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低体温と凍傷・減圧病

救急疾患の環境疾患のお話。
今回は低体温と凍傷、減圧病の2つの説明です。

★[低体温と凍傷]hypothermia and frostbite★
【概念】
寒冷環境による障害は、全身的障害である低体温と、局所的障害である凍傷に大別されます。
核心温(血液温)が35℃以下に低下した場合を低体温、寒冷により局所が凍結して障害された場合を凍傷と呼びます。

●発生機序・病態
《低体温》
 ヒトでは視床下部にある温度中枢により熱産出と熱喪失の均衡が保たれ、核心温は37±0.2℃に維持されています。
 温度中枢の障害、熱産出の低下、熱喪失の増加により核心温は低下し、32℃以上では末梢血管収縮による熱喪失の減少、震えによる熱産出が認められますが、さらに体温が低下すると、体温中枢の機能は停止して各臓器は機能不全に陥ります。

《凍傷》
 四肢末端、特に足が障害されやすく、寒冷の程度は外気温、風速により影響されますが、凍傷は湿度が高いほど発症しやすく、一般に−7℃以下の外気温に2〜3時間以上暴露された場合に四肢末端は、組織凍結点である−4℃以下になります。
 この細胞間質での状態ではice-crystalの形成が起こり、細胞間質の浸透圧が上昇、細胞内から間質へ水分が引き込まれ細胞内脱水となり、細胞死に至ります。
 また、組織温度の低下が急激であれば、細胞膜の凍結や細胞内のice-crystalが形成され細胞死となり、同時にも寒冷により細動脈が収縮、組織血流が停滞して赤血球凝集、血栓形成が起こり、末梢循環不全に陥り、局所組織の障害壊死が起こります。

●臨床像・分類
 ◎低体温
 核心温により、軽度(35〜32℃)、中等度(32〜28℃)、高度(28℃>)に分けられます。
 経度低体温では震えや交感神経の刺激により、脈拍数はむしろ増加傾向にあり、中等度低体温では血圧、呼吸数、脈拍の低下を認め、心電図では、QRS直後のこぶ状のST部分の上昇(J波、Osborn波)が特徴的です。
 高度低体温では深昏睡、瞳孔の散大と反射の消失、著名な徐脈を認め、心静止や心室細動が出現しやすくなります。
 検査所見では体温低下に伴い、呼吸性および代謝性アシドーシス、ヘマトクリット増加、白血球減少、血小板減少が認められます。

 ◎凍傷
 組織の障害程度により以下の4型に分類されます。
 [掬]
  表皮に限局した場合で、皮膚は蒼白で知覚低下を伴います。
  多くは数日で治癒します。
 [凝]
  表皮と真皮まで障害された場合で、皮膚は紫藍色で、知覚は低下または消失します。
  水疱形成を伴い、周囲に発赤や浮腫が強いです。
 [慧]
  皮膚全層と皮下組織まで障害された場合で、障害部位はいずれ壊死となり潰瘍を形成します。
 [古]
  筋肉、骨まで障害された場合で、通常切断を要します。

●診断・鑑別診断
《低体温》
 特に高度低体温では深昏睡、脈拍や呼吸数の著名な低下が認められ、注意深く観察しなければ安易に死亡状態と判断してしまうことも起こりえます、

《凍傷》
 現病歴や局所所見から診断は容易です。

●治療
《低体温》
 脈が触知可能であれば、気管内挿管などの外部刺激は心室細動、心停止を誘発するため避け、通常、循環血液量の減少があり、加温した生理食塩水を輸液します。
 復温には受動的復温法と積極的復温法があり、32℃以上では震えによる熱産出が起こるので、保温による受動的復温法の適応となります。
 積極的復温法はブランケット、温風送風、温水風呂などにより身体外部から加温する積極的外部復温法と、吸入気の加温、加温した輸液投与、加温液による胃、腹腔内、膀胱内洗浄などの身体の内部から加温する積極的中心復温法があります。
 外部復温法では、加温に伴い末梢血管が拡張して血液のpooling、循環血液量の減少が起こり、ショックとなる場合(re-warming shock)があり、また、加温より冷たい末梢血が体循環に入って、逆に核心温が低下すること(after drop現象)があります。
 高度低体温に心停止や心室細動を合併した場合では、ぺーシングや除細動の効果は少なく、少なくとも核心温が32℃以上になるまで、心肺蘇生法と積極的中心復温法を行い、心肺停止が遷延した場合では、経皮的心肺補助法(PCPS)を用いた体外循環による積極的中心復温が効果的です。

《凍傷》
 40〜42℃の温湯内に患部を浸して、末梢に十分に赤みが戻るまで10〜30分間温浴(急速加温療法)を行い、解凍時激しい疼痛が出現するので鎮痛薬を投与します。
 解凍後は局所の浮腫、水疱形成が起こるので局所は挙上して安静を保ち、水疱は可能な限り温存します。
 加温療法後は障害部位の壊死の予防、創の上皮化、肉芽化促進を目的として、交感神経ブロック、prostaglandin E1の静注または動注、低分子デキストラン、ヘパリン投与により末梢循環の改善を試みます。


★[減圧病]decompression sickness(DCS)★
【概念】
高圧環境下で血液中に溶解していた窒素が急激な減圧により過飽和状態となり、組織や血液中で気泡化した場合に起こる症候群です。

●発症機序・病態
形成された気泡の部位、大きさにより様々な臨床症状を惹起されます。
気泡は脂肪組織、関節とその周囲組織に生じやすく、組織内圧の上昇により関節内、筋組織、靭帯の疼痛を起こし、動脈内に発生した気泡は細動脈の閉塞により虚血を起こします。
静脈内に発生した気泡は補体、凝固・線溶系を活性化し、血管透過性亢進、血小板の凝集、DICへと発展します。
低温環境における潜水、アルコール摂取、過度の運動は本症の発症を助長します。

●分類・臨床像
減圧症は症状と発症部位により以下の2病型に分けられます。
 ´儀DCS
  軽症の場合には、皮膚からの窒素の拡散による皮膚掻痒感、静脈うっ滞による皮疹、皮膚の大理石模様などの皮膚症状を呈します(皮膚型)。
  気泡が関節腔、およびその周囲の組織に形成されると、関節痛やその周囲筋肉痛を生じます(運動器型)。
  主として、肩、肘関節に好発し、その痛みは身体を折り曲げて耐えるほどの激痛であるため、別名ベンズbendsと呼ばれます。

 ↓況DCS
 《中枢神経・脊髄型》
  ミエリンは、窒素溶解性に富み、減圧により中枢神経・脊髄実質内で気泡が生じ様々な神経症状を起こします。
  中枢神経型では頭痛、視力障害、構音障害、行動異常などを示し、脊髄型は腰部上部の脊髄が障害されやすく、下肢の運動・知覚障害、膀胱・直腸障害、背部痛、腹痛などを示します。
  脊髄型は治療に抵抗して後遺症を残すことが多いです。

 《呼吸・循環型》
  低圧、低流速の静脈系では気泡が生じやすく、肺動脈内に集積した気泡は呼吸困難、咳嗽、胸部痛などを起こし、さらに、重篤な場合にはチアノーゼ、低血圧などのショック症状を呈します。
  この場合には、肺塞栓症に類似した所見(中心静脈圧、肺動脈圧の上昇、心電圧上右心負荷像、呼気炭酸ガス濃度の低下)が認められます。

 《内耳型》
  嘔気、幻暈、眼振、難聴、耳鳴りなどの迷路障害による症状を呈する型です。

●診断・鑑別診断
高圧環境(水深10m以上、または1kg/cm2以上)から急激な減圧を行った後に、6時間以内(2時間以内に95%が発症)に上記症状が出現すれば、本症と診断可能で、また、素潜り(息こらえ潜水)では減圧症は発生しません。
鑑別上問題となるのは動脈空気塞栓症arterial gas embolism(AGE)で、減圧時に長く息こらえを行うと肺胞内圧が上昇して肺胞が破裂、空気が肺静脈から左心系に入り、減圧症類似の症状を呈します。
AGEは水深10m以下の軽微な高圧環境からの減圧過程でも起こり、減圧直後に症状が出現すること、痙攣、意識障害などの神経症状の出現から鑑別します。

●治療
高圧治療装置を用いた再加圧治療が唯一効果的な方法で、早期に実地するほどその効果が期待できます。
高圧環境下に再度暴露することにより、気泡体積を圧縮して機械的な閉塞を除去し、再溶解を促進させ、同時に、血液酸素分圧を上昇させて組織の低酸素症の改善にも効果があります。
具体的には日本高気圧環境医学会の「減圧症および減圧症に伴う空気塞栓症に対する再圧治療に関する勧告」に従って治療します。
その他再加圧療法までの補助的治療として、窒素の洗い出しを目的とした酸素吸入と輸液療法、血栓症やDICに対して抗凝固療法を行います。

●コラム:減圧病
かつて本症は発生しやすい作業名から潜函病caisson diseaseや潜水病diving injuryと呼ばれていましたが、現在では減圧病として統一されています。

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