廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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(前回の続き)
今回は、オバマ政権が政策を遂行する上で、大きな壁になるかも知れない2つの問題、財政赤字共和党との協力についてです。

1.財政赤字

 さて、そもそも財政赤字が問題になるのは、財政赤字が大きくなると国の財政が破綻するから、ということになります。

 そして、ロイターが伝えているような、「オバマ次期米大統領の経済チームによる、景気後退局面にある米経済を押し上げるための対策は、事前の推計を大きく上回る1兆ドル(約91兆円)規模に2年間で達する可能性がある」( http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35426320081214 )のような大規模な財政出動なんて、本当にできるのか、ということになるかも知れません。

 ところで、国の財政が破綻するというのはどういう意味でしょうか?
 破綻とは、平たく言えば借金が返せなくなって首が回らなくなることですが、

 アメリカ政府の借金は全て米ドル建てです。

 そして、米ドルはFRBがいくらでも発行できます。

 FRBが国債を購入するなどしてアメリカ政府に資金を供給し続ければ、
 アメリカ政府は借金を返せなくなることはなく、
よって、
アメリカ政府が破綻することは原理的にあり得ません。

ここで、問題になるのは、

FRBが際限なく米ドル札を印刷しまくると、
悪性のインフレ
になって経済が混乱してしまうこと

ですが、

現在、アメリカの消費者物価指数(CPI)08年の8月以降、3ヶ月連続で前月比マイナスになっています。
(Bureau of Labor Statistics参照: http://data.bls.gov/PDQ/servlet/SurveyOutputServlet?data_tool=latest_numbers&series_id=CUUR0000SA0&output_view=pct_1mth)

 これは、一時は140ドルを越していた原油(WTI Crude 1バレル)の価格がいまや46ドル(12月12日)になるなど、
コモディティ(原油や金属や穀物などの商品全般)の価格が下落していることも大きな要因です。

 下に、ロイターのCRB指数(コモディティ全般の価格動向を示す指数)を示しますが、ほぼ3年ぶりの安値となっています。
http://bigcharts.marketwatch.com/charts/big.chart?symb=20299a01&compidx=aaaaa%3A0&ma=0&maval=9&uf=0&lf=1&lf2=0&lf3=0&type=2&size=2&state=8&sid=1319&style=320&time=12&freq=2&nosettings=1&rand=1948&mocktick=1&rand=329

今や、
アメリカでも問題はインフレよりはむしろデフレ
です。

デフレの処方箋は、
バーナンキFRB議長が長年デフレが続いている日本に対して提言したように

 日銀が、現在よりももっと政府債務(国債)の購入(引受け)を増やすのと連動して、政府は減税または財政出動をすることが望ましい。http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/5106995.html で紹介済み)
です。日銀FRB置き換えるだけで、現在のアメリカへの処方箋になりますね。

しかし、
「オバマ政権による積極財政でデフレ状態があっというまに解消、その後インフレが問題になってくるのでは?」
という懸念も当然起こって来ると思います。

 が、そこでその懸念を解消するために、
「教育と科学技術とエネルギー的独立への投資」という方面に重点的に積極財政するわけです。
このような方面に政府がお金を使うことは、国全体の生産性を高め、モノやサービスの供給力を高めるので、物価上昇を抑える効果が期待できます。

 政府が支出を増やす積極財政をすれば、
まず
即効性のある景気対策・雇用対策
となりますが、
この積極財政を生産性を高める方面に集中することで、
同時に将来のインフレ懸念を払拭することも狙えるというわけです。

 これぞ、「第三の道」的な経済政策の真骨頂と言えるでしょう。


別の見方をすれば、
 金融危機による信用収縮などなどにより、投機マネーがしぼみ、
 消費が落ち込むなどした結果、物価は下がる傾向にあるため、
 アメリカ政府は逆に積極財政をやり易い状態にある

景気対策をしながら、国全体の構造転換を行いやすい状態にある

と言え、

 現在のアメリカは、まさにオバマ氏の"Change"がやり易い状況にある

と言えるのかも知れません。



2.共和党との協力

 前回、「クリントン元大統領は保守派勢力(≒共和党)とのイデオロギー的対立を乗り越えられなかった」のように書きました。
クリントン政権(民主党)は93年から2000年の8年間だったのですが、最初の2年を除くと、議会は上下院が両方とも共和党が過半数というねじれ状態が続いたのでした。

 それゆえに、「クリントンは彼の政治要綱の中核をなすいくつかの要素−−国民皆保険制度や、教育と職業訓練への積極投資−−を放棄せざるをえなくなった」(オバマ氏"合衆国再生")のようになるわけです。
 
 クリントン時代に民主党が議会で過半数を取れなかった大きな原因としては、
保守派(≒共和党)によるクリントン氏への個人的な「道徳性」への攻撃
が挙げられるようです。
"合衆国再生"によれば、
「クリントンの政策に過激なところはほとんどなくても、彼の一代記(マリファナ体験、…、クッキーを焼かない職業婦人、そして何より性行為)は保守派の基盤強化にもってこいの材料だった」
という具合です。
(「性行為」というのは、クリントン氏が大統領就任前にいた愛人の問題とか、在任中のモニカ・ルインスキーとの不倫騒動のこと)

 オバマさんいわくは、クリントンさんの政策は良かったし、国民からの支持も大きかったのだけど、彼の自由奔放なキャラが保守派からの格好の攻撃材料(保守派からすればイデオロギー的に、あるいは、生理的に嫌いな材料)になったために頓挫しちゃいました、ということのようです。

 さて、オバマ政権発足に当たっては、クリントン政権の3年目以降と違い、上下院とも民主党が過半数を占めているという非常に有利な状況にあります。

 ただし、上院は「議事妨害を阻止できる安定多数の60議席には届かないことが確定した」(ロイター http://jp.reuters.com/article/usPresidentialElections/idJPJAPAN-35224420081203 )ため、やはり、スムーズな政権運営には、ある程度、共和党の協力を取り付けておく必要があることになります。

 ここで、注目すべきは、オバマ氏の類まれなる柔軟性というか、フトコロの広さです。
たとえば、
自身も奥さんも弁護士なのに「この国で弁護士の数が減り、技術者の数が増えることを願っている。」("合衆国再生")と言ってのけたり、
民主党の予備選であれだけ激しくやりあったヒラリー・クリントン女史を自分の政権の国務長官に指名したり。

 そして、極めつけは
ブッシュ政権のゲーツ国防長官を留任させたことです。
これは「民主党の次期大統領が共和党の国防長官の留任を要請するのは歴史的な決定」 (ロイター http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-35223620081203) といわれるほどの極めて大胆な人事であるとのこと。

 
 オバマ氏は、クリントン元大統領と同様、若い頃にはマリファナを吸い、更にはコカインまでやっていたのですが、これは選挙前から公表していましたので、今さら攻撃材料にはなり得ないでしょう。
 オバマ氏の奥さんはヒラリーさんと違ってクッキーを焼くのかどうかは分かりませんが、「共和党の国防長官の留任を要請」という歴史に残る柔軟さを示したオバマ氏は、あとは女性スキャンダルさえなければ、上下院とも与党が過半数を占める中、相当スムーズに政権運営を行える可能性が高いと言えるでしょう。



 ということですので、

オバマ政権は、

1.財政は問題ではない(悪性インフレの懸念が極めて小さいので)

2.共和党との協力にもとりあえず支障はなさそう

であるので、

大胆な積極財政(生産性を高めるものを中心とした積極財政)をスムーズに実行に移すことができ、

それゆえに、

かなり短期間のうちに不況を克服できるのではなかろうか


…私は、現時点ではそのように予測します。


 

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コメントを遅ればせながら、読ませて頂きました。

先行きの明るい予測に、希望が見える気がします。

経済の本などを読んで面白いのは1〜3年後。
ヨッシーニの予測がどの様な展開をみせるか?
その間に、私はヨッシーニの内容を理解できるか?

楽しみです。

2008/12/30(火) 午前 1:41 [ リサ ] 返信する

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