Talk about my Thought and Days

作家志望の経理事務員による「備忘録」的エッセー集 Twitterでもwritelefthandで発信中

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5/24 映画「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」が起こした邂逅inシネマスコーレ

今世紀最大のインディペンデント映画(笑)、「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」。
4/29に観賞してからすっかり虜になり、5/4の監督他関係者舞台挨拶にも駆けつけた。
のれるイベントにのって楽しませてもらったのだが、ネットにどんどん新しい映像がアップサレ
ツイッターでのつぶやきハッシュタグ「#4SR3」でのつぶやきもおさまらず
絶えることなく焚き木はくべられるばかりだった。
そんな中5/15に新宿でライブが行われると情報が出るが、平日では行くことができない。
残念に思っていると、主役のマイティこと奥野瑛太氏が5/13.14と名古屋に再訪し舞台挨拶をするという情報が。
13日は行くことができず、14日もシネマスコーレの上映は昼間で舞台挨拶は観られない。
しかし、終業時刻と舞台挨拶の時間を比べると、もしかしたら舞台挨拶直前に滑り込んで
奥野氏にお会いすることができるかもしれない、と思い何とか仕事を終わらせ駅に向かった。
いつも使っているJRは遅れていたが名鉄に切り替え走らんばかりにシネマスコーレに向かうと
ちょうど、中に入ろうとする奥野氏がいた。時間にして1、2分、エールを送ることができた。
29日にお会いした私のことを覚えていてくださり感激だったし
大阪での宣伝活動を終えた奥野氏にハングリーなオーラを感じた。
 
そして15日のライブ映像がアップされたものや監督他スタッフによるコメンタリーU-streamなどを観て
もう物語を終えて日常に戻るところだと思っていた。
そこで目に入ったのが、日本一サイタマノラッパーシリーズを上映している映画館、シネマスコーレのブログ記事
ボランティアスタッフさんや映画館スタッフさんによるトークショーがあるというではないか。
ゴールデンウィークの裏側が聴けるかもしれないとあっては、行くしかない。
 
5/24、18:30開演に間に合い3回目となる映画鑑賞。同じ映画を2回観たことは何度かあるが、3回は初めて。
正直に言えば、あまり観たくない暴力シーンやきまずいシーンは寝ていたいぐらいだった。
しかし、結局は全てを観ることに。3回目にして改めて感じたのは、映画のテンポ良さだ。
おかげできまずさを感じるシーンが短時間で終わるとともに、感情が何度もゆさぶられることになる。
おまけにヒップホップ楽曲をいくつも使うことで、人の情動を動かしやすい創りになっているのではないかと感じた。
エンドロールでまたも胸を熱くして上映終了。
そして、トークイベントが始まった。
 
第一部はシネマスコーレ若手スタッフさんのトークからの、宣伝部隊さんのトーク。
主役奥野氏ことマイティとみなさんが食べたというお菓子をつまみながらという手作り感満載のイベントが開始。
最初の若干間延びしたトークから、宣伝部隊さんそれぞれでは自己紹介でフリースタイルラップを打つ方がいたり
マイティの批判もとんだりして笑ったあと、映画館スタッフさん&支配人さん登場の第二部に移った。
内容は支配人さんの鋭すぎる批判もあり詳しくは控えるが
サイタマノラッパー一作目を上映するまでの話などがあり、興味深く聴いていた。
と、話の終わりがけにマイティの顔がスクリーンに映し出される。
さすが、マイティのコメントがあるんだなぁと思っていると、スタッフさんがマイティに話しかけ始めた。
なんと、スカイプを通じて東京にいるマイティが名古屋シネマスコーレに登場したのだ。
心の底から驚き、そして嬉しかった。まさかマイティにまた会えるとは。
さらにいろんなスタッフがマイティと話し、ついに会場のお客にまでマイクをむけたのだ。
このチャンスは逃せない。ちょっと間があいたところで手を挙げて、マイティとお話しすることができた。
気が高ぶって一方的に言葉をぶつけてしまったが、思いは伝えられたのではないかと思う。また胸が熱くなった。
そうしてマイティのフリースタイルラップが披露され
スタッフさんから「こっちもがんばるよ」と愛あふれる言葉が投げかけられて、イベント終了となった。
 
すぐに帰るのも勿体なくて館内の壁に貼られた写真を観たり、登場人物の絵が描かれたキャップの写真を撮ったり
ツイッターでマイティにメッセージを送ったりしていたら、なんともう一回マイティとスカイプをつないだのだ。
そして、劇場アルバイトさんを中心に、第一作の劇中歌「教育金融ブランニュー」をマイティに聴かせるという
ありえない祭りが起こった。ここまできたら騒ぐしかない。5/4のミニライブ同様声を出しまくった。
そしてマイティとさよならした後なんとなく帰りづらくてうろうろしていたら、宣伝部隊のみなさんとお話しし
ツイッターで相互フォローすることに。まさか映画を通して知人が増えることになろうとは。
このことを除いても、この数週間感じていた思いを、同様の思いを感じている方々と共有できたのは
それだけで嬉しくなる体験だった。懐深くお話ししてくださったみなさんに心から感謝している。
 
ライムスター宇多丸氏が自身のラジオ番組で「この映画は現実を巻き込む力がある」と評しているが
まさに私もこの映画に巻き込まれている。24日にお話ししたみなさんもそうだろう。
また、出演者のみなさん、特にマイティもそうだ。
記事では奥野氏と名前を出すようにしているが、名前を呼ぶときはみんな彼をマイティと呼ぶ。
願わくば、次に名古屋へお越しの際は、奥野さんもしくは新しい役名でお呼びしたいが
なんであれ彼が名古屋を来訪するときには、駆けつける人たちがいるだろう。
これは、ちょっとしたコミュニティといえるのではないだろうか。SRコミュニティ。
それだけ人の心をひきつける映画なのである。
名古屋・大阪の上映は終わってしまったが、お近くで上映している方はぜひ、映画館へ足を運んでほしい。
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「レンタネコ」公開直前 系譜映画一括レビュー

今週土曜日から公開になる映画「レンタネコ」
映画「かもめ食堂」の荻上直子監督の最新作であり、私の人生ベスト級ドラマ「すいか」から連なる
小林聡美映画作品の最新作である。といっても、今作の主役は市川実日子であるのだが
彼女も系譜映画の常連だし、作品の雰囲気も近い。
「すいか」に惚れこんだ身として、系譜映画はほとんど全部観ているのだが
感想をまとめたことがなかったので、ちょっと端的ではあるが一気にまとめてみたい。
 
ヘルシンキで食堂を営むサチエの元に、ミドリ、マサコという女性が巡り合い食堂で働くことになる物語。
40代以上の女性が集まって、元の持ち味のまま演技して、どことないおかしみと幸福感を生み出すというのは
当時のエポックメイキングだったのではないだろうか。
おおきな事件のない、普通の人(とはちょっとずれているかも)の日常を描いていて観ていて心の澱が取れる。
おにぎりやコーヒーがおいしそうなのもよい。
 
南の海辺に降り立ったタエコが、風変りな風習を持つ土地の人と交わり、徐々にたそがれを覚えていく物語。
この話はちょっとくせがあった。「メルシー体操」など土地の人の風習に笑いどころはあるのだが
主人公タエコが彼らの同調圧力が嫌になり別の場所に行こうとするも、行った先はさらに窮屈なところで
移動手段もない彼女が歩いていることろを、もたいまさこ演じるサクラが通りがかり
自転車の後ろに乗せてもらうシーン。あれは助けられた形になっているが
私はあれを屈服・恭順のシーンと感じた。それ以降タエコは一緒に体操などもするようになるのだ。
自分たち独特の行動様式を無条件に肯定し、それに加わらない人間を異物とするのは
観ていてだんだん違和感を覚えた。村上春樹「ノルウェイの森」にあった表現だが
首を少し傾けて眺めていれば、正常に見える世界。
その世界を見続けていると、今までの日常に戻るとき首を逆方向に傾けなければならなくなる世界の話だった。
 
チェンマイのゲストハウスで働く京子の元に、娘・さよが訪ねてきて
彼女の滞在する5泊6日の間、プールに集う5人の物語。
娘も含め今までの生活を全て捨ててチェンマイに来てしまう京子。
さよが京子になぜ自分を置いてチェンマイに来たか訊ねられ、出した答えが「そうすべきだと思ったから。
人と人はいつも一緒にいることだけがいいことだとは分からないし」と答える。
身勝手といえば身勝手な発言だが、最終的にさよは自分の気持ちと折り合いをつけられたようであり
「すいか」的な、人生のおかしみを見出していける作品だった。
「すいか」では自分の人生に煮詰まっていた主人公を演じていた小林聡美が
ここまで言うようになったか、という、物語をごちゃまぜにしたおもしろみも感じていた。
ただ、それが映像を中心にまとめられているのでDVD観賞では伝わりにくかったので、映画館に行けばよかった。
また、もたいまさこ演じる菊子の余命いくばくもない、という設定は余分に感じた。
だって、ちっとも余命いくばくもない様子に見えないのだ。
物語上の意味はあるのだが図上の説得力がほしかった。
 
京都に暮らす7人の日常が交差する様子を描いた作品。
これは、実は一番の問題作であり逆の意味で観るべき映画である。
なにがすごいって、物語がないのだ。登場人物たちは、セツコのバー・タカコの喫茶店・ハツミの豆腐屋を訪れ
飲食をし、会話をし、また道端や公園で出会って会話をする。これだけが延々続くのだ。
昔私は、映画「崖の上のポニョ」をアンチストーリーテリングと酷評した
アンチストーリーならぬストーリーレス映画があったとは、驚きである。
そればよくわかるのは、セツコのバーに加瀬亮演じるヤマノハが来て
職場で突然いなくなってしまった人の話をする下りだ。
いなくなってしまった人から、自分の携帯に一度だけ着信があって、どうすべきかセツコに相談する。
ドラマ性を盛り上げるのであれば、同僚との電話や実際会うシーンを入れるのだが
そうとはせず、セツコに会ってきた結果だけを報告するのだ。わざわざドラマ性を排除しているように感じた。
おかげで、観賞中お手洗いに行こうが、外で食事をして一時間後に帰ってこようが
相変わらず似たようなことをやっているので、ある意味問題なく観賞に戻れる。
観葉植物のような映画だ。
 
女優トウコが行く先々での人々と出会いを描いた作品。
これもとらえどころがない作品だ。トウコが人々と出会って成長したりするのではなく
むしろ彼女は触媒となって、出会った人々がふだん口に出せない思いを解き放っていく。
それぞれの人物が口にする台詞は悪くないし、この系譜お得意のおかしみはあるのだが
いかんせんこれも見世物要素や物語性に欠けている。
たまたま出会った人々なため、主人公トウコも含め登場人物たちのバックボーンがわからず
台詞の説得力が薄く、会話がほどんどなため物語性も薄いのだ。
唯一原田知世の自分語りは観ていて心が上がったが、それは彼女自身の魅力と
長回しでの自分語りによる本物っぽさがうまく作用したように思う。
一つ問題なのは、画にそれほど手間がかかっていなさそうなことだ。
特に冒頭、加瀬亮演じるナガノの主観シーンとして、運転シーンやコンビニの買い物シーンがあるのだが
画像が荒くぶれもあって、観ていて気分が悪くなりかけた。正直これはDVDレンタルで十分だった。
問題なのは、これのブルーレイ特典に、映画以外の話が挿入されているらしいのだ。
一回は覗いてみたいのだが、わざわざ購入するのも……。
 
長々書いてきたが、最新作「レンタネコ」は、特に新作2作で問題にした見世物要素・物語性は
けっこうクリアしているような予告編だった。
なんせ、小林克也が老婆役なのだ、予告編の映像だけで笑ってしまった。
「かもめ食堂」のように、大ヒットとはいわずともこれらの映画を求める人たちには
ジャストミートする映画になってくれるのではないだろうか。期待せずにはいられない。

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5/4 映画「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」祭りin名古屋

史上最大のインデペンデンス映画、「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」
5/4には入江悠監督など、出演者が大挙して名古屋入りし上映館のシネマスコーレでの舞台挨拶が決まっていた。
これはぜひ、監督の舞台挨拶も見たいと思っていたらさらなる情報が。
公式ホームページ内にあるラジオ番組、ブロッコRADIOにて朝から名古屋入りして宣伝活動するとのこと。
これは追いかけるしかない、ということでにわか追っかけをすることに。
 
なにはともあれ映画のチケットを買わないと肝心の映画が見られないので
朝、10時半頃名古屋駅へ。映画館に行くと既に補助席だと。私の番号は57番。
通常の席は51席なのでぎりぎり。SRファンの熱を感じた。
余談になるが、映画館の前にあるオフィシャルグッズ売り場マイティショップに
「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」に何度もご出演のちゃんこみさんがいらっしゃる。
番組ファンとして予想外の光景に度肝を抜かれた。びっくりしすぎて声かけれず。
驚きはさておき、次は名古屋城へ。最初は、わざわざ中に入らず門の前でチラシ配りをしているものと考え
城を一周してみたが、誰もいない。これは中か、と入場してみたら、いた!
総勢十数名がおのおのサンドイッチに映画の立て看板をまとって練り歩いていた。
宣伝の声を出しているわけでないため、知らない人からすれば、なんだあれはという姿であることは否めなかった。
特に、上半身半裸+モヒカンというのはいかな衣装とは場違いという印象はぬぐえない。
武将演武イベントの観覧に交じって看板を掲げていたら、ちょうど武将が観客に東海三県以外から来ている人を訊ね
「あの者たちは間違いなく埼玉じゃな」と突っ込まれていたのに笑ってしまう。
 
さて次は金山駅ということで追っかけ。
金山駅に隣接する施設アズール金山に行ってみたら、SRクルーが来た。
ちょうど我が家が出演するテレビ番組の収録がありどうなるかと思っていたら
カメラの後ろをクルーが通った。その様子をツイートしたら後から上鈴木拍周さんが
「もちろん!バッチリ絡んでもらえました!」とツイートしてくださった。
その後イベントの脇で看板を吹き抜けからぶらせげていたら、警備員に咎められてた。
オフィシャルブログによるとイベントに乱入しようとしていた模様。それは……(汗)。
とここで、私の携帯の充電が切れてしまったためいったん帰宅。
どうやらその間名古屋駅でチラシ配りをしていたそう。行けばよかった。
 
20時からの開始に備え、30分ぐらい前にスコーレへ。
館の前には既に人だかりができていたが、開場直前には通行する車の邪魔になるほどだった。
それほど広くない道に60名ほどが集まれば当然なのだが。
番号が呼ばれ入場。そいうえば4/29はこの番号コールを主役奥野氏ことマイティがやってびっくりした。
映画は二度目ということで、細かいところもちゃんと見られた。
いとうせいこうやくりーむしちゅー有田など、友情出演者も確認。
突っ込みどころはやっぱり気になったが、クライマックスからエンドロールにかけては
二度目でも胸が熱くなってしまった。
泣きはともかく、笑いどころでは一度目以上に笑い声が起き、感覚の共有という映画館ならではの体験ができた。
 
そしてお待ちかねの舞台挨拶。
入江監督の挨拶もそこそこに、ラッパー役の役者方が入場し
映画内ユニット「征夷大将軍」のライブが行われることに。
まさかのオールスタンディングで、映画館がたちどころにライブ会場になってしまった。
さらにもう一つのユニット「極悪鳥」のメンバーも入場し、もう一曲披露された。
これはもう最高潮に盛り上がる。メンバーの一人が客席に突入し椅子に片足乗り上げるパフォーマンスまで。
実はその方はラッパーではなく役者なのだが、さすがといおうか。
おかげで、シネマスコーレが映画内の極悪鳥ライブシーンのようになっていた。
この盛り上がりに乗ろうと必死に声を出したおかげで、終演後喉が痛い。
映画を観に行って喉を枯らす体験など、めったにできるものではない。
終わってみたら会場はすごい熱気だった。
当日急に決まった、二順目の上映のお客さんは不快だったのではないだろうか(苦笑)
 
以上、非常に楽しい祭りを経験させてもらった。
名古屋周辺にお住まいの方はシネマスコーレに。それ以外の方はそれぞれの地域で。
ぜひ観賞していただきたい。そこいらのメジャー映画よりもずっと熱い作品なのだ。
音楽映画としても一級品で、これが映画館で観るべき理由の一つだ。心の底からオススメです。
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スクリーンを超えた映画体験 映画「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」レビュー(ネタバレあり)

自主制作映画で、現在屈指の活況を呈している映画「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」
4/28から名古屋シネマスコーレでも公開が始まった。
私は昨日観賞したのだが、そこで文字通り映画がスクリーンを超えてくる体験をした。
どのように映画を迎え観賞し号泣に至ったのか、映画の感想も交え詳細に記しておきたい。
 
映画は2009年公開の映画「SRサイタマノラッパー」の最新作であり、シリーズ完結作。
第1作で主人公たちと別れ東京へ行ったMC MIGHTYのその後を描く作品である。
主にPodcastだが愛聴しているラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」でシリーズの存在を知り
その時点ではそこまで意識してはいなかったが、ラップがなんとなく好きな身として
最新作は観に行こうかな、となんとなく思っていた。
それがなんとなくではなく、絶対行こうと決意したのは映画の特報映像を観たときだ。
インパクトのある音楽がかっこよく一発で魅かれた。そして映画の内容にもがぜん興味が湧き
これは絶対映画館に行くべき映画だと、近くで公開されたら行こうと心に決めた。
 
映画公開時期がわかり、一番近い映画館は名古屋シネマスコーレであることがわかった。
名古屋まで映画を観に行くのは面倒といえば面倒だが、相手がこの作品ならおつりが来るはず。
当初は公開初日に行くつもりであったが、公開初日主役MC MIGHTY役の奥野瑛太氏が来場するということで
観に行く友人と話し、込み合うことが必至なところに駆けつけるまでじゃないだろうということで一日遅らせた。
その一日の間に、この作品についてネットで他の人の感想などを読み
クライマックスはおろか結末までの情報を知ってしまった。
私はネタバレOKどころか、映画については事前情報を仕入れた方が着目ポイントがわかってよいと思っているので
ネタバレは全然OKだという考えを持っている。
今作についてはストーリーも分かったし、特報で気になった音楽に期待しようとすら考えて、名古屋にむかった。
 
ここから予想外の展開が始まる。
一週間前から名古屋に来て宣伝活動をした奥野氏が、なんと予定を延長して29日も名古屋に滞在していたのだ。
シネマスコーレの前でマイティショップを開き、映画サントラなどのグッズを手売りしていた。
こんな作品はそうそうないと思われるが、せっかくなので解説本を購入し、奥野氏のサインをもらい
握手してもらい、さらに一緒に写真までとってもらうというぜいたくな経験。得した気分で公開を迎えた。
すると公開直前に、支配人さんが挨拶される。
なんと、2日目も満員になった記念に、奥野氏が予定になかった舞台挨拶を本日もするというのだ。
友人と「今日にして正解だったな」などと話しながら幸運を喜んだ。
 
さてようやく映画本編だが、ヘビーに次ぐヘビーな展開に観ていて気が重くなった。
東京に向かったMC MIGTHYは極悪鳥というグループの下積みとなり雑用に追われながら舞台を目指すが
メンバーから裏切られ嘲笑を浴び、思わずメンバーの一人を殴り重傷を負わせてしまう。
ここからMIGHTYの転落が始まる。
行く先行く先で最悪といってもいいめぐりあわせを選んでしまうMIGHTYに共感はできなかったし
地方の悪徳集団も、あまりにも短絡的で存在感を疑ったりもしたが
いったんその世界に足を踏み入れてしまった者に、それ以外の選択を考えるのは不可能かもしれない。
MIGTHYの境遇を観ながらどんどん胸が痛くなった。
対して、1作目からの主人公IKKUたちがどれだけ、のどかでぼんくらで楽しそうなことか。
東京に行かなければMIGTHYにもこんな未来があったのかもしれない。
そして、クライマックスのフェスシーン。
正直、このフェスの存在自体は時間経過の描写がないこともあり、かなり疑わしく感じた。
いい加減な動機、そして運営とはいえ、一般人を出演させ観客も大々的に呼ぶイベントが
短絡的に開催できるわけがない。一般人ばかりが出演するイベントの集客力もどうなのだろうか。
半年ぐらい時間をかけ、企画・宣伝等行わないと、あれだけの人が来るイベントとして成立しえるのだろうか。
そのあたりの描写がないため、フェスそのものが砂上の楼閣に思えた。
しかしその部分を差し引いても、MIGTHY逃走の長回しシーンは圧巻だった。
そもそも金を奪って逃走というMIGTHYの発想そのものには全く同意できないが
フェスに忍び込んでからは、どうなるのかはらはらしながら見守った。
相変わらずMIGTHYの暴力などを止めない周囲の反応に疑念は感じたものの
シーンが切れないため緊迫感が途切れなかった。
そして、IKKUたちとMIGTHYが最悪の形で再会してしまうところでは胸が熱くなった。
そして、最後の拘置所でのMCバトル的なラップシーン。
これも監視員が暴れるMIGTHYたちを止めない問題点はあるものの
MIGTHYの言葉からラップをつなぎ、ついにラップの形で心情を吐露するMIGTHYの姿に涙した。
あの長回しの仕上がりのよさには拍手したい。
この展開まで、なんとなく知っていた私であるが、エンドロールが驚愕だった。
オープニングで流れた極悪鳥の曲にMIGTHYが自分の心情をラップしているのだ。
さらにその曲からIKKUたちの曲で流れるラスト。
映画に心を持っていかれている状態でこの曲を聴くのはたまらなくなり、涙がさらに流れた。
 
映画が終わり会場に明かりが灯る。
映画に拍手しようか迷ったが、MIGTHYのことを考えると拍手にためらいを感じてしまい拍手できなかった。
この時点で既に映画がフィクションであるかの境界が怪しくなっている。
そして、MIGTHYこと奥野氏の入場。最初に手を叩いたのは私である(笑)。
奥野氏がマイクを持つと、ラップが始まった。MIGTHYの心情吐露のラップである。
この瞬間、間違いなく映画がスクリーンを超えた。
あのMIGTHYが、今目の前にいるのだ。もう本当に涙が止まらない。
ウィークエンド・シャッフルでよく言われる、「号泣メーン」状態だ。
奥野氏の熱い思いもオーバーラップしてさらに胸が熱くなった。
 
映画館を出てマイティショップに立ち寄り、改めてサントラを購入した。エンドロールのラップが聴きたかったのだ。
奥野氏に泣きながら思いを伝え、握手してもらう。
その際耳に留まったのが、私の前にグッズを購入していた男性の言葉だった。
どうやらこの作品のことは知らず、スコーレで上映されている映画ということで来場した方とのこと。
映画を愛する映画館ならではの出会いを感じた。
 
こんな映画体験、なかなかできるものではない。
また一応小説を書く人間としては、媒体は違えど物語の力というものを感じられた体験だった。
この「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」は、この体験も含め生涯ベスト級の快作となった。
以下の写真は、グッズ購入でゲットしサインをしてもらったトレーディングカードである。
これも、思い出と一緒に大切にしたい。
 
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笑いに笑った115分 映画「宇宙人ポール」

イギリスのSF作家、グレアム・ウィリーとイラストレーター、クライヴ・ゴリングスは
昔から夢見ていたアメリカへ旅行に来て、コミコン(日本のコミケっぽいイベント)に参加し
UFO・宇宙人関連の土地を巡るロングドライブに出た。
ある夜走っていると自分たちの車を追い抜いた車がいきなりクラッシュ。
運転していたのはなんと、短パンをはいた宇宙人だった。
地球脱出を望む宇宙人ポールを二人は助けることにして、三人(?)の珍道中が始まった。
 

映画でこれほど笑った経験はおそらく今までなかった。
適度に下品でカルいノリであるポールの造形は度肝を抜かれるが大爆笑であり
グレアム・クライヴとの掛け合いもとても面白い。
宇宙人遭遇もといえば「E.T.」や「未知との遭遇」があるが、この二つのオマージュが含まれたシーンがあれば
「Back To The Future」やスタートレックなど様々なSF作品のオマージュが含まれるシーンが多い。
それがいちいち面白くて、映画にツッコミをいれながら観賞していた。
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」の批評で、そのあたりの元ネタを一部解説しているが
聴いてから行っても観賞の楽しみを減じることはなく、むしろ楽しみが増した。
 
とても笑える作品でありながら、宇宙人ものとしてこれもありがちな
宇宙人との交流を通して描かれるハートウォーミンングなストーリーもちゃんと含まれている。
笑いに包まれた旅の中で、主要人物たちはそれぞれ成長を遂げている。
ロードムービーの側面も十分あるし、男二人のバディムービーの面白味もある。
公開館は限りがあるが、近くにあればぜひ観に行くことがオススメである。

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