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こ→『恋』小池真理子
恋。直球なタイトルだけに、初めから終わりまで主人公の恋だ。
若い頃の恋は、みんな似ているようで、似ていない。100人100様のようでいて、似通っている。
惚れた相手によって、変化のしかたは大きく違うが、誰が相手でも真中にいるのはいつも自分。そんなことを考えさせられた一冊だった。
そして『心も身体の一部なんだなあ』ということ。五感を通して恋をする、という感覚が濃密に描かれている。この辺は好みの別れるところかもしれない。
事件が『あさま山荘事件』(1972年)と並行して書かれているのも興味深かった。安田講堂が落城し、よど号グループが北朝鮮に亡命して以来学生運動は下火になり、一方で生き残りの組織は過激化していった。そんな時代に、当時の若者(つまり団塊の世代)は、運動をやったりやらなかったりしながら、それぞれが『自己の革命』をも同時進行させていたんだろうな、と思った。『団塊の世代』と聞けば、漠然と全員が学生運動経験があるかのように思ってしまうが、よく考えれば当然だけどいろいろな人がいたわけだよね。どうしても声の大きい人が世代の代表みたいになってしまうけど。
連合赤軍事件(あさま山荘事件を含む)という悲惨な敗北を遂げた後、過激派闘争はどんどん衰退し、若者は革命なんて言わなくなった。折り返し点となる大事件の陰でのもうひとつの個人革命。そういう側面も持たせたことが、この話に深みを持たせている。
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