廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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皆様のご協力のお陰です。誠にありがとうございますm(_ _)m



さて、本題です。

「国債を刷れ!」をご購読頂きました本ブログ読者の方から、次のようなご質問を「コメント」にて頂きましたので、お答えをさせて頂きたく存じます:

池田信夫という経済学者のブログに次のような命題が存在すると書かれています。

〆眄支出の乗数効果は1より小さい

∋拿个料加は一時的なものと想定されているが、利益団体にいつまでも食い物にされる

刺激策の消費者や企業への効果は、短期的なGDP創出だけではなく支出の価値で決まる

ず眄支出の増加は最終的には増税にはねかえり、消費や投資を抑制する

アメリカの経済学者にはこれについてコンセンサスがあるそうです。ヨッシーニさんはどのように思われますか。『国債を刷れ』を読んだ立場からすると、特にい怪しいと思うのですが。

池田さんのブログは私もチラリと拝見したことがあるのですが、氏はかなりバリバリの「新自由主義」な方のようですね。

ということは、
やはりマネタリズム(政府の財政出動に効果はなく、中央銀行の金融緩和こそが経済成長をもたらすという考え方)信奉者でしょうか。

ちょっと前ふりです:

金融緩和だけではあまり経済成長の効果がなかったようだという検証は、
「国債を刷れ!」p.218の
「日銀による『ゼロ金利、量的緩和』の効果と弊害」で説明させていただきました通りです。

これだけの金融緩和をやったにもかかわらず、
政府支出がマイナスだったので、

この日銀による「ゼロ金利、量的緩和」が実施されていた期間の名目GDP成長率は世界最低であったという明白な事実は、
金融緩和単独では効果がない(=「マネタリズム」は事実に反する)ことの一つの証左
と言えるでしょう。

と、前置きはこれくらいにしまして、
上記,らい砲弔い董

「〆眄支出の乗数効果は1より小さい」


本ブログ【バブル崩壊後の「財政拡大」の効果】のところで、下のような、「1990年の水準とくらべたGDPやその構成要素の増減表」を掲載しました。
イメージ 1


財政支出の乗数効果は1より小さいということは、

 政府支出(=G)の増加分をΔG
 GDP(=Y)の増加分をΔY
としますと、
ΔG>ΔY
にならなければなりません。

しかし、
上の表を見ますと、

90年の水準に対する政府支出増加分ΔGは平均26.5兆円
それに対し、
90年の水準に対するGDPの増加分ΔYは平均47.4兆円
となり、
ΔG<ΔY
となっており、
つまり乗数は47.4兆円÷26.5兆円=1.79で1より大きくなっています

つまり、
「財政支出の乗数効果は1より小さい」は事実に反します。


「∋拿个料加は一時的なものと想定されているが、利益団体にいつまでも食い物にされる」


これは意味が正確には分かりませんが…

仮に「利益団体」が食い物にしていても、
その利益団体の関係者にも生活があるわけですから、

政府支出から受け取ったお金を100%貯蓄するようなこともなく、それなりの割合は消費に回すでしょう。

もちろん、
そこに「不平等」が生じることになりますので、その問題はありますが、

彼らがもらったお金も、彼らが支出することで結局は世の中に循環して行くわけですから、
全く経済効果がないということにはなり得ません。

少し別の話をしておきますと、孫子では

「囲師は必ず闕(か)け」

というのがあります。
「囲」は包囲する。「師」は軍隊。「闕け」は欠け。
で、

敵を包囲するときは必ずどこか隙間を開けておけ、という意味です。

あまり相手を追い詰めすぎると、
窮鼠猫を噛むで、命がけで抵抗を受け、
味方に思わぬ大損害をこうむる危険があるので、
相手にとっての逃げ道をどこかに用意しておくのが良い

というわけです。

明治維新で長州軍を率いた大村益次郎幕府軍の城を、この方法で次々と陥落させたり、

たしか、
マレー作戦日本軍がこれを使い、イギリス軍をマレー半島から追い落とした

のではなかったかと記憶しています(あいまいですが)。

で、何が言いたいかと言いますと、

その「利益団体」を追い詰めすぎると、やはりその「利益団体」の皆さんは、死に物狂いでもの凄い抵抗をすると考えられます。

ということで、
彼らが利益を得ることにはある程度目をつむり、それとは別に本当に困っている人にもお金が回るような項目の政府支出を増やす

ということが一つの方策ではなかろうかと思うのです。

そんなことも、「国の借金が問題でないという前提」であればこそ可能になります^^。

例えばスウェーデンを考えてみて下さい。

全国民の6.4人に一人が公務員で、ものすごい「大きな政府」です。

この国の2000年代半ばの貧困率は5.3%で日本の14.9%よりもずっと小さくて、つまり、スウェーデンの格差は非常に小さくなっています。

また、スウェーデンの00年から07年にかけての平均実質経済成長率は日本の倍ほどあります。
(スウェーデンについては「国債を刷れ!」第4章と第5章参照)

公務員は一種の「利益団体」だと思いますが、
スウェーデンのような「効率の良い大きな政府」路線という道筋も、一つの選択肢としてあるのではないでしょうか、といった具合であります。

(長くなりましたので、次の記事に続きます->http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/10736352.html

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閉じる コメント(13)

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インパール作戦ではありません。マレー作戦です。 削除

2009/2/18(水) 午後 2:23 [ fe3c2 ] 返信する

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fe3c2さん、
ご指摘ありがとうございますm(_ _)m
ということで、インパール作戦→マレー作戦に訂正いたします^^;

2009/2/18(水) 午後 4:38 [ ヨッシーニ ] 返信する

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ヨッシーニ様。
イタリアとの比較( http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/5567290.html )
に続いてここでも質問させてください

自分は経済には無知の素人だったため
"乗数効果"という言葉をこのHPで初めて知りましたw
未だに言葉の定義をきちんと理解しているか微妙ですが(笑)
ところで、
>1990年の水準とくらべたGDPやその構成要素の増減表
は、
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe052-2/gaku-smg0522.csv (80〜05年)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe084/gaku-mg0841.csv (94〜08年)
が原典で宜しいでしょうか?本文の表の"民間投資"とは、
上記CSVファイルで言うとどの値になるのでしょうか?

2009/3/1(日) 午後 10:03 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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続けて質問です。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003007&sid=aU4Dgi2qbIOA
>日本の景気の落ち込みはなぜ米国よりが大きいのか
>
>第3が需要ショックの波及効果の違い。
>輸出が増加すると、その生産に必要な財・サービスの
>国内取引を通じ次々と他の製造業の生産を誘発する。
>日本は「部品や素材の国内調達比率が高いことから、
>こうした最終需要の製造業生産に対する誘発力は高い」。

これは"輸出の乗数効果が大きい"と解釈できるのでしょうか?
三橋様blogの
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/25017274.html
>発展途上国のGDPが一%伸びれば鉄鋼需要は二%増える

これも"外需による乗数効果が高い"と言えますか?
基本的で無知な質問でごめんなさい><

2009/3/1(日) 午後 10:04 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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続けて質問です。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/cmt/c430ef61a14eb6dcbd4417b1d7dc9dd1
のコメント欄で、Sakano氏が
>しかしこの議論は、GDPの増加要因が全て政府支出によるものだったと証明できなければ成り立ちません。
>
>本の内容も、このような統計データの恣意的な解釈ばかりなのでしょうか・・・

と論じています。これについてご意見を伺いたいです。

そもそも本文で紹介しているGDPのデータのみで、
政府支出の乗数効果が1以上である事も
1以下である事も証明しようがないと思うのですが。。見当違いでしょうか?

2009/3/1(日) 午後 10:06 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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3つ前コメントのcsv集計で
ヨッシーニ様の数字とは違ってましたが、例として90年と、
表の民間投資のマイナスが大きい2002年の金額
●1990年
GDP=440,124.90
民間最終消費支出=234,271.80
民間住宅+民間企業設備=113,491.00
政府最終消費支出=56,889.60
純輸出=4173.2
●2002年
GDP=491,312.20
民間最終消費支出=283,253.90
民間住宅+民間企業設備=83,582.90
政府最終消費支出=88,305.60
純輸出=6411.9

■90と02年の差(金額)
GDP=51,187.3
民間最終消費支出=48,982.1
民間住宅+民間企業設備=-29,908.1
政府最終消費支出=31,416.0
純輸出=2,238.7
■90と02年の差(割合=90年を100)
GDP=111.63
民間最終消費支出=120.90
民間住宅+民間企業設備=73.64
政府最終消費支出=155.22
純輸出=153.64

2009/3/1(日) 午後 10:10 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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確かに上の例では民間は約26%マイナスになってます。
しかし売上至上主義の90年当時と違って、
2000年代の企業は収益性がより高いかと。

仮説として90年の民間の乗数効果=1だったとして。
その後、民間の効率性UPで乗数効果が約35%上がって
1.35になっていれば02年のGDPの引き上げは90年と同じになります。

以上は仮説であって数字のお遊びです。
実際は上の情報だけで乗数効果を導き出すことは無理かと。

つまり言いたい事は
民間投資の金額が減ったからといって
同じ金額だけGDPが減るとは限らない、

逆に政府支出が増えたからといって
それと同じ金額だけGDPが増えるとは限らない。

以上の認識で宜しいでしょうか?
もし見当はずれの指摘でしたらごめんなさい><
これで質問終わりです。お忙しいところ申し訳ありません。

2009/3/1(日) 午後 10:12 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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1つ上のコメントは一部間違えありました。

民間(×)→民間住宅+民間企業設備(○)

この2つ足さなくても
民間住宅、民間企業設備、単独の数字でも
90年と比較して02年は約73%でした。

2009/3/1(日) 午後 10:57 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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bad_news_good さんへ
全てのご質問にお答えすることは時間的になかなかできなさそうです。一度、マクロ経済の入門書を通してお読みになることをお勧めいたしたく…申し訳ありませんm(_ _)m。
とりあえず、少しだけ…

・民間投資=民間設備投資+民間住宅投資+民間在庫増加

>政府支出の乗数効果が1以上である事も
>1以下である事も証明しようがないと思うのですが。。見当違いでしょうか?

経済に関しては物理や化学と違ってなかなかこれが絶対正しいということは言えないのではないでしょうか?経済学の理論というのは実証が難しいので大抵は空中戦になりがちのようです。
(続きます)

2009/3/2(月) 午前 9:27 [ ヨッシーニ ] 返信する

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(続きです)
現実の結果として、政府支出以上にGDPが増えていることは疑う余地もありません。これが事実です。また、「国債を刷れ!」p.214で示しいるのですが、日本は政府支出がマイナスで、実質平均所得(OECDのreal mean income)もマイナス、借金が大きく増え、債務GDP比も大きく増えています。しかし、他の国は政府支出が大幅にプラス、実質平均所得も大幅増加。それにつれて借金そこそこ大きく増えたけれど、債務GDP比は却って減少していたり、悪化しても小幅というパターンが見られます。

政府支出以上にGDPが増えなければ債務GDP比は小さくなりません。これが現実です。我々は現実の世界に生きているのであって、経済学者が立てた理論の中で生きているのではありません。
(続きます)

2009/3/2(月) 午前 9:34 [ ヨッシーニ ] 返信する

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(続きです)
我々にとって重要なのは、この10年くらい減り続けている我々の実質所得が増加に転じること、年間3万人を超え、この10年で30万人を超えた自殺者数が、今後は少しでも減ること、昨年10月以降に職を失った15万7千人にも上る非正規雇用のみなさんが、少しでも早く再び職に就き、収入を得る機会に恵まれることです。
そのためには、政府の支出を増やすことが今すぐにでも必要ではないでしょうか?乗数が1以上とか1以下とか、そんな経済理論に関する議論は決して重要であるとは思われません。

2009/3/2(月) 午前 9:36 [ ヨッシーニ ] 返信する

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ヨッシーニ様
返信ありがとうございます!!
いやー。お忙しいところごめんなさい。
翌日にすぐ返事くれるなんていい人だ^^。

あのですね。私も政府支出を増やせという
ヨッシーニ様の主張には決して反対ではないんですよ。

ただですね。イタリアとの比較でも思いましたが
その根拠の見せ方があまりにも恣意的過ぎなのではないか?と。

グラフや図表は言葉よりずっと雄弁で、あのページを見た人は
"イタリアの借金8倍近く"しか記憶に残らないかもしれません。

>乗数が1以上とか1以下とか、そんな経済理論に関する議論は決して重要であるとは思われません。

私も全くそう思います!
しかし本文でヨッシーニ様は
>「財政支出の乗数効果は1より小さい」は事実に反します。
と、"47.4兆円÷26.5兆円=1.79"
だけを根拠に言い切っています。

ヨッシーニ様にとっては池田氏への反論の
ネタの1つとして書いているだけだと思いますが
このHPを見た人は"1.79"が"正確な数字"だと
思い込んでしまうかもしれません。

2009/3/2(月) 午後 10:07 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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ヨッシーニ様
>政府支出以上にGDPが増えている

"結果"の数字だけ見ると確かにそうです。
しかし上のコメントでも書きましたが
「民間支出がGDPに与える効果がより増えている」
が原因かもしれないのに
「政府支出がGDPに与える効果も増えている」
のみが"原因"だと断言できないのではないか?と。

>実証が難しいので大抵は空中戦になりがち

お互いにあくまで"仮説"と言う事で。

全ての政府支出の各支出に対して、GDPに与えた影響を
カウントアップした集計結果があれば信じられます。

>政府の支出を増やすことが今すぐにでも必要ではないでしょうか?

これは全く同感です。
短期的には緊急のために総花的で良いと思いますが、
落ち着いたら対象を絞ってほしいです。
野口悠紀雄氏は少子化対策を挙げていました。他にも医療福祉環境、etc…。

供給過剰な土木にいつまでも支出するくらいなら、
法人税を大幅減税して、その歳入不足分の国債を刷って欲しいです。

2009/3/2(月) 午後 10:15 [ bad*ne*s*good ] 返信する

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