィ政権下での有能な人材の登用や暫定期間をめぐり意見対立が生じている。このような状況を踏まえて今後のシナリオを描くと、次のことが言える。
1.国民評議会が分裂して、リビアが歴史的な西部、東部、南部の3地区に分かれて混乱期が続く。
2.国民評議会の内部対立はくすぶったままだが、制憲選挙が実施される。しかし、その後、選挙の正当性を巡り、西(トリポリ)と東(ベンガジ)が分裂し、それぞれが独立した国家を樹立することを模索する。
3.国民評議会が内部対立を続けるが、制憲選挙、憲法制定を行い、その後再び国民議会選挙を行うことで、民主的な政権が誕生する。
この他に、国連をはじめとする国際社会による、リビアの政治・経済への関与の度合いや石油輸出の回復状況によって、さまざまなバリエーションが生まれる。
しかし、上記の中で、国際社会が3のシナリオに向けて国際協力を強めていくだろうことを勘案すれば、3の蓋然性が高いといえそうだ。
このリビアの変化が中東諸国に与える影響については、イエメンのサーレハ政権、シリアのバッシャール・アサド政権に影響を与えることは確かである。特に、イエメンでは、市民運動家タワックル・カルマンさんがノーベル平和賞を受賞したこともあり、再び反政府活動が活発化しており、反政府活動が一層勢いづくことが考えられる。
また、市民運動が鎮静化に向かっているバーレーンでも、活動が再燃する可能性がある。
そして、政府軍と軍離反者の衝突が見られ、反体制派活動が武装闘争化しつつあるシリア、経済格差拡大に抗議するデモが続き、バビード首相を更迭(17日、後任にアウン・ハサウナ氏がアブドラ国王から指名)したヨルダン等で、現政権を揺るがす動きが活発化することも考えられる。この2カ国の政治変化はイスラエルにとって安全保障上、大きな問題となる。
今後、リビア情勢は、その復興の速度が国際石油市場に与えることになる。そしてカダフィの死亡は中東の市民運動へと波紋を広げる要因となるだろう。
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