猫かしまし娘
昨夜ラジオで聴いた「現代日本社会における音楽」って講義は、たいへんに興味深かったですっ。
なにげにラジオをつけたら、かしまし娘の唄(うちら陽気なかしましむっすめ〜♪)が聞こえてきて、あ、局間違えたと思ったのですけど、講義の真っ最中でした。
講義の主題は、「ジェンダー交差歌唱」ということでして、担当講師の持論を展開されておりました。
先生の指摘で驚いたのは、日本ではかなり普通に行われてきた(と感じる)、男が女の立場で歌うこと、女が男の立場で歌うこと、というのが、世界的に非常に珍しいことである、ということです。
ただし、それがわかりやすく顕著になったのは意外に最近のことで、第二次大戦の後なのだとか。
交差歌唱の例としてまず挙げられたのは、美空ひばりの「柔」、暁テル子の「東京シューシャインボーイ」でした。
ここでは女性が「少年」になっています。
次に、男性が歌う女性歌の例としては、ロス・プリモスの「ラブユー東京」と、ぴんから兄弟の「女の道」。
逆の例としては、イルカの「なごり雪」と・・・あれ、なんだっけ?失念(残念)。
戦後、演歌というジャンルが確立する中では、かなりあたりまえに交差が行われたのですね(特に男性の女歌)。
その後、フォークというものがアメリカ経由で入ってきますが、そこでも同様のことがおこります。
非常にわかりやすい例だなと思ったのは、かぐや姫の「神田川」です。
フォークから発展していった、ニューミュージック〜Jポップの流れの中でも、ジェンダー交差歌唱は引き継がれています。
例として挙げられたのは、浜崎あゆみの「JEWEL(ジュエル)」、大塚愛の「ユメクイ」。
そこでは、一人称は「ぼく」になっています。
なるほど、言われてみればというか、例に挙がったもの以外にもいくつも思いつきます。
さほど日本では違和感なく交差しているものが、日本以外では(少なくとも欧米では)、馴染まないというより「タブー」にすらなっていると聞いて、マジびっくりでした。
その(日本ではおこりえた)要因として考えられるのは、日本語の性質ではないかというのが先生の説です。
日本語というのは、男言葉と女言葉が、はっきり区別されて使われることによる・・・・と。
女言葉であれば、一人称は「わたし」「あたし」であり、語尾は「なのよ」とか「・・・わ」とかになります。したがって、ちょっと歌詞を読んだ(聴いた)だけで、それが女歌なのか男歌なのかが、まず間違いなくわかるのが日本語の歌詞の特徴なのだそうです。
「なな〜いろの虹が〜消えてしまったの〜♪」と、ここだけ聴いても、これを男歌だとは誰も思いません。それをあえて男性が歌うことによって醸しだされる何か・・・メリットがあるんですね。おそらく。
これが西洋語ではどうか。例えば(よく引かれる例ですが)ビートルズのナンバーを女性がカバーする時には「He(Him)」を「She(Her)」に変えるだけでOKです。男言葉を全面的に女言葉に変える必要はないし、ジェンダーを交換することで得られるものはたぶん、何も無い。だから、やらないというか、やれないのではないか、とのことでした。
そうそう、絵まで描いた「かしまし娘」についてですが、講義を初めから聴いていないので文脈がちょっと違うかもしれないですけど、先生によると、かしまし娘がジェンダー交差にかかわっている部分というのは、「ギター」なのだそうです。おそらく彼女たちが登場するまで、ギターというのは男性イメージのものであったはず、と。それをあえて使ったのは師匠の影響らしいですけど、世間には意外にすんなり受け入れられたのですね。
それはなぜかというと、日本には三味線という楽器・文化が古くからあったせいである、三味線は男女の区別なく使用されたから、それに類似したギターという楽器を女性が使用してもOKだったのではないか、と。
歌舞伎、女形の存在というものにも言及されていましたが、割愛します。
Jポップにおける女性の男性歌については、ジェンダーを曖昧にするための装置として使用されている可能性があることも示唆されてました。
今後の展望については、男言葉と女言葉の区別が非常に曖昧になってきていることや、演歌的ステレオタイプ(女は徹底して健気で耐え忍び、男は義理と人情の狭間で苦悩する、もしくは己の道を究めんと欲す的な)が、もはやパロディとしてしか受け入れられなくなってきている現状から、日本人があえて行ってきたジェンダー交差歌唱というのは衰退していくのではないかという予想でした。
まぁ、牽強付会な部分もあるかなぁ・・・とも感じましたが、言われればそうかなーーな話と、ちゃんと例にあげた歌は一部とはいえ聞かせてもらえたので、非常に面白かったです。
昨日の講義が15回シリーズの9回目とのことなので、憶えていられれば来週以降も聴いてみるつもりです♪。
ながなが読んでくださったかた、おられましたら感謝です〜。