ラストエンペラーの聞かなきゃよかったハナシ。
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映画「ラストエンペラー」はわすか三歳で即位した清朝最後の皇帝・溥儀の流転の生涯を卓越した脚本と 演出で見事に描ききったアカデミー賞9部門に輝く不滅の名作である。 しかし当初から批評にあったとおり、史実より脚色された部分も多々ある。 それに関し異を唱える気は毛頭ないが、映画外の史実や側面もあまりにも面白く、 尚且つ不気味な色彩をはなっているので、ここに列記したい。 ■皇帝時代の溥儀の素行は誉められたものではなかった。 劇中でも印象深い「臣下に墨汁を飲ませる」シーンはあったが、砂を食べさせようとするなど 幼児であり(宮廷では)最高権力者であるというアンバランスさが生む危うさを感じさせる。 ■正室と側室の仲は円満とはいかなかった。 劇中では正室・婉容と側室・文シュウの仲は睦まじく描かれていたが、ふたりの不仲が文シュウの 離婚の申立ての理由とも言われる。ちなみに文シュウは後に貧困の末、餓死している。 ■正室の生んだ子はボイラーで焼き殺された。 溥儀は一説に女性に対して性的不能であったという。そのせいか正室・婉容は愛人を持ち、 不義の子を宿している。劇中ではその子は出産直後に薬殺されたかのような描写であったが、 史実ではボイラーに投げ込まれ焼殺されている。しかもそれは溥儀の命によるものであった。 ■溥儀の弟・溥傑の娘は後に心中事件を起こし話題になった。 溥傑と日本人華族出身の嵯峨浩の間にはふたりの娘が生まれた。 だが長女の慧生は19歳の時、日本人学生の大久保武道と拳銃による心中事件により 命を落とした。この事件は「天城山心中」と題され、純愛物語として世間の脚光を浴びたが、 嵯峨家からは「無理心中である」という主張が出ており、真相は謎のままである。 以下は余談になるが、坂本龍一演じる甘粕正彦大尉は戦国時代に上杉家の猛将として 第四次川中島合戦で名をはせた甘粕景持の子孫である。 劇中とは違い、史実では服毒自殺であるが、その場にて甘粕大尉の監視役をしていたのは 赤川次郎氏の父・孝一氏であった。 史実を映画化・作劇化する際の脚色はえてして批判の的となりがちだが、優れた脚色をもって 傑作となった作品もまた多い。「ラストエンペラー」も史実と食い違うとは言え、不動の傑作で あることは間違いない。 |

