嶽温泉 山のホテル 其の三
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一夜明け・・・。 翌朝は思った通りに見事な青空。 外に出て冷涼な空気を吸い込みながら、雪国の冬を全身で体感してみるのでした。 寒さ厳しい時にはやっぱり温かい温泉が一番。 朝は日帰り客も利用することができる、もう1箇所のお風呂の方に入ってみました。 こちらがその浴室の様子。 差し込んだ朝日が立ちこめる湯気を照らし出し、何とも幻想的な雰囲気が漂っています。 宿泊者専用の浴室にも感動しましたが、人気(ひとけ)が少ない状態でのこちらの浴室も、決してそれに負けてはいない風情に溢れていました。 さりげなくお山(岩木山)を象った木枠をはめ込んだ壁も、なかなか味わい深いものを感じます。 湯溜めの桝には、濁りの無い美しい源泉が満ち溢れています。 ちなみにphは2.0、まるでレモン水のような典型的な酸性硫黄泉でした。 多くの人で賑わう日帰りでは決して味わうことのできない、静謐な浴室での厳かな湯浴みとなりました。 さて、朝風呂の後は朝食です。 朝食会場は夕食時の広間とは異なり、「マタギ亭」という名の食事処にていただきました。 宿のHPには、「津軽では知らない人はいないほど有名な食事処」と紹介されており、日中は多くの日帰り客が「マタギ飯」目当てに足を運ぶようです。 実は私も以前嶽温泉に足を運んだ際、こちらで昼食を取ろうとしたら何と1時間待ちとのことであったため、結局あきらめて他に場所を移したという思い出も残っています。 奥の方には、いかにもそれらしい囲炉裏を切ったスペースなども用意されていて、夕食をこちらの食事処でいただければ雰囲気があって尚良かったかなと感じました。 私達は一つだけしかない掘り炬燵の席に通され、更に卓上に丁寧な挨拶文なども用意されていたりしたため、何とも温かい気持ちにひたれて嬉しかったですね。 朝食は2段重ねの木箱に入って運ばれます。 朝から好物の烏賊刺しが登場するのは嬉しい限り。 器が立派だとそれだけで豪華な食事に感じるから不思議ですね。 ご飯は普通の白米と山菜のお粥から選ぶことができ、私は胃に優しいお粥をセレクト。 これがまた実に優しいお味だったので、何度もお代わりを進めてくるものだから朝からついお代わりをお願いして食べ過ぎてしまいました。 最後は珈琲、そして津軽らしくリンゴジュースなどもいただいて朝食の終了です。 朝食の給仕にあたってくれた男性スタッフの態度が大変感じよく、地元の話をいろいろと聞かせてくれたりしたこともあって、非常に充実した朝食時間となりました。 今回の訪問はシーズンオフということもあり、休前日でも1万3千円台というお手頃な宿泊料金。 私達の他に数組だけという少ない宿泊人数の中で、お風呂を中心とした期待以上の温泉宿ライフが楽しめ十分満足の行く滞在となりました。 目が開けられないほどに眩しく光り輝いた嶽温泉を後にし、本日の目的地に向かっていざ出発です。 弘前から黒石方面に向かって1時間ほど車を走らせ、たどり着いた先はこちらの道の駅「虹の湖」。 昨日同様パンチの効いた温泉地を数多く巡るか、それとも大好きな秘湯の宿でゆっくりと一点豪華主義の湯浴みを楽しむかを考え抜いた結果、今回は後者を選択することにしました。 実はこちらの道の駅から、豪雪の山道を走る宿への無料送迎バスに乗り換えて足を運ぶことになります。 緑色の車体に書かれた『青荷温泉』の文字。 そうです、わざわざバスに乗り換えて向かう宿とは、ランプの宿で有名な秘湯『青荷温泉』でした。 『青荷温泉』へは、宿泊・日帰りを含めてこれまで何度も足を運んでいますが、実は雪に埋もれる冬場に訪問する機会が一度もなかったので、日帰りと云えども今回はかなり楽しみにしていました。 運転手のおじさんがかなりサービス精神旺盛で、車窓からの景色や周囲の自然について、また宿の源泉情報等々、無料送迎バスとは思えないような楽しい話をいろいろと聞かせてくれたこともあり、まるで観光バスさながらの楽しい雪上ドライブを楽しませてもらいました。 雪深い山道を谷底に向かって深く深く降りて行った先、雪と氷の世界に佇む『青荷温泉』へと到着です。 春〜秋にかけての賑わいとはうって変わって、日曜日だというのに目にする訪問客はほんの数組程度。 最近は知名度も上がってすっかり観光地化してしまった感がありますが、本来の秘湯の静けさを取り戻したこの季節のロケーションは言葉にならないくらいに感動的でした。 フロントで受付を済まし、 先ずはいつも一番最初に入ることが多い本館の内湯へ。 大好きな小じんまりとした総ヒバ造りの内湯。 とにかくあまりにも素晴らしい風情が漂っているため、このお風呂に入っただけでも十分満足してしまうような、私にとって癒しの湯そのものです。 目を閉じ耳を澄ましても、聞こえてくるのは湯口からこぼれる湯の音のみ。 そして天井から時折ポツリポツリと落ちる湯気の滴。 この湯に一人浸かっている時、私は自分を取り囲むあらゆる現実から解き放たれ、まるで夢うつつの世界を漂流しているかのような感覚に至ります。 こんなにも「効く湯」は、他に数えるほどしかありません。 続いて本館を出て吊り橋を渡った先にある露天風呂へ。 こちらの露天風呂は混浴ですが、人気(ひとけ)も少ない今の時期であれば昼間でも女性は入りやすいのではないでしょうか。 思った通り先客の姿はなく、開放的な露天風呂で二人して湯浴みを楽しむことにします。 眼前に広がる雪景色を眺めながら少し温めの露天風呂にじっくりと浸かっていると、身も心もとろけてお湯に同化してしまいそう。 このままずっと浸かり続けていたいという思いを、必至で振り払う私達でした。 昼食時を迎え、湯上がり後は館内でランチをいただくことに。 定食物も充実していますが、朝食を食べ過ぎたせいもあって二人とも控えめに蕎麦を食することにしました。 風呂上がりの乾いた喉を潤すべく、取りあえず生ビール(彼女)とウーロン茶(私)で乾杯です。 この後で運転さえ控えていなければ・・・。 雪を眺めていただく風呂上がりの生ビール、さぞかし美味しいことでしょうに。 泊まりだともうひと頑張りといった印象の食事も、ランチでいただく蕎麦等は抜群に美味しく感じるのが不思議なところ。 温かい山菜蕎麦と冷たい山菜蕎麦、二人でシェアしていただきました。 ランチをいただき、しばしまったりと休憩した後は、いよいよ〆の湯を楽しむべく別棟にある健六の湯へと向かいました。 一番最初に入った内湯も非常に素晴らしい浴室ですが、こちらの健六の湯もまたヒバの香り溢れる開放感抜群の癒しの湯に他なりません。 この日は入るお風呂全てが何と貸切状態、はるばると遠くからやって来た者への最高のご褒美です。 正に極上の内湯の雰囲気を誇る健六の湯、今更何も語る言葉はありません。 透明ながらも茶色い湯の花が舞う存在感のある湯をしっかりと堪能し、今回の湯巡り旅の最後を飾るにふさわしい湯浴みとなりました。 帰りもまた「虹の湖」まで送迎バスで。 途中、青荷温泉と八甲田の山々を見渡せる展望スポットで停車し、写真撮影を進めてくれる運転手さんの計らいに感謝です。 朝方抜けるようだった青空も帰る頃にはすっかり曇天に。 山を見続けてきた運転手さんによると、あと1時間もすれば恐らく雪が降り出すだろうと言っていました。 さて、黒石から大館能代空港へと戻る途中、最後にもう1箇所どうしても立ち寄っておきたかったスポットが。 大鰐温泉に軒を構えるこちらの洋館、地元では有名なデザートレストラン「シュバルツバルト」です。 青森の温泉地とは思えないようなシックで品のある雰囲気の中、バロック音楽の調べと共に味わうタルトタタンはちょっとビックリするくらいに感動的な美味しさ。 見た目も芸術的に美しいスイーツを前に、この店の存在を知りながらも今までずっとスルーして来た自分が愚かしく感じるほど大満足の味わいでした。 今回は時間の余裕があまりなかったので長居できませんでしたが、次回青森訪問の際も必ず立ち寄ってみたいお気に入りの一店になりました。 降り出して来た雪の国道7号線を車で急ぎつつ、短くも充実した冬の津軽路の旅の終了です。 |


