法話43 祈り、そして、人を思いやる
|
謹賀改歳 平成二十三年 壬辰歳元旦
御尊家御一同様の
御清祥と御多幸を祈り、
謹んで新年の
ご挨拶を申し上げます
錦柳山洞林寺 住職
祈り、そして、人を思いやる
1、今年の漢字一文字
毎年十二月十二日に日本漢字検定協会が「今年の漢字」を選定し、京都清水寺館主が大きな筆を使って揮毫して発表します。二十二年が「暑」、二十一年が「新」、二十年が「変」でした。十一月二十日頃、中学校の娘が「今年を漢字一文字で表すとしたら何か」を明日までに書いて提出するのだそうです。それが、生徒だけでなく、今年の一文字を親も考えるなのだそうです。
そのことを言われた場所が、納戸の前でした。大地震で納戸の中のスチールラックに積んであった段ボール箱が崩れ、ラックも壊れ納戸のドアも壊れました。すぐに頭に浮かんだのは「崩」「壊」でした。他にはガレキの「礫」かなあと思いました。でも、暗い結果、暗いイメージだけの言葉だけよりも、何か「救い」や「希望」につながる言葉の方が良いだろうと思い、「祈」という字を娘に伝えました。亡き人の冥福を祈り、震災からの復興を祈る。そこから、少しでも前に向かって進めるのではないでしょうか?
2、門前の掲示板に書いた言葉
門前に掲示板があります。先住様の時代から皆様の心に響き、心の支えとなるような標語を掲示してきております。二十三年のお盆には次のような言葉を掲示しました。
今 私たちにできる事
人を思いやり
手をさしのべ
笑顔を届けよう
こうでありたい、こうしてあげたい、と思いながらも、なかなか実行できていない私たちです。自分の弱さを克服することも、自分の悲しみを乗り越えることも、思ったようには出来ません。
ましてや、人の悲しみを受けとめてあげることも、人の苦しみを救ってあげることも、なかなか出来ません。
せめて、人からいただいた励ましといたわりと支援に感謝の心を忘れず、報いていこう。
そして、人を思いやり、手をさしのべ、笑顔を届けよう、という志だけは忘れずに、一歩一歩 前に進もう。
そういう思いを込めて、いつもながら下手な字ですが、掲示板に書いてみました。
震災は多くの人々の生命を奪い、住む家を奪い、働く場を奪いました。ライフラインを絶ち、燃料不足と食料不足をもたらしました。残念ながら、こういう災害に乗じた犯罪も少なからず起きました。しかし、他の国々ならこれだけの大災害なら必ず大規模な略奪が起きます。暴動が起きます。
少なくとも、今回の日本の東日本大震災では起きなかったと思います。電気水道ガス通信、これらのライフライン復旧にも時間を要しましたが、そのことで、大量の病人や死者を出すことはありませんでした。原発事故関連の情報では右往左往させられることも多々ありましたが、それ以外の面ではみんな冷静な行動を取り、支えあい助け合って来ました。多くの避難所でみんなが支えあい助け合ってきました。
原発のみならず、震災で火力発電所も被災し、東北電力も東京電力も電力不足に陥る中、市民も産業界も節電に努めました。特に産業界は休日をスライドさせることで電力需要の調整を図り、大量のシステムダウン発生と言う最悪の事態を避けることに成功しました。
日本人にも日本の企業にも、人を思いやる心があるんです。こういうことを確認できたことは、震災後のせめてもの収穫だと思います。多くの人々の冥福を祈り、そして復興を祈り、そのためにも、多くの人々に思いやりを持って接していきましょう。
洞林寺護持会会報24年新年号より
9月26日にブログにアップした記事を会報向けに、加筆したものです。
http://www.blogmura.com/ にほんブログ村
|
