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「国境の南、太陽の西」「NHK特集 トキワ荘」 20120201
村上春樹の小説「国境の南、太陽の西」を再読。
人を裏切る行為は、裏切られた側の心を傷つけるのは無論だが、
裏切った側の心をも、ひたひたと浸食して損なっていく。
だから裏切りなんてしないに越したことは無いのだが、
それでも裏切ってしまうのが人間なのである。人生なのである。
最近、私にはそのことがよくわかる。
「NHK特集 わが青春のトキワ荘」は、
NHKアーカイブスで放送されたものを録画し、
もう何度も観返している。
トキワ荘出身マンガ家たちの表情を非常に鋭く捉えている傑作
ドキュメントである。
今回の再見では、森安なおやさんの姿が強く印象に残った。
仲間が売れっ子マンガ家になったのに、森安さんだけは
夢破れて中年になって職安に通い、日雇いの仕事をする姿をカメラは冷徹に追う。
この取材を受けることは、森安さんの心を深く傷つけたに違いない。
だからこそ、この番組がたいへんな「見もの」になっているとはいえるが、
そうした「テレビの残酷さ」に利用された森安さんが、見ていて気の毒でならない。
森安さんはなぜ、こんな取材を受けたのだろう。
取材を断るほうが、自分がみじめになると考えたのか。
断ったら、ディレクターが可哀そうだと思ったのか。
そんな森安さんの傷つきやすい優しい心が、この番組を見ていると
可哀そうでたまらなくなる。
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