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カープネタ架空記事 横山編

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中国新聞記事 カープを支えた男達 第15回 横山竜士さん(43)2019.08.12

前回、前田智徳さんの直撃インタビューの為、延期になっていた元カープ投手横山さんの居酒屋を取材する事にする。
前回の記事で、急遽取材を取りやめたため、怒りの横山さんから編集部宛にヘビの入った小包が届けられた事は皆さんご存知だと思う。
警察まで出動する事態となり一歩間違えればテロである。
再度こうした事態を起こさぬ様、今回は元野球評論家でカープOBの安仁屋 宗八さん(75)と一緒に取材に向かうことにした。
現在、安仁屋 さんはご隠居の身で一ファンとしてカープを応援している。かつて投手コーチとして指導にあたった横山さんの事が気にかかっていたそうだ。(本心はタダ酒が飲めるだけだと思うが)

陽もほぼ暮れた頃、中区のある繁華街の一角に数日前にオープンした横山さんのお店に到着した。
腐食させた銅板の看板には「IZAKAYA YOKORYU」の文字が刻まれている。
いかにも横山さんといった感じの、ちょっと見クラブ風のたたずまいのお店である。
お店の中に入ると、赤のTシャツのユニフォームを着込んだスタッフが忙しそうに動いている。
厨房に目をやると、同じTシャツに鉢巻きといった出で立ちの横山さんが、こちらを見つめていた。
「待ってましたよ、今日来てくれなかったら、またヘビを送りつけようと思ってたんですよ」
危機一髪で、非常事態は回避出来たようだ。

横山さんは現役時代、先発、リリーフと大活躍したが、やはりリリーフエースてしての印象が強い。
肩に不安を抱えながら、歯を食いしばって投げる姿は今でも鮮明に覚えている。
36歳で引退後、3軍コーチを5年間勤めた後、長年の夢だった居酒屋をやっとオープンさせたのだ。
野球選手から居酒屋への転身はやはり大変な苦労があったのであろう、額に刻まれた深いシワと密度の減った頭髪が物語っているようだ。

丁度、横山さんの正面にあたるカウンター席に通され、繁忙時で手が離せないため、仕事をしながらの横山さんに色々と話を伺うこととなった。
店内には、ロックの音楽が流れ、お客さんの年齢層は比較的若いようだ。
「店長横山お薦めコース」を頼み、お通しに箸をつけながら安仁屋さんと生ビールで乾杯。
朝10時からの仕込み作業で横山さんの一日は始まる。
「まず、厨房(ブルペン)で仕込み(肩つくり)をして、本番に備えるんです」と横山さん。
「ほんとそうですよね、ブルペンでしっかり汗をかくことが大事ですよね」と安仁屋さん。
最初に出てきたのは刺身の盛り合わせ。「魚に関しては色々と浅井さんにお世話になりました」
続いて出て来たのは、地鶏の唐揚げだ。「これは山崎さんとこから仕入れているんです」
噛むと肉汁がジュッと溢れ、非常に柔らかい肉質は絶品である。
「走り回らない様に、ずっと地面にへばりつくように育てている」為、肉質が非常に柔らかいのだそうだ。
お店の定休日は、居酒屋としては珍しく月・木と二日間もある、その理由を横山さんに聞いてみると
「3連投以上はしない」との返事が返ってきた。
「横山はねぇ、大事に使って欲しいですよね」と安仁屋さん。
ここで急に店内のBGMがサブちゃんの演歌に切り替わった。「気分転換」と笑う横山さん。

「ここら辺でね、変わった酒でも出て来たら面白いんですがね」
安仁屋さんの声が聞こえたかどうか分からないが、「これ試してください」と奇妙な焼酎が出て来た。
「これヘビ酒なんです、滋養強壮にいいですよ」アオダイショウを生きたまま焼酎に浸けているのだという。
「ヘビはね僕が由宇の山で捕まえてくるんですよ、手掴かみでね」
これか、編集部に送られて来たのは、と思いながら恐る恐る口に運んでみた。
思ったより臭みもなく、飲み干した後体がカッと熱くなるのを感じた。
「体がカッとなるでしょ、カットボールみたいなもんですよ」
「インコースをズバッと攻められたみたいですね」と安仁屋さんも満足げのようだ。
お酒も料理も進んで行くうちに、いよいよ本日のメインディッシュとなった。
最後に出て来たのは、牛の肩肉を緩く焼いたものだった。
「これが、ルーズショルダー焼きです、僕の野球人生が全て詰まってます」
正に、究極、至高の言葉がピッタリの味であった。作った人の人生が表現された逸品である。
海原雄山も、山岡四郎も絶賛したに違いない。

夜も更け、閉店時間が迫った頃、取材を終えると同時にお別れの時間を迎える事となった。
これからも頑張って下さいとの投げかけに「故障しない様に頑張ります」と笑って返した横山さん。
帰路に向かう我々を、お店の前で見送ってくれた横山さん。ありがとうどざいます。
帰りのタクシーの中で、ほとんど泥酔状態の安仁屋さんに、「横山さんらしいお店でしたね」
と話しかけてみると、 眠っているはずの安仁屋さんの口が、
「ほんとそうですよね」と動いたように見えた。

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