|
1987年のマイ・ベスト・アルバムを選ぶとすれば、"Life's Rich Pageant"は少なくとも最終選考まで残るだろう。公式な発売年は1986年だが、日本発売は年の押し迫った頃、僕の記憶が正しければ、11月21日発売だった。そして、このアルバムを手に入れたのは年明けだったと記憶している。
僕が別に並外れた記憶力を持っている訳ではない。単に暫くの間迷った末に購入したこと、それから「先着500名様」に特製ブックレットがついており、発売から2月も経っているので多分もう無いだろう、と半ばあきらめながら葉書を出したのに、思いがけなくレコード会社からそいつが送付されてきたのが非常に印象的だったのだ。つまり、その程度しか売れなかったのだ、このアルバムは。
当時の資料を見ると、ビルボードでも最高位21位にランキングされたとされているが、僕の記憶には全く残っていない。不思議なことにシングルだった"Fall on me"が最高位94位だったというのは、記憶と記録が合致しているというのに。全米21位といえば"成功"の部類に続するだろう。しかし、この頃の彼らには「成功」の匂いがなかった。当時の友人は音楽好きばかりだったが、彼らの音楽を熱心に聴いている奴はいなかった。
その年の夏、学園祭の準備の為(僕の学校は夏休み前に学園祭が行われていた)教室にラジカセを持ち込み、彼らのアルバムを流していたら、僕がちょっと離れた隙にテープは渡辺美里に変わっていた。まあ、それがクラスの総意だったということだ。
彼らのアウトテイク集"Dead Letter Office"は遂に国内盤未発売に終わったはずだ。輸入盤屋のなかった故郷ではついぞ手にすることができなかった。残念ではあったが、仕方の無いことだった。それよりも、新しく出た"Document"が買えない方が悔しかった。その年の後半は、レコードを買わないと決めていたからだ。
"Dead Letter Office"は翌年の2月、今は無き渋谷のWAVEで購入した。その夜、寄宿していた大森の四畳半のアパートで、イヤホンを耳に、何度もそれを聴いた。そして、半年振りの解放感を味わった、思い返せば何と暗く、ねじくれた青春だろうか。
(続)
|