4月24日の密室での「勉強会」には、資源エネ庁や電気事業者の人物が参加していたとのこと
『表紙に「取扱注意」と記載された報告案の原案が配られ、再処理に有利になるよう求める事業者側の意向に沿って、結論部分に当たる「総合評価」が書き換えられ、小委員会に提出された。政府がゼロベースの見直しを強調する裏で、政策がゆがめられている実態が浮かんだ。』
勉強会で配られた書類に関して、具体的に記述されています。
- 報告案の原案
- 「取り扱い注意」と表紙に記載
- 結論部分の「総合評価」が書き換えられ小委員会に提出
「書き換えられ」という表現を用いていますね。この「原案」と後に小委員会に提出された「報告案」の内容が異なっていたのでしょうか。
『 小委員会は修正後の総合評価を踏襲して取りまとめ、23日、「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)に報告して事実上解散した。近く政府のエネルギー・環境会議に報告される。』
- 4月24日 「勉強会」報告案の原案修正
- 4月27日 原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第13回)
- 5月23日 新大綱策定会議に報告。小委員会解散
- 今後 エネルギー・環境会議に報告予定
という日程ですね。
『 毎日新聞はA4判79ページの資料を入手した。表紙右上に「4/24勉強会用【取扱注意】」、表題は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第13回)」で、4月27日に論議される予定の報告案の原案だった。』
やはり、毎日新聞は資料を入手して調査したようですね。
このページには、4月27日に「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第13回)」が開かれたことが記されています。その様子は以下の資料で読めます。
この4月27日の小委員会に提出する報告書が、4月24日の「勉強会」によって修正されたものであると毎日新聞は主張しているのですね。
さて別の報道も見てみます。
上記の4月24日の「勉強会」を目撃した記者のレポートですね。
毎日新聞 2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 18時52分)

『扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】』
ここで書かれている「なぞの文書」が「取り扱い注意」と書かれた報告書の原案だったわけですね。
『 ◇反対派批判、一斉に笑い
4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。』
原子力推進側に属する人物のみが参加していたと。
『 青のワイシャツ姿の男が脇に書類の束を抱えて入室してきた。机にどんとおろす。一山にすると崩れるからか二山に分けて置いた。高さは片方が20センチ、もう片方が10センチぐらいだろうか。後に判明した事実によると、文書は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報告案の原案。実際に審議されたのは14日も先だ。』
具体的に勉強会が始まる前の雰囲気を記述してあります。記者が「俺は目撃したんだぞ」という証拠を示しているということですね。
『2人の内閣府職員が「ロ」の字に並べられた机の上に1部ずつ原案を配布していく。電事連幹部らが笑顔で受け取る。扉のすぐそばに座っている高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」幹部は熟読していた。やがて雑談が始まり、1人が反対派の論客である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らの名前を挙げ批判すると、一斉に笑い声が起こった。』
出てきた名前は、飯田哲也氏以外は誰なんでしょうね。「ら」の部分が気になるわけです。飯田哲也氏は大阪府市エネルギー戦略会議の座長代理で特別顧問を務めていますね。利害関係があるのは、関西電力や日本原子力研究開発機構などです。とすると「ら」の部分は、古賀茂明氏を含む大阪府市エネルギー戦略会議のメンバーなのではないかと推測できます(だからって何の役にも立たないんだけどね)。
「六ケ所をやめて直接処分にするとあちこちが大変になる」と強調する幹部。再処理事業が破綻すると、六ケ所村に貯蔵中の約2919トンの使用済み核燃料は施設外に搬出しなければならないとされる。』
六ケ所村の再処理工場には、使用済み核燃料の中間貯蔵施設があるのですね。これは、青森県と事業者の間で覚書が交わされていて、それにのっとって使用済み核燃料は一時的に置かれてるわけです。
それについてはこのブログでも過去のエントリーで説明してあります。
『1998年の青森県と事業者などの覚書では、再処理が困難となった場合、使用済み核燃料をすみやかに持ち帰ることになっている。』『再処理を止めて約3千トンの燃料が戻れば、原発は動かせなくなる』(日本経済新聞2012年3月19日朝刊 事実確認済み)
この覚書を人質にして、「再処理(プルサーマル)」の存続を意味する「再処理・直接処分へ依存」政策を、小委員会の結論にすることを要望したというわけです。
当然、原子力ムラからすればそれ以外に選択肢は無いわけで。こういう発想であることは周知の事実なわけですが。それを密室の会議において要求しているという実態は、行政と事業者の関係としては行き過ぎていますね。
おそらくこういう「勉強会」は何も今回特別なものではなく、これまでも当たり前のように続けられてきた慣例であるように思います。慣例というものはそれに従っている側にとってはごくごく当たり前のことであるわけで。
だけども、3.11以降、国民が今後の原発政策のあり方に注目し公明にやってほしいと願っている中で、行われ続けているわけで。
その国民の要求を理解できなければ、おそらく彼らはボロを出し続けることになるでしょう。九州電力や保安院がおこなっていた「やらせ」も慣例であったでしょうし。
このような国民の視線を避けて行う「勉強会」という慣例がなければ原発政策が立ち行かなくなるというのであれば、民主主義に反しているといえるわけで。
『小委員会は今月23日、新大綱策定会議に併存に有利な表現の並んだ「総合評価」を盛り込んだ取りまとめを報告した。経産省関係者は「再処理しても最後はごみを捨てなければならない。政府と役人が一体となって最終処分場を造るために汗を流さなければならない時に、時間稼ぎに過ぎない政策を推進している」と嘆いた。』
最終処分場を作らなければいけない。だけども候補地すらが見つからない状況であるわけで。そういう事情を印籠にして、原子力ムラは「先送り」をすることをあたかも正しいことのように主張するわけですね。
根本的な原因は原発を運営していることこそにあります。そこに原子力政策の問題の根源があるわけです。だけども、不思議とこの世の中では、原理原則に反していると主張することが嫌われたりもするわけで。
- 原理的な反原発 原発即時停止
- 現実的な脱原発 段階的停止
まあこのように大雑把に分離できるわけですが。そこで原理的な意見は嫌われたりもすると。
だがよく考えてみてください。原理原則に反した土台の上に家を立てることは違法建築となります。その上、改築し続けていくと、改築した部分も違法です。そういう意味で現在の原発は、法律には違反していませんが(法律は原発に有利に作られているからですね)、使用済燃料の処分方法がない、というあまりにおそまつな欠陥を抱え続けて今日まで来ているわけで。
原理原則がどれほど重要なのかがよく分かる事例として「原発」はあるわけです。
だがその原理原則は嫌われるという。なんとも馬鹿馬鹿しい世の中です。
『 ◇「うっかり」は通用しない
長期的な原子力政策を論議する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案が原発再稼働の妨げになるとして隠蔽(いんぺい)された問題を毎日 新聞が報じた(8日朝刊)際、近藤氏は主に二つの理由から「問題ない」との見解を示した。しかし、秘密会議問題で発覚した経緯に照らすと、今度は同じ弁明は通用しない』
先日同様に、事前に原子力推進側だけに情報をもらしていたことを毎日新聞が追及していました。
『経緯を箇条書きにする。
議案に「(原子力と)地域社会との共生」があった。
- 極秘で事前に、推進側の経産省資源エネ庁と電気事業者側に議案を提示
- 推進側の経産省資源エネ庁と電気事業者が「やめてほしい」と依頼
- 議題を隠蔽した
「地域社会との共生」という議題では、「地域とはどこか」という論争が起こる可能性があると(当然起きるでしょう)。だから外して欲しいと考える人達がいたわけですね。
外すように要請したのは、
これら2者の言い分を聞いた上で、近藤駿介氏が議長を務める「新大綱策定会議」での議題からは外したわけです。議題に上って、議事録に議論が掲載されればそれが報じられることになるわけですからねえ。』
今回と同じ構造です。
これについての近藤氏の弁解はこうでした。
近藤氏は電気事業者に渡った点を不適切としながらも「議案ではなくメモ。議案なら(パソコンのプレゼンテーションソフトである)パワーポイント形式にする」「事務局がメモをうっかり電子メールで流してしまった」などと釈明した。