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皮膚疾患の母斑・腫瘍性皮膚疾患のお話。
今回は有棘細胞癌・基底細胞癌、基底細胞上皮腫・Merkel細胞癌の3疾患の説明です。

★[有棘細胞癌]squamous cell carcinoma(SCC)★
【概念】
表皮ケラチノサイトの癌であり、多少とも角化を伴うことが特徴です。

●成因・病態生理
皮膚のSCCには多種の前駆症が存在し、下記表のように分類されます。
 表 敞乕耆棘細胞癌(SCC)の前駆症】
  第1群: SCCを生じやすい局所的準備状態
      熱傷瘢痕、慢性放射線皮膚炎、骨髄炎瘻孔、褥瘡、慢性円板状エリテマトーデスなど
  第2群: SCC in situないしはその早期病変
      Bowen病、日光角化症、放射線角化症、砒素角化症、汗孔角化症など
  第3群: SCCを生じやすい全身的症状
      色素性乾皮症、疣贅状表皮発育異常症、慢性砒素中毒など

病因も多彩で、日光紫外線、放射線、熱傷瘢痕、化学物質(砒素、ベンツピレン)、HPVなどが挙げられ、また、色素性乾皮症や慢性砒素中得のように、SCCなどの皮膚悪性腫瘍を生じやすい全身性も存在します。

●臨床像
紅色色調の硬い結節で、表面に角化や乳頭状所見を伴うことが多く、少し進行すると表面がびらん・潰瘍化し、二次感染をきたして異臭(癌臭)を発します。

●検査所見
所属リンパ節や肺などへの転移の有無を理学的所見や画像診断で検索します。

●病理組織像
異型な有棘細胞様細胞が真皮内へ侵入、増殖します。
胞巣内には角質真珠などの角化巣を伴い、ときに腫瘍細胞が棘融解を起こし、偽腺状所見を呈するacantholytic or pseudoglandular SCCや低分化で腫瘍細胞が紡錘形状を呈し、肉腫様所見を呈することもあります。

●診断・鑑別診断
ケラトアカントーマ、皮膚付属器癌(汗腺癌、脂腺癌)、無色素性悪性黒色腫、内臓癌の皮膚転移などが鑑別の対象となります。
必要があれば生検にて確認します。

●治療・予後
手術療法(辺縁から2cm程度離して全摘)を行います。
放射線療法も有用で、転移を生じた進行期には化学療法(シスプラチン+アドリアマイシン、ぺプロマイシンなど)を。
5年生存率は深部浸潤がなければ90%前後で、リンパ節転移があれば50%程度、遠隔転移を生じると予後不良です。

●禁忌事項
高齢者で呼吸機能の低下した者にぺプロマイシン投与は不可です。

●コラム: ビメンチン陽性のacantholytic SCC
acantholyticな組織所見を呈するSCCの中には腫瘍細胞が小型円形、低分化でビメンチン陽性となるものがあります。
このような場合、転移を生じやすいので注意を要します。


★[基底細胞癌、基底細胞上皮腫]basal cell carcinoma(BCC)、basal cell epithelioma(BCE)★
【概念】
未分化な基底細胞様細胞が増殖する腫瘍で、深部組織にまで破壊性に侵入しうりますが、転移することはほとんどありません。

●疫学
もっとも高頻度に見られる皮膚悪性腫瘍(日本人では皮膚悪性腫瘍全体の約40%)を占めます。

●成因・病態生理
長年月の日光紫外線曝露や放射線照射が誘因となります。

●分類・臨床像
次のような臨床病型がありますが、表面平滑な黒色調の結節性病変が基本型で、辺縁部に同様の小結節が首飾りのように並ぶ(pearly border)のが特徴です。
〃訐當掾膩(結節状病変で、ときに中央部が潰瘍化)、表在型(紅褐色の扁平な局面)、H綻強皮症型(板状の硬結を触れる皮内結節)、で鵬型(下床深部組織にまで達する潰瘍)など。

●病理組織像
表皮から真皮内へ好塩基性の基底細胞様細胞が種々の形態の胞巣を形成して増殖、胞巣辺縁部には柵状配列(細胞の長軸が胞巣と間質の境界性に対して直立)がみられ、胞巣と周囲間質との間に裂隙形成がみられます。
胞巣内にメラノサイトが共生し、メラニンを産出します。

●診断・鑑別診断
鑑別診断は、後天性色素細胞母斑、青色母斑、脂漏性角化症、悪性黒色腫などを行います。

●治療・予後
辺縁から5mm程度離して全摘をし、取り切れれば完治します。
放射線療法も有効です。

●禁忌事項
眼や鼻周囲などに好発するので、切除後の再建の事前検討なしの手術は不可です。


★[Merkel細胞癌]Merkel cell carcinoma★
【概念】
好塩基性の細胞が主として真皮内に増殖する悪性腫瘍で、免疫組織学的にneuron specific enolase(NSE)などが陽性で、電顕的に特異な顆粒(dense core granule)を有します。
neuroendocrine carcinoma of the skinとも呼ばれます。

●成因・病態生理
免疫組織化学的にNSE、クロモグラニンAのほか、単層型サイトケラチンのCK18やCK20も陽性です。
病巣内にまれにですが角化巣が見出され、また病巣上部の表皮にBowen病の所見を伴うこともあります。
神経内分泌系よりはケラチノサイト系腫瘍である可能性が高いです。

●臨床像
ドーム状に隆起する紅色の硬い結節として、高齢者の顔面、四肢に好発し、リンパ節転移や血行性転移を生じます。

●検査所見
転移の有無を画像診断などで検索します。

●病理組織像
胞体に乏しい小型の好塩基性腫瘍細胞が種々の形態の胞巣を形成して真皮内から皮下に増殖します。
核はクロマチンに乏しく、しばしば分裂像やアポトーシスの所見を伴い、表皮との連続性は認められないことが多いです。

●診断・鑑別診断
臨床的に有棘細胞癌、皮膚付属器癌などと、組織学的にリンフォーマや肺小細胞癌の皮膚転移などとの鑑別が問題になりますので、生検(免疫組織化学、電顕所見など)にて確定します。

●治療・予後
外科的摘出が第1選択です。
かなり効率にリンパ行性、血行性転移を生じますが、逆に自然消退することもあります。
再発・転移への放射線療法、化学療法はいったんは奏功しますが、高率に再発を繰り返します。

●禁忌事項
肺小細胞癌の皮膚転移と誤診しないことです。

●コラム: 消えるMerkel細胞癌
本腫瘍が自然消退したとの報告がいくつかあり、アポトーシスや免疫学的機序の関与が考えられますが、機序は不詳です。

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