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戦術傾向

 Football Outsidersがまた変わったデータをまとめているようだ"http://footballoutsiders.com/stat-analysis/2012/foa-2012-preview-strategic-tendencies-tables"。オフェンスとディフェンスそれぞれのフォーメーションについて、どのフォーメーションの比率が高く、それがどのようなプレイ結果をもたらしたかをまとめたものらしい。取りあえず上のページで紹介されているのはGiantsのデータだけだが、Football Outsiders Almanac 2012には全32チーム分のデータを載せるという。
 見て分かるのだが、Giantsのオフェンスは圧倒的に3WR1TE1RBが多い(全体の44%)。またこのフォーメーションから出てくるプレイのほぼ8割はパスプレイ。おそらく相手チームもそうした傾向は分析しているだろうが、それでもManningがあれだけの成績を収めているってことは、分かっていても簡単にとめられないパスを投げるだけの能力が彼にあるってことだろう。DVOAの高さ(19.5%)を見ても、いまやGiantsオフェンスが圧倒的にパス優位である様子が窺える。
 一方、ディフェンスでは全プレイの6割弱を4-2-5が占めている。Nickel Backのように見えるが、一般的なNBが3人目のCBを投入するのに対し、GiantsはSFを3人送り込んでいるらしい。パスの比重が高まっている現代NFLでは、DBが増えるのはそう珍しくもないだろう。それだけに有能なDBをそろえることは重要だと見られる。
 Giantsについてもう一つ面白いのは、後半にリードされている状況でランプレイを行う比率がリーグで9位、リードしている状況でパスプレイを行う比率が6位といずれも上位に入っていることだ。またファーストダウンでのランプレイは31位、2ndダウンで長い距離が残っている場合のランプレイは8位。基本的に相手の裏をかこうとするプレイ選択が多い。こういうチームが勝ちあがること自体は、ゲームとしてのアメフトを面白くすることにつながるので評価したい。

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怪我人動向

 Football Outsidersが2011シーズンのAdjusted Games Lostのデータを出した"http://footballoutsiders.com/stat-analysis/2012/2011-adjusted-games-lost"。負傷によってゲームに出なかった選手が延べ何人になっているかを示すデータだが、どうやらこの数年、負傷者はリーグ全体で増える傾向にあるようだ。2011シーズンだけならロックアウトの影響と考えることもできるが、10年前に比べれば倍近くに数字が増えている事実を踏まえるなら、そうした一時的な要因だけとも言い切れない。
 New Englandの怪我は相変わらず多い。2010シーズンはリーグ全体で28位だったのが、11シーズンは30位。何年も前から言っているこのチームの問題点は、要するにいまだに直っていない。おまけにディフェンスの負傷のうちほぼ半分がセカンダリーという訳で、ただでさえ弱いパスディフェンスがかくしてまたも崩壊した。何というか、毎年のように同じことが繰り返されている気がしてならない。
 実はGiantsも怪我人は多い方だったらしい。怪我人の少ないBaltimoreとSan FranciscoをChampionshipで倒した両チームがどちらも怪我を乗り越えてきたチームであった点は、チーム作りを考えるうえで示唆に富む。とはいえ毎年これでは、毎年ハンデを背負って競馬をやらされているようなもの。いい加減何とかしてほしいんだが、今の体制だともう何とかなることはあり得ないように思える。

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プロスポーツ選手

 少し前になってしまったがJunior Seauが自殺した。1990年ドラフト1巡選手であり、私自身も全盛期からよく見ていた選手だ。特にSan Diego時代の彼は間違いなく超一流のLBであった。流石に晩年、New Englandに来た時にはもうかつての輝きはなくなっていたものの、それでも2007年には3.5サック、58タックルを記録したんだから大したものだ"http://www.pro-football-reference.com/players/S/SeauJu00.htm"。RIP。
 それにしても気になったのがこちらの記事"http://stlouis.cbslocal.com/2012/05/02/8-members-of-chargers-super-bowl-team-have-died/"。1994年シーズンのSan Diegoの選手たちが死亡したのは、実はSeauでもう8人目という話なのだが、この記事は色々と考えさせられる部分がある。
 後半のの3人については不運ではあるものの特に問題はない。事故や落雷で3人も死んでいるのは残念ではあるが、こうした事故は一定の確率で起きるものだし、特にNFL選手だから事故に巻き込まれたわけではなかろう。事故は老若男女関係なく人を死に至らしめる要因となり得る。
 しかし前半5人についてはそうは言えない。彼らの死は事故ではなく、薬物の過剰摂取や自殺(Seau)のような特殊要因と、そして実に3人の命を若くして奪っているのが心臓の病気だ。彼らの死に、果たして現役時代の選手としての生活が影響していなかったと言えるだろうか。
 バルクアップを求められるアメフト選手の心臓に、通常の人より多くの負荷がかかっている可能性は否定できない。もちろんスポーツ選手なら誰でもある程度心臓に負荷をかけていると思うが、それにしても45歳より前にこれだけの命を奪うのはかなり問題だ。NFL選手として身体にかかった負担が、引退後に彼らの寿命を削った可能性はないのだろうか。
 薬物の過剰摂取で死去したWhitleyは現役時代から薬物規則違反で出場停止を食らったことがある"http://sports.espn.go.com/nfl/news/story?id=3395632"。この記事によれば彼が摂取していたのはメタンフェタミン、即ち覚醒剤だ。彼が覚醒剤に頼ったことが、プロ選手であったこととどのような関係があったのかは不明だが、結局彼が薬物中毒から抜け出せなかった様子は窺える。
 そしてSeau。自殺した彼に関しては脳に関するダメージが影響した可能性を指摘する声もある"http://blogs.findlaw.com/tarnished_twenty/2012/05/junior-seaus-death-similar-to-another-ex-nfl-stars-suicide.html"。以前から脳震盪に対する規制が強まっていたが、引退後の自殺が相次ぐようなら今後はもっと脳へのダメージに対する影響を抑えようとする規則が増えるかもしれない。
 いずれにせよ、何度も言っているように我々が見ているのは現代の剣闘士競技だ。もちろん、20世紀初頭の防具が使われていなかった時代のように、シーズン中に何人も死者が出ているような野蛮な時代からは随分改善しているものの、それでも肉体を削りながらの見世物であることは否定できない。選手の安全確保に向けた対策は、これからも色々と導入されるのだろう。

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スポーツとスタッツ

 アメフトに関するスタッツ分析はこれまでも色々と書いている。この手の分析で有名なのが野球であることも指摘済み。日本語でも野球のセイバーマトリクス関連文章はあちこちで見かける。では他のスポーツはどうだろうか。
 
 おもしろかったのがこちら"http://d.hatena.ne.jp/pal-9999/20120116/p1"で分析されているサッカー。最終的にはスルーパス数から得点数を予測する数式まで出している。知りたいのはスルーパスの出し手と受け手が年ごとにどの程度、安定した成績を残しているのか。そしてまた、逆にディフェンスから見て各チームがどの程度スルーパスを通されており、それが年ごとにどの程度安定した数字になっているかだ。n年とn+1年との相関係数が高ければ、スルーパスを通じてチームの実力を測る手はそれなりに有効かもしれない。
 なぜかラクロス関連でもこうした分析をしている例がある("http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2010/1K07B052.pdf"とか"http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2010/1K07B051.pdf"など)。正直ラクロスというスポーツについては全然詳しくないのでどのくらい説得力がある分析なのかわからないが、これはこれで面白い。
 米国で4大スポーツの一角を占めるバスケットボールについても分析が進んでいるようだが、日本でもこうした例"http://www.taiiku.tsukuba.ac.jp/sc/2_1/01/index.html"などがある。スポーツを数字で把握したいという欲望は、色々なジャンルに遍在しているのだろう。
 
 逆に「スタッツ分析ができないスポーツ」があるのかどうかも知りたくなる。サッカーのようにスタッツ分析に向かないと思われたものでも分析が進んでいる現状を見る限り、たいていのスポーツは何らかの形でスタッツ分析できそうな感じではあるが。たとえばラグビーとかはどうなんだろう。あるいはオーストラリアン・フットボールとか。クリケットなんかは果たしてどうなのか。疑問は尽きない。

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ドラフト NE

 NFLドラフトは3日目も終わった。前回はQBとかパスラッシャーについて書いたので、今回は我がNew Englandのドラフトについて思ったことをいくつか書いてみよう。New Englandの今年のドラフトで特徴的なのは、まず圧倒的にディフェンス中心だったこと、およびこのチームにしては珍しくトレードアップをしたことだ。
 前者については7人指名中6人がディフェンス、オフェンスは7巡の1人指名だけ。前から何度も書いているように、このチームはずっとディフェンスが低迷を続けており、オフェンスに「おんぶに抱っこ」状態が何年も続いていた。だからディフェンス選手を集中的に指名するのも不思議ではない。
 というか本来ならもっと早くディフェンスを強化すべきだったのに、実際には何年もサボってきたと言うべきか。昨年のドラフトは9人中ディフェンス選手は3人、2010年も12人中5人と半分以下しかディフェンス選手を指名していない。過半数をディフェンス指名に充てたのは7人中5人を指名した08年以来となる。
 問題は、そうした最近のディフェンス指名が外れまくっている点にある。以前、Pro Football ReferenceのApproximate Value(AV)"http://www.pro-football-reference.com/blog/?page_id=518"を基にNew Englandのドラフト指名がどれほど効果的だったか調べたことがある"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/50642365.html"。その時のデータを使って、改めてNew Englandのディフェンスドラフト指名がどれほど効果的か調べてみよう。
 
 まずは昨年のディフェンス崩壊をもたらした大きな要因であるSFを含むDBを見てみよう。前に計算したのと同様、6年未満の選手は今のペースで6年プレイしたらどうなるかという前提で調べてみると、2000年以降に指名したDBの期待AVは計342.0となるのに対し、現時点での実績は327.9。しっかり下回っている。特に問題は06年以降に指名した10人で、期待値と実績の差は-70.5と酷い有様だ。最近のDBの不調がドラフト失敗に由来していることが分かる。
 実際、05年以前は期待値を上回る指名がそこそこあった。Asante Samuelが最大の成功例だが、彼以外にもJames Sanders、Ellis Hobbs、Eugene Wilsonは指名順位から期待できる以上の成績をプロで残している。この時期まではそれなりにいい指名はできていたのだ。しかし06年以降で期待値を超えそうなのはDevin McCourtyとJonathan Wilhiteの2人だけ。07年以降、毎年2巡より上でDBを指名しているのに、その大半が外れであったことが明白になっている。
 最大の外れと思われているのは、やはり07年の1巡指名Brandon Meriweatherだろう。ファン自身が疑問に思うProBowl選出があったためAVは実績より過大になっているはずだが、それでも期待値対比ではマイナスにとどまっている。New Englandでの貢献度だけで見ればAVは期待値を10以上下回っており、確かにbustと言いたくなる成績だ。
 しかし期待値対比ではもっと酷いDBが他にもいる。1人は08年の2巡指名Terrence Wheatley。結局New Englandでは2年しかプレイしなかった彼が積み上げたAVはたったの1。期待値との差はマイナス20である。その彼より酷いのが09年の2巡指名Darius Butlerで、こちらは2年で6AVを積み上げているものの、Wheatleyより20も指名順位が上のため期待値との差はマイナス23を超えている。11年の2巡指名であるRas-I Dowlingも、現時点では全然役立っていない。
 これだけ外れ続きだと、今年2巡で指名されたTavon Wilsonも果たして大丈夫なのかどうか非常に気にかかる。せめてJames Sanders並みの活躍をしてもらわないと割に合わないのだが。
 
 次はやはり昨年足を引っ張っていたLB。こちらは歴史的に見てもDBより成績が酷く、13人指名した選手のAV期待値164.8に対し、実績は115.2にとどまっている。プラスを記録しているのはTully Banta-CainとJerod Mayoの2人しかいない。ただ、大半がドラフト下位指名なのでマイナスもそれほど大きくはなく、今のところは09年の3巡指名Tyrone McKenzieが最大のbustだ(マイナス15)。
 LBの問題は指名数が少なすぎる点にあると見るべきだろう。最近でこそ若返りが進みつつあるが、それ以前は高齢化が激しく試合の後半になると息切れしているようにしか見えない場面が何度もあった。指名数が少なすぎるために、他のポジションでは時々ある下位指名が化ける事例もほとんどない。強化を怠った結果として予想通りに弱体化したポジションと見ておくべきだろう。今年のDont'a Hightower指名が、せめてMayoと同じ程度の成功なら、少しは状況も改善するんだろうけど。
 
 そして今年、1巡と3巡で指名したDLだが、ここは過去にも実績ある指名をしている。17人指名のAV期待値275に対する実績が332だから文句なしだろう。これがDEのみとなると期待値を63も上回っている計算となり、さらに素晴らしい。Football Outsidersの予想では今一つと見られていたが、Chandler JonesとJake Bequetteには期待したい。
 ちなみに過去最も成功した指名はやはりRichard Seymour、なんだが彼の場合はチームを移った後に積み上げたAVも多いので、New Englandへの貢献度で見るとVince Wilforkの方が上だ。あとJarvis Greenも指名順を考えればかなりいい選手だった。Ty Warrenも一応プラスであり、またBrandon Deaderickもうまくすればプラスの貢献をしてくれるかもしれない。逆に最大のbustは2巡指名ながらAVが0に終わったMarquise Hill、そしてやはり2巡指名だが現時点では完全に控えと化しているRon Braceあたり。
 
 以上、過去の実績を見る限りDLの選手指名は安心して見ていられるものの、LB及びDBに関しては不安が募るのがBelichickのドラフトだ。ただLBの場合、最大の問題は指名数の少なさにあり、上位指名はそれなりに使えていることも確か。ってことはやはり不安は上位で外れを引くことがやたらと多いDB、今年で言えばTavon Wilsonにあると見るべきだろうか。

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