カタールでのアジア競技会開催について
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12月1日(日本時間の2日未明)、カタールのドーハで第4回アジア競技会が開幕した(15日閉会)。西アジアでは1974年のテヘラン以来32年ぶり、アラビア半島諸国では初の開催である。今大会は、イラクの資格停止が解かれて20年ぶりに復帰、アジア・オリンピック評議会(OCA)加盟45カ国・1地域がそろった競技会となった。今大会は39競技、424種目で競い、様々なドラマが繰り広げられるだろう。そして、例に漏れず、今回も国際的なスポーツの舞台に政治がからんで動いている。
第1は、GCC諸国間でのポスト・オイル戦略の競合である。カタールは、天然ガス田(2004年で確認埋蔵量25.8兆立方メートル、世界シェアの14.4%)からの液化天然ガス(LNG)輸出と衛星テレビ局「アルジャジーラ」が有名である。近年、さらなる発展を目指し、観光開発に力を入れはじめている。例えば、国営カタール航空の強化(空港整備、主要都市への直行便の増加)やインフラの再整備であり、2016年のオリンピック招致も視野に入れている。しかし、GCCには目覚しい観光開発で先を行く、アラブ首長国連邦(UAE)の首長国の一つドバイが存在する。ピーク・オイルが議論され、原子力発電や新エネルギー開発へと先進諸国のエネルギー戦略が動く中で、GCC諸国では石油依存度の高い経済構造改革、若者の失業問題への対応が急務となっている。このため、域内諸国の産業調整がつかないまま、多分野での競合が見られている。今回のアジア大会開催は、カタールのイメージ改善、認知度を高めるという国家戦略の中に位置づけられており、大きな国益競争の場ともなっているのである。 第2は、大会開催に合わせての招待外交である。特に注目されたのは、イランのアハマディネジャド大統領の訪問である。同大統領は、カタールのハマド首長や同地を訪問したパレスチナ自治政府のハニヤ首相などと精力的に会談を行っている。ハマド首長との会談で、同大統領はイスラエル・ヒズボラ紛争でのヒズボラの抵抗の勝利に言及し、中東でのシオニストの占領体制が崩壊に向かっていると強調した。また、イラク問題では、米英軍の撤退の必要性を述べるとともに、シーア派とスンニー派の分裂の拡大を防ぐべく努力すべきとの見解を述べている。また、ハニヤ首相との会談では、世界中のイスラム教徒がパレスチナ国民の側に立つことが宗教的義務とした上で、勝利はパレスチナ国民とイスラム教徒のものであることは疑う余地がない旨述べている。そして、両首脳は聖都エルサレムの解放までの抵抗運動の継続を確認している。 12月1日、イスラエル・パレスチナ関係改善の糸口を探り、ハマス体制と交渉を続けていたアッバス・パレスチナ自治政府大統領周辺から「挙国一致内閣」は行き詰まったとの発言が流れ、それを支援していたアラブ連盟のムーサ事務局長(エジプト)から、協議打ち切りは大変残念とのコメントが出された。イランは現状、この中東和平問題、イラク紛争、レバノン情勢、核拡散問題、アルカイダ関係者の身柄拘束など、中東地域でのいくつもの不安定要素に何がしか関係を有している。イランという地域大国との外交を域内諸国が展開するには、ドーム型天井建築のような微妙なバランスが必要である。カタールは、(1)ポスト・オイル戦略のライバルの動向、(2)ノース・フィールド天然ガス田問題(イランとの領有権問題がある)、(3)安全保障(自国内の米軍の空軍基地の存在)、(4)自国内のシーア派勢力(人口の5〜6%)の動向などの課題を見据えた上で、今回の招待外交を展開しているようだ。 |
