第二次ホッケー論争 〜序:全米科学アカデミーの調査〜
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ホッケースティックについての論争が巷で再び盛り上がっているようです。 Climategate事件に端を発した、第二次ホッケー論争とでも言いましょうか。 こういうの大好きな「所謂懐疑論」な立場の人たちがこれに飛びついているようです。 関連したコメントも2つほど頂きましたし、リアルでも「どうなの?」と聞かれたりしまして… 自分も、このような問題を扱っている立場上、放置するのも無責任なので、扱ってみます。 ただ、状況がよく判らない状態で、ダボハゼのように盗品のエサに飛びつくのもみっともないので、ほそぼそと調べたりしておりました。(未だにwindows7にアップデートできない…そんな性格でして) 今回は、ひとまず、第一次ホッケー論争がなんだったのかを、おさえておきたいと思います。 なお、所謂「Climategate事件」については別記事で扱うことにします。 (第一次)ホッケー論争とは?ホッケースティックの元図は、この図(Mann et al. 1999)より。 この第一次ホッケー論争に関しては、増田耕一さんのサイトがかなり丁寧に後追いされています。 「ホッケースティックを見捨てた」との流言?第三次評価報告書(2002)にあったその図が、第四次評価報告書(2007)では「見受けられなくなった」ことから「IPCCはホッケースティックを見捨てた」つまり、問題があって、批判を受けたから、取り上げないことにしたようなニュアンスで伝わっている傾向があるようだ。 その典型的な事実誤認が、池田信夫さんのブログの、 ホッケースティックのデータが捏造されたのではないかという疑惑については、全米科学アカデミーが調査し、IPCCの第4次評価報告書からは削除された。
などに見られる。
全米科学アカデミーはどんな調査結果をまとめたのでしょうか?「全米科学アカデミーが調査した」んだってよ。すげーね。なんてったって、あーた「全米科学アカデミー」ですよ? そんな機関が、「調査」し、Mannらの図が削除されたんだってよ。 ほら、全米科学アカデミーの元会長のSeitzっていう懐疑派の大御所がいてたとこですよ。 これは、懐疑論としては期待がもてますね。 はてさて全米科学アカデミーのお裁きは所謂懐疑派さん達が思っていそうな、「Mannらの図は捏造ですから!斬り〜」だったのでしょうか? で、実際の全米科学アカデミーのお裁きは、 1. 機器観測による20世紀の0.6℃の上昇は、地熱勾配、氷河の後退、その他観測事実にも現れているし、気候モデルでシミュレートできている。
2. 長期間の地表温度復元は、AD1000年頃の比較的暖かい時(中世の温暖期)と1700年頃の比較的寒冷な時期(小氷期)も含めて、1000年間の気温と概してあっている。(中略)温暖期の精確な時期は、地域によって様々であるし、規模やその広さも不確実である。
3. 過去数十年の高温が、過去4世紀の中で高温であったことは、とても確実で(high level of confidence)ある。(後略)
4. AD 900〜1600年の気温復元の精度は下がる。現在使える代理指標は、全てではないが多くの場所で、過去25年の気温のほうが、AD 900年以降で比べると高い。(後略)
5. AD900年より前の半球・及び全球の気温は、より近い時期と違い、データのカバー領域の狭さ、代理指標からの分析・統合の難しさから、信頼性が低いと言える。
だとさ。むしろ懐疑論斬られてます。〜序おわり〜 全米科学アカデミーの調査と削除の関係性?余談ですが、池田ブログの「全米科学アカデミーが調査」と「削除された」こととの関係性を匂わせるような文面は、なにか意図があるのでしょうか?「雨が降り、洗濯物が濡れた。」と書いてあっても、実際には「雨が(外で)降り、(洗濯機で洗濯を始めたので)洗濯物が濡れた。」という話であって、因果関係は書いていない……と池田さんを精一杯フォローしておきますか。まさか池田さんが「調査があったから削除された」なんて突拍子もない誤認をしているわけでは無いですよね?ね?知らない人がみると、そう読めてしまいますよね。 ホッケースティックと言うよりは…さらに余談ですが、池田ブログでも使われていて、wikipediaにも載っているこの変な図は何なのでしょうね?ホッケースティックというよりは、ナマコが腸出してるところか、男性の大事なナニから血を吹き出してるような……この図では、ホッケースティックの問題を、理解しての批判出来ない。20世紀のproxyデータの形も変だし、proxyデータと観測データはくっついているし、400年前ぐらいで不確実性が変わるのに、それも分からないし。 |
おもしろい記事ありがとうございます。ハッカー事件に関するリンクを作ってみました。
https://sites.google.com/site/drtorumiyama/climate-monitor/swifthack
2009/12/10(木) 午前 0:58 [ tmiyama ]
ありがとうございます。
私の記事はその問題自身を扱う段階にまで、まだまだかかりそうですが、気長におつきあい下さいませ。
池田ブログを見る限り、全米科学アカデミーの結果が、まともに情報伝達されていないように思うのですが、誤情報の発信源はどこなのでしょうね?
2009/12/11(金) 午前 1:20 [ 綾波シンジ ]
>誤情報の発信源はどこなのでしょうね
田中宇さんも同じような主張をされてて、そこではワシントンポストの記事をリンクしてますね。
http://tanakanews.com/091202warming.htm
2009/12/12(土) 午後 1:50 [ tmiyama ]
情報どうもです。
田中宇かぁ、久しぶりに聞いた名前です。
まだそのワシントンポストの記事は読んでいませんが、どこから情報の取り間違えがはじまったのでしょうね。
2009/12/15(火) 午前 0:07 [ 綾波シンジ ]
クライメートゲート関連のwikipediaノートをみてみましたが、田中宇の記事を嬉々として載せてる人がいますね。誤訳か意図的かは分かりませんが、あれを信用して載せる人の気が知れない。
昔、田中宇の記事について、根拠を辿ってみたことがあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/eng_cam_fld_tgs/32709631.html
「田中フィルター」が働いて、何でも温暖化への所謂懐疑論記事に見えているのかも知れませんが、酷いですね。
2009/12/15(火) 午前 11:10 [ 綾波シンジ ]
Wikipedia日本語版が使っている図は、Wikipediaから出典がたどれます。Jones and Mann(2004)のデータを別の個人が作図したものだそうです。このデータの科学的価値に懐疑的なコメントがついています。
Wikipedia英語版では、IPCC第3次報告書から図を引用して、アメリカの著作権法に基づいてfair useだと主張しているようです。日本の著作権法にはfair useが明示されておらず、図の複製にはきびしいことが多いので、日本語版ではIPCCの図を使うことはできないのかもしれません。Mann et al. のグラフの数値データはMannのサイトから公開されていますので、新たに作図することは可能です。(残念ながらわたしが作図する予定はありません。)
2009/12/26(土) 午前 8:06 [ masudako ]
masudakoさま
情報ありがとう御座います。
>Mann et al. のグラフの数値データはMannのサイトから公開されています
ライセンス等もクリアできるのでしょうか?
作成の経緯のページのようなものを見ましたが、あまりにも適当な図で驚きました。これでまともな議論の争点を語れないはずなのですが。
2009/12/27(日) 午後 4:55 [ 綾波シンジ ]
wikipedia日本語版は、「日本語版」であって「日本版」ではありません。
あくまでwikipediaは亜米利加人が作ったサイトであり、各国ごとに法律に照らし合わせる必要はありません。
したがって希望なら英語版と同じ図に変えることが可能です
2009/12/27(日) 午後 6:09 [ 取り急ぎ ]
これですね
引用>適用法について何処にも明記されていなかったので先ほどウィキメディア財団に電話で問い合わせたところ、サーバー所在地はアメリカ合衆国フロリダであるので基本的にアメリカ合衆国法が適用されると教えてもらいました
2010/1/1(金) 午後 4:20 [ 取り急ぎ ]
取り急ぎさん
情報ありがとう御座います。わざわざ電話までかけて頂けるとは。
ただ、私にはwikipediaを自由に編集出来るだけの技能を持ち合わせておりませんで・・・
あと、取り急ぎさんが直されるとしても、電話の口約束では、ちょっと怖いですね。どこかに明文規定はないのでしょうか?
2010/1/5(火) 午後 8:35 [ 綾波シンジ ]
早秋さん
いろいろとご指摘ありがとう御座います。助かります。
下記のご指摘の該当記事にコメントを移設致しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/eng_cam_fld_tgs/32709631.html
後ほど本文を修正させて頂きますね。
英語がお好きなのでしたら、Climategateの件の、NatureとScienceに載っているEditorialの全訳をお願い出来ませんでしょうか?
2010/1/5(火) 午後 9:04 [ 綾波シンジ ]
ですから「適用法について・・・・・・」という文は引用、こぴぺです
まぁなんですか
日本人おねぇちゃんの、全部見えるサイトとか、あるじゃないですか
外国のサイトなら問題ないわけです
(日本国内居住者がそれで商売すると、脱税とかで摘発されるのがいますが、とりあえずは猥褻罪ではありません)
仮にウィキの編集に問題があったら(ここでは問題ならないはずを百歩譲って)、管理者に削除命令が下るだけで編集者のドアを警察がノック、なんてありえないわけ
2010/1/5(火) 午後 11:49 [ 取り急ぎ ]
ゴシップで〜す。^^
カナダにて気候変動否定屋が、気候学者のオフィスに侵入してPC・データを窃盗、さらにはメールのデータにアクセスするために身分を偽った咎により逮捕された件。
http://www.guardian.co.uk/science/2009/dec/06/break-in-targets-climate-scientist
2010/2/9(火) 午後 0:28 [ F.M.E.O.-One ]
fmeo1さんご指摘の件、気候学者としてはこわい話です。
ゴシップならば表現にもんくを言うこともないのですが、事件報道として伝わると心配なので、コメントしておきます。
カナダの新聞社National Postの12月4日の記事が先でGuardianの記事はそれの部分引用のようです。犯人が逮捕されたとは言っていません。「気候変動否定屋(fmeo1さんの表現に合わせます)のしわざではないか」と被害を受けた気候研究者は疑っていますが、そうである証拠があるわけではないようです。身分を偽ったというのはネットワーク技術者のふりをしたということで、データにアクセスしようとしていたとは言っていますが、メールとは言っていません。
2010/2/10(水) 午後 11:53 [ masudako ]
Wikipediaの「ホッケースティック論争」の記事、実はどうしても見逃せないところだけなおしてしまったのですが、図には手をつけていません。Wikipediaでないふつうのウェブページなら、他組織の図を見せるのは珍しくないのですが、Wikipediaは自分のライセンスと編集態度を明確にしているので、同じライセンスを持っていない他機関の図をとりこむことに疑問があるのです。
外部リンクとしてIPCC第3次報告書の図のHTMLページ(www.grida.noにある)を見よ、というのが適当だと思います。ただしそれだとWikipedia本文と同時に表示される図にはなりません。
2010/2/11(木) 午前 0:09 [ masudako ]
IPCC第3次報告書ではMann et al. 1999のグラフを図2.20として引用しています。しかし(ある人から最近指摘されたのですが)図2.21に、Mannの結果を移動平均してなめらかにしたものがあります。ホッケースティック曲線としてどちらも使われたと思います。「変な図」は図2.21を再現しようとしたもののようですが、不確かさを表わす影のつけかたが違ってしまったようです。
2010/2/18(木) 午後 2:50 [ masudako ]
fmeo1さま、masudakoさま
そういう事件は本当怖いですね。
ものを盗み出してでもなにかしようという活動家がいるのですから・・
2010/3/7(日) 午後 3:05 [ 綾波シンジ ]
masudakoさま
図2.21を参照してみましたが、やはり不確実性の幅などが考慮されていないですね。「イメージ図」としても酷いかな。
2010/3/7(日) 午後 3:07 [ 綾波シンジ ]