環境問題補完計画

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なんだか奇妙な記事を見つけた。


最近は、武田氏のブログよりは本を見ることが多いので放置していたけど、読者が根本的な思い違いを招きかねないと思い、書きとどめておく。(武田氏が追記で述べている有効数字の話なんてどうでも良いくらいの間違い)

武田氏の主張の読み解き
(とりあえず、この記事を読まれる方は、当該記事(2008.8.30確認)をご覧ください)
地球上の全部の大気の温度は30年後に1℃ぐらい上がるとIPCCは言っている。この予測は科学の計算上のことだから本当かどうかは別にして、IPCCはそう言っている。
…と最初に触れ、
 地球上の大気と海の大きさ、陸にある氷、それに氷が融ける時の熱を比較しよう。
(中略)
つまり、地球上の海は、大気の1000倍の熱を持っている。だからもし気温が1℃あがったら、海水温は0.001℃あがるということになる。
また同様に、
もっと大変なのは、氷が融けることだ。これを専門語では相変化の熱というけれど、実に860倍である。つまり地表の氷を全部、溶かそうと思ったら、大気の温度を860℃分だけあげる熱がいる。
と、氷の変化の事にも触れ、
容易には氷は融けそうにない。実際には北極の氷は融けることがあるけれど、それは気温が高くなったから融けたと早合点しないで、ゆっくり考えた方がよい。
と結んでいる。

「へぇ!なるほど!気温が1℃上がるって言っても、じゃあ、そんなに上がらないんだ!」

と思った人は、思うつぼにはまっている状態でしょう。

「温暖化は、気温の上昇が原因となって、それが他に及ぼす効果が問題だと言われている。武田氏の話のように、気温が1℃上がっても、たいしたこと無いのではないか!」
……なんて思ってしまった人は要注意!

というのも、
実際には、氷が融け、海水温が上がる状態も含めるなかで、「30年後に1℃ぐらい上がるとIPCCは言っている」事が生じるわけです。現在の観測結果にしても、氷が融け、海水温が上がった中でさえも、全球レベルで、気温は0.7℃ほど上昇したワケです。

つまり、全球でのエネルギー収支のやりとりの中で、気温が上昇したのはその一部であって、けっして、気温が1℃上昇する結果として、その大気の熱エネルギーで、わずかに氷が溶け、わずかに海水温があがって、そうやって奪われた熱の残りで、わずかに気温が上がる……ワケではありません。

概念図となりますが、載せてみるなら、このような感じです↓。
イメージ 1

左が、武田氏の説明から、捉えられがちな解釈を図化したもの。
右は、IPCC AR4に掲載されている、熱量の図を元に作成したもの。
右の図を見れば分かると思いますが、1961〜2003年までに増えた蓄熱量を示したものです。海洋への著熱、氷の融解、地面への蓄熱、大気への蓄熱の割合を示しています。つまり、大気への蓄熱=平均気温の0コンマ数℃の上昇は、温暖化の蓄熱中のホンの一部にしか過ぎません。

これは数字の精度云々以前の問題です。


参考:IPCCの図を紹介しておきます

上掲図の元となったIPCC AR4の図を載せておきます。
イメージ 2

(IPCC AR4 WG1 chap.5 p.393)

余談

こう指摘すると、「熱のやりとりの概念を説明しただけで、あなたの理解が足りない。それは気温が高くなったから融けたと早合点しないで、ゆっくり考えた方がよい。と言っているじゃないか。」なんて言い訳をされそうです。
……読もうと思えば、そう読めなくもない。その点、私もこの武田氏の記事の「意図」が何であるのか、相当悩みました。が、その記事本体ではなく、波及した誤解が広まらない様にとの考えで書いてみました。

……もし、上図(IPCC)であげられているような説明を試みていたのであれば、武田氏の記事は説明不足です。かえって、「大気の熱エネルギー→海洋へ」と、温暖化の現状を矮小化して理解する読者が出てきかねません。読者が早合点してしまうような記事は、やめて頂きたいものです。

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閉じる コメント(6)

う〜ん。つまり これは 一休さんのトンチ問題みたいなものですね。

そうそう 太陽の黒点活動がこの一ヶ月 ゼロなんですって。
http://news.livedoor.com/article/detail/3806773/
黒点は極大期に向かってるはずなのに・・・これもよくわかりませぬ。

2008/9/6(土) 午後 3:33 飛鳥 返信する

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>あすかさま

>一休さんのトンチ問題

ある程度知っていないと、武田氏の記事の意図がわからない(むしろ誤解してしまう)という、なんとも人騒がせな、とんちクイズです。

>黒点

そのニュースだけを見て、太陽活動・気温の相関説を主張する人が出てくるのでしょうね。特に、偏西風蛇行が大きく南に伸びて、日本が比較的涼しかった時期があるから、それと、結び付けたくなる人が出てきましょう。
全く関係ないとはいいませんが、下の図をみても、気温の全体のトレンドとは、関係なさそうです
http://images.dailytech.com/nimage/9111_large_sidc.png

2008/9/6(土) 午後 4:15 [ 綾波シンジ ] 返信する

ご紹介の記事だけではなく、武田邦彦博士(=一応、敬称をつけておきます)の著作やサイトのコラムを読むと、万事がセンセーショナルで、読者の共感を誘うように巧みに(曖昧な)数字を書くなど印象操作的な手法は驚きを隠せません。武田博士のような書き方で「前提」がなければ、僕のような「文系人間(=高校時代の物理・化学は赤点)」はコロッと納得してしまいまうね。

2008/9/7(日) 午前 10:26 まったけ館長 返信する

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>コロッと納得してしまいますね。

それが怖いところです。だまされている方は、それを信じてしまって動かなくなるから。
そういう人に限って、武田氏と同じような文体で武田氏の主張を批判した時に「感情的な個人攻撃」なんて言い出しますから、こまったものです。

敬称の件ですが、指導教官であっても、その主張に関しては「田中」と呼び捨てる習わしもあります。それだと一般の人から見るとあまりにも味気なさそうなので、私はたいていの場合で「氏」を用いています。

2008/9/7(日) 午後 0:42 [ 綾波シンジ ] 返信する

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SF小説マイケル・クライトンの「恐怖の存在」も同じようなトンデモ系なのでしょうか? 削除

2008/9/10(水) 午後 4:30 [ 通りすがり ] 返信する

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その書は読んだことはありませんが、小説は、小説です。

言うなれば、セカンドインパクトなんて起きていない今、
「エヴァンゲリオンはトンデモ系ですか?」
とおたずねになるのと同義かと。

2008/9/10(水) 午後 6:08 [ 綾波シンジ ] 返信する

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